またね⚠️若干ですが本誌ネタバレを含みます。(2022.3.7)
自己責任でご覧下さい。
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「またね」
と告げたあの日から。
糸が切れた風船みたいに、
ふわりふわりと漂う中で。
うつらうつらと眠りに付く。
目が覚めた時、私はその交差点にいた。
憂太は抱えた赤と白の花束を手に、里香を見つめていた。
「17歳おめでとう。里香ちゃん」
11本の赤い薔薇とかすみ草の花束。
憂太は膝を折って、電柱に花束を置いた。
ありがとう。
そう告げた言葉はもう、憂太に届く事はない。
憂太は花束を見て優しく笑う。
少し大人びた表情の彼は、それでも今年も変わらずに笑ってくれる。
ありがとう。
里香はその手を伸ばして、憂太の首に絡みつく。
大好き。
またね。
目が覚めると、そこにはいつも憂太がいた。
『 おいで、リカ 』
真っ赤なネイルに真っ赤なリップ。
気付いてくれるかな。
ゆっくりと里香はその手を伸ばす。
白く長く、細い手を。
その首に。
身体に。
絡みつくように彼を抱きしめる。
その言葉はもう、その手はもう、憂太に届く事はないと、知っている。
またね。
17歳おめでとう。
憂太。
「最愛」
「貴方を愛しています」
「永遠の愛」