恥の多い生夜が明けようとしている。
「まったく君は、こんな時でさえ日を連れて来るんだな」
病室に遮光カーテンはつけなかった。いつまでも彼を抱いてグズグズと留まるような、みっともない姿をさらしたくなくて。代わりに泣き腫らした使い魔のマジロがこの腕を守ってくれている。
退治人ロナルドの病室は慌ただしい。平坦な機械音がしてから白衣を着た人々がバタバタとやって来て、ひとつひとつ確認をしている所だった。決まりきった手順をなぞる姿に澱みはなく、体が震えている人はよく目についた。研修生か、はたまた彼のファンか、どちらにしてもその震えは彼が人なのだと教えてくれるようで安堵した。
ここに至る何十年、ずっとそれを願っていたから。
「ーーご臨終です」
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