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    秘色-ヒソク-

    @hsk_yah

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    秘色-ヒソク-

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    カイオエ 上手にまとまらなかった

    #カイオエ
    kaioe
    ##カイオエ

    「それ、やめて」
     冷たく言い放つ拒絶の言葉、……になるはずだったであろうただのワガママを、どの程度聞き入れるものか。最近少しだけ、その匙加減がわかってきたように思う。
    「どうして、」
    「嫌だからに決まってるでしょ」
     もちろん外すこともあるが、どうやら今は大丈夫そうだ。間違えてはいないらしい。さっきまで爪を立てていたシーツを今はゆるく握ったまま、オーエンは俺の手から逃れようとはしないから。
    「じゃあどうしたらいい? 何が嫌なのか教えてくれ」
    「騎士様は、誰にでも親切にしようとするだろ。だからいや」
     事後の疲労を纏う身体は深くベッドに沈んだきり、口調は常よりゆるゆるとぬるい。天邪鬼は変わらないけれど、隠された本音には僅かばかり近付きやすいから、怒らせないように静かに触れる。汗の滲む肌にも、言葉の奥深く、内側にも。
    「誰にでも親切にするのは簡単じゃないさ。できている自信はないが、騎士として恥じない振る舞いはしないとな。でも、俺がオーエンには親切にできていないから気に入らないってことか?」
    「ちがうよ、全然違う。その反対」
     反対、なら、優しくできているだろうか。もちろんいつだってそうするよう心がけているつもりだが、なにぶん理性的とは言い難い行為、その余韻の残るこんなときに言い切るのは傲慢だ。
     誰にでも親切に振る舞う俺が、オーエンに優しくすると気に障る。何を示されているのか意味までは理解できないが、尋ねればはぐらかさずに答えが返る。わかりにくいのは事実だが、きちんと話してくれるなら心配はいらない。
    「騎士らしく振る舞う俺が嫌なのか?」
    「へんなの、自分から、騎士じゃなくなる騎士様なんて。そうしたらお前は何者になるの、今のままじゃ誰でもないよ」
    「うーん……じゃあ、優しくされたくない?」
    「……ふふ、今日はいつもより少しだけ、聡いね」
     猫みたいに目を細めて見上げてくる。目元にかかる髪を避けようとした指は絡め取られ、薄く笑む唇で挟まれて捕まった。爪の生え際を噛みながら、指の腹を舌が撫でる。
    「ねえ、続きは? それともこのまま噛み千切られたい?」
    「わかったから、それはやめてくれ」
    「目の次は指もくれるの、優しい騎士様」
    「欲しいのか?」
    「いらないよ、今のままならね」
     じゃあ、何が欲しい。いらないというのなら、求めているものがあるはずだ。皆に親切にするなら、オーエンにはそう接しちゃいけないなんて、そんなこと。厄介な存在であることに変わりはないが、排除だとか、拒絶や無関心、そんなふうに扱えるわけがない。
    「俺は、お前に優しくしたいよ」
    「どうして。僕はそんなの望んでないって言ってるのに」
    「そりゃあ、好きな奴には優しくしたいからさ」
    「ふぅん、じゃあ、僕のためじゃなくて自分のためなんだ」
    「そうかもしれないが、好きな相手に優しくされたら嬉しいだろ」
    「僕は嬉しくない」
    「またそういうことを、」
    「騎士様、僕に好かれてると思ってるの? 好きな相手じゃないんだから、優しいとか嬉しいとか、どうでもいいでしょ」
     それきり、目を瞑ってしまったのは、微睡みが忍び寄ってきたからで。声をかけても小さく呟く音が唇から零れるばかりで、答えはこのままおあずけだ。
    「また、俺を困らせたかっただけなのか?」
     一人だけを特別贔屓にするにしては、この関係は歪すぎる。それにまさかオーエンに限って、そんなことを求めているなんてこと……。
     辿り着かない正解に、一人で悩み続けるのは性分じゃない。朝、目覚めたら跡形もなく消えているかもしれない相手だ。
     今のうちに、気が済むまで、優しくしてから隣で眠りたい。
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    コロネ

    MOURNINGカイン誕生日おめでとう〜🎉🎉🎉

    と思って書き始めたんですけど、なんか違ったので供養します。
    ※付き合ってません。

    メインストの距離感バグってる2人を見て、周りに勘違いされてることあるんじゃないかと思って。
    ただの仲間です。 その日のオーエンは機嫌が良かった。
     ミスラは用事があるらしく外出中。オズと双子は任務へ。朝から遭遇したブラッドリーのことはいじめることができて、ついでにくしゃみでどこかに飛んで行った。クロエは新しい服が完成したと着せてくれた。彼は絡むと厄介だが、作るものは嫌いじゃない。新しい服を身につけた今日のオーエンは全てが思い通りと言っても過言ではない日だった。
     あとはネロに甘いものを作らせるか、それともカインに奢らせるか。最初は前者にしようと思ったが、ネロの気配がキッチンになかったため、後者にすることにした。カインは中庭で鍛錬をしているだろう。
     赤ちゃんの騎士様は今日もシノとレノックスと一緒に鍛錬をしていた。弱い奴らはご苦労だなと思いながら、姿を消した状態でカインの近くに降り立った。剣を振るうカインは悪くない。甘いものの方が大事だが、こうして眺めているのもやぶさかではないと思う。汗水垂らしながら剣を振るうカインを間近で眺めながら、ひと段落するのを待った。普段だったら邪魔するが、今日のオーエンは機嫌がいいのだ。カインのやりたいことをやらせてやってもいいと思えるくらいに。赤ちゃんにはそういうのも重要だとどこかで聞いたことがある。
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