どうして、知らないのかしら?朴念仁、甲斐性なし、剣の馬鹿、
ある人物を差して皆が、特に交流のある者は口を揃えてそのようにいい表す。特異点で出会いそれなりに人と成りを見ては来たが確かに否定できない部分は多々あった。これまでの生き方考え方を剣の道に極振りして生きてきたのだと聞き及んだとしても度を超えているとは思う。が、それを決して悪いとは思わない。己の軸とも言える部分を否定されて楽しい人間など居ないだろう。ましてや古今東西果ては領域外の者まで居るこのカルデアに於いては。
「全くもってけしからん。何故此方の話を放り出してまで柳生の誘いに乗るのだ……!」
「伊織殿にに今更だとは思うが」
「そうだな!あのカイショーなしは───」
「……」
正雪とタケルの話を聞く限り渦中の人は会話の途中で稽古に行った様だ。名を挙げられた人物も伊織からすれば剣聖と謳われた憧れの存在だろうしどちらを優先するかと言えばそれは憧れを取るかもしれない。
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