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    不穏ルドと人の心がない吸血鬼の表面上はギャグな日常ロナドラss

    #ロナドラ
    Rona x Dra
    #ロナドラ小説
    lonadoraNovels

    ドラルクは8割入れた「ギィーーーーーー!!」

    骨ばった拳を机に叩きつけるより前に留めてやる。

    「何してんだよ反作用で死ぬくせに」
    「止めてくれるなこの攻略済みチョロ男が!」
    「今日は何の喧嘩を売りたいんだよテメーはよ」

    自由な方の、まさしく棒切れの腕を振り回しながら普通なら滅多に聞かない類の貶し文句を吐く。軽く殺して混ぜる用の水道水をコップに入れれば、ドラルクは焦ったように声を上げた。

    「いや待て!別に君はそこまでチョロくはない!君の攻略難易度の低さはこのドラちゃんの家事と余暇を楽しむ腕あってのもので」
    「常に自画自賛を怠らないのなんなの?」

    すぐに死ぬ肉体の脆弱さと真逆の精神性を有する男の塵を、掬っては落とし救っては落とす。

    「ヴァッやめ、砂時計みたいにスナァ」

    さら、と降るこの一筋にいのちがあるなどとはとても信じられないが、塵は雄弁でよく蠢く。

    「というか、いきなり叫び出した同居人に聞くことはないのかね」
    「ガチャで糸クズにまみれても叫ぶだろ」
    それも爆散しながら。
    「ウーン普段から感情豊かだからな私」

    適応能力が無駄にある男は、塵の扱われ方にもすぐに馴染んでしまう。次は切ることにする。

    「まあつまり、ゴリラの攻略もMAXらへんまで行ったし、てかこの簡単なようでいて実はクソ難クソゲーゴリラが攻略できるならそこら辺のパリピとか簡単なんじゃね?と思い立ち」
    「殺すわ」

    やっぱりミキサーにしよう。
    電源を付けたり消したりウィンウィン威嚇していると、塵がピャッと飛び上がる。

    「まだ思い立ち、までしか言ってない!!」
    「ドラ公が思い立って何もしないなんて事はねえ」
    「嫌な信頼〜!」

    ここでキャッキャとはしゃげる胆力は文字通り自分とは別の存在で、ロナルドは常に苛立たせられている。
    生殺与奪の権を握られている時でさえドラルクは笑えるのだ。

    「それで?その攻略ってやつをすんのに、誰に、何をしたって?」

    水を細く落とし、ゆっくりと捏ねる。手の温度も、かける力具合も、なにもかもを忘れさせないように。

    その腕を振るって飯を食わせた? それとも可愛くラッピングしたお菓子の方? 出し過ぎたってハンドクリームを塗ってやったりもしたか? なあ

    人間の祈りにも似た行為に応えるのは神では有り得ず。

    「なァんにも。出来やしなかったんだってば」

    その声は明らかに憮然として、今までの軽妙なやり取りなど忘れたようだった。思い出したくもない苦みまで伝わるような声音に、ロナルドは対照的に目を煌めかせた。
    だって、愉悦を啜って生きる男の語る負の感情に、嘘は混ざらない。

    「まったくこの街の人間ときたらみんな己の道を爆走しおって……」
    「いい事だろうが」
    「その結果が変態ワンダーランドだぞ」

    思わず来週もお茶の間に変態をお届けするのか、という気持ちでドラルクと同じ顔をしてしまった。

    「それでも、変態そのものが悪いわけじゃねえだろ。…そう思わなくなったのはお前が来てからだけど」
    「おいその言い方だと私も変態みたいだろ」

    ロナルドは晴れやかに笑う。

    「自分が何をしたいのかわかるって、最高じゃん」

    そう言うロナルドは、もちろん自分がしたいことをよくわかっている。
    ムカついたら煽ってくる同居人を殺すのも、自分を攻略したなどと宣うくせに他に色目を使う恋人の毒手が届く範囲に懇切丁寧に説明して回ることも。ドラルクの視界の範囲に、攻略対象などというものは一人も残さないと決めた。攻略済みの存在など、せいぜい2人と1匹で十分だ。

    それに、ドラルクは自分の手管によるものと信じているが、攻略などというものは、される側がされる方へ傾かなければ出来るはずもない。

    チョロいどころか自ら攻略されに来た男が目の前にいるとも知らず、ドラルクは呆れたように言う。

    「やっぱり君、変態の素質があるなぁ」

    お蕎麦は美味かった。

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    irohani8316

    DONE94の小説です。ロド風味……というかCP要素がほぼないですが、ロド推し工場から出荷されています。街を常に昼状態にしてしまう「吸血鬼日光浴大好き」のせいでシンヨコが大変なことに……というエンタメ(?)小説になりました。ラブというかブロマンスな味わいが強いかも知れません。
    長い昼の日 汗ばむくらいに燦々と照りつける太陽の下、俺はレンタカーのバンを路肩に留めると運転席から降りて、荷室のバックドアを開けた。そこには、青天にまったく似つかわしくない黒々とした棺桶が横たわっている。
    「おい、動かすからな」
    一応声をかけるも返事はない。聞いているのか聞いていないのかわからないが、別に構いはしない、俺は両手で棺桶の底を摑み、バンの荷室から引きずり下ろした。ゴリラゴリラと揶揄されるくらいに鍛えてはいるものの、さすがにこの体勢から、ひとりきりで重い棺桶を丁寧に扱うのは難しい。半田でも連れてくればよかったが、あいつも他のやつらと同じく街中を駆けずり回っていて、手伝ってもらうのは忍びなかった。
    案の定、無駄に長い棺桶は向こう側の端の方が落ち、地面に当たってガツンと派手な音を立てた。この衝撃であいつは一度死んだな、たぶん。俺の肩に乗って見守っていた愛すべきイデアの丸、もといアルマジロのジョンが「ヌー!」と泣いている。
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