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    meepoJlo

    @meepoJlo

    呪術の狗🍙棘 夢小説をこそこそ書いています。

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    meepoJlo

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    気付いて姉妹校の交流会は野球という形で2日目を迎える事となった。

    「じゃあ先輩たちは、京都校の人たちと元々面識があったんだ」

    先生たちも捌けて、2年生の座る席の側にそれぞれ1年生も集まる形となった。野球のユニフォームが到着するまで、雑談混じりに簡単に野球のルールなどを聞く。
    虎杖くんが好奇心旺盛に2年生の先輩たちを見れば、パンダ先輩がそれに答えてくれる。

    「まぁ、適材適所って事かな」
    「てきざい…て、き……?」
    「その人の適性や能力に応じて、それにふさわしい地位・仕事に就かせること。棘なんかはよくそっちにも任務に呼ばれるんじゃないか?」
    「しゃけー」

    乙骨先輩以外の2年生は去年の交流会には参加していないと聞いている。

    「じゃあさ、先輩たちも東堂に好きな女の子のタイプとか聞かれたって事?」

    と、悪気のない虎杖くん。
    ああ、そうか。そう来たか、と。
    何だかこうして聞いていると、ただの男子高校生の会話みたいだ。唯は瞬いて、ちらりと狗巻先輩を見た。

    どう答えたんだろう。

    虎杖くんの質問に、顔を見合わせる狗巻先輩とパンダ先輩。そんな2人(人?)に真希さんは知った風にニヤリと笑っている。

    先輩たちと虎杖くんを挟む形で椅子に座る唯。一瞬、狗巻先輩の紫の瞳が虎杖くんを外れて。

    …目が合った、気がした。

    見ていた事がバレたのかと。恥ずかしくなって唯は目線を逸らす。


    「聞かれたけど、まぁ俺はパンダだから。人間には興味ないし。棘は適当なおにぎりの具を言ってたな」

    あそっか、と虎杖くんはそれで納得している様子だった。

    「そう言うアンタは何て答えたのよ?」

    野薔薇ちゃんが虎杖くんを見る。

    「え?俺?俺は、身長と尻がデカい女。あえて言うなら、だけど」

    野薔薇ちゃんは大きく溜息を吐く。ジト目で虎杖くんを一瞥して、伏黒の答えが一番まともね、なんて呟いて。

    「え?伏黒は何っつったのー?」
    「…それはっ、釘さ…、」

    ムッとした様子で野薔薇ちゃんを静止するけれど、彼女には勿論関係ないようだった。

    「揺るぎない人間性、だって。今の所一番の模範解答よね」

    野薔薇が言うと。

    「悪くないな」
    「うん!素敵だと思うっ」

    真希さんの称賛があって、唯もそれに同意する。
    へぇ、と感心したように虎杖くんは伏黒くんを見て。やや睨まれて目を逸らす。
    そして、あ、と思い付いたように2年生の座るテーブルを見直した。

    「じゃあさ、狗巻先輩は?狗巻先輩の好きな子のタイプは?」

    と、不意に話を振られてきょとんとした顔をする狗巻先輩。
    唯は自分の事でもないのに、ドキドキしながら目線を送る。

    「虎杖あんた…それじゃあ、あの東堂と言ってる事変わりないじゃない…」
    「えぇ…だって、狗巻先輩…ほら、普通にモテそうじゃん?」

    虎杖くんを野薔薇ちゃんが肘で付く。
    その向こう側で、狗巻先輩はテーブルに目線を落とした。少し考えている風に見える。
    窓から入る光を背に、顔を伏せて睫毛に影を落とす狗巻先輩。その顔は、やっぱり綺麗で。唯は思わず釘付けになってしまう。

    「…すじこ」

    と、小さく呟いて。

    なんて答えるんだろう。
    適当に誤魔化すんだろうか、と。

    目を離せずにいると。



    「ツナマヨ、明太子」

    顔を上げて自分の頬に指先を添えた。

    「ん?狗巻先輩、何て?」

    言って伏黒くんを見る虎杖くん。自分で聞いたんだろ、と伏黒くんは眉間に皺を寄せた。

    「笑顔が可愛い女の子、だと」

    それに狗巻先輩は軽く頷いた。

    「ツナ」

    年下、と伏黒くんが告げて。

    「おかか」

    やや不機嫌そうに呟いた。
    真希さんとパンダ先輩は意味を察したように、少し驚いて目を見開く。

    狗巻先輩は机に片肘を付いて、室内を見渡した。
    虎杖くんの向こう側。唯のいる場所で目が止まる。


    「ツナマヨ、おかかー」
      
      “目が合うと、すぐに逸される”


    ほんの少し目を細めて微かに笑う狗巻先輩。紫がかった綺麗な瞳が真っ直ぐに唯を見た。


    「明太子、すじこ、いくら」

      “可愛いし、優しいし、強いし”

    「おかか、こんぶ」

      “でも、時々弱くて”

    「高菜、いくら、しゃけっ」

      “守ってあげたくなる可愛い女の子”




    ギッと、椅子を引く音が辺りに響く。
    立ち上がった狗巻先輩は、虎杖くんに一瞬目線をやってから、ゆっくりと唯を振り返った。先輩の言葉は、あまり上手く聞き取れなかったけれど。

    静かに唯だけを見る紫の瞳は、唯を捉えたまま離さなかった。
    一歩、また一歩と迷いなく唯の元へ進む。

    大きく目を見開いて狼狽えるしかない唯。
    心臓の音が次第に早くなっていくのが自分でも分かる。状況が上手く飲み込めず、ただ真っ赤になる顔を伏せて、狗巻先輩の顔から視線を逸らした。

    「おかか」

    腰を屈めて首を傾け、唯の顔を覗き込む狗巻先輩。するりと伸ばした指先は唯の顎に掛かり、目線を逸らして俯いたその顔をそっと持ち上げる。

    「ツナマヨ」

    小さく呟くその言葉。
    無理矢理に合わさった目線の先は、いつもの狗巻先輩ではなくて。

    「…ぃ、狗巻先輩…っ?…揶揄わな、いで…下さ…」
    「おかか、」

    ネックウォーマーをズラして露わになる呪印の入った口元。狗巻先輩の顔がゆっくりと、静かに唯に近付く。
    苦しいくらいに胸が早鐘を打っている。咄嗟の事に上手く声も出ない。狗巻先輩から目線を逸らす事が出来なくて。周囲を見る事は叶わない。みんなが見ているであろう視線が胸に痛い。
    唯はぎゅっと目を瞑る。

    すじこ、と小さく低い声が唯の耳元で響く。瞬間、唇に固い物が触れた。

    「……………っん、ムぅッ?!」

    ぐぐっと口元に押し当てられて、唯は目を開く。悪戯な笑顔に、思わず口を開けば甘い蕩けるような感触。

    チョコレートだ、と。
    唯は気付いて口元を両手で抑えた。
    心臓はドキドキしっぱなしだし、まだ顔も熱い。

    「すじこっ」

    なんちゃって、と笑って見せる狗巻先輩。
    それに周りの空気も一変して緩んだ様子だった。

    「…棘、悪ノリしすぎだろ」

    狗巻先輩が真希さんを振り返る。

    「おかかぁ」

    「んじゃあ…あれ?結局、狗巻先輩の好きなタイプって…?」
    「めんたいこー」

    虎杖くんの疑問に狗巻先輩は口元に一本指を立てる。内緒だと、と伏黒くんが透かさず虎杖くんに通訳してくれた。
    ええ〜と言いつつも、虎杖くんはそれ以上は何も言わない。そう言えば、とパンダ先輩が提案した野球の話題へと、話は逸れていった。




    唯は静かに俯いて。音としてただ耳に響くだけの会話を聞いていた。頭にそれは入って来ない。
    煩い心臓が鳴り止むのを待つ。深呼吸をして、甘いチョコレートを飲み込んだ。

    「いくら?」

    小さく言われて、唯は顔を上げる。

    「こんぶ」

    ごめんね、と言った狗巻先輩は唯の横にしゃがんで、片手を差し出す。その掌には、袋に包まれた小さなブロックのチョコレートが一粒。

    「…くれるんですか…?」
    「しゃけ」

    笑顔で唯を見た。

    「ありがとうございます」

    唯は素直にチョコレートを受け取る。

    「しゃけ」

    と、空いた狗巻先輩の片手が唯の口元に伸びた。人差し指を一本、優しく唯の唇に当てがい撫でて行く。

    「……………?」

    狗巻先輩はその人差し指を、自身の口元へ運び、ペロリと舐めた。
    その仕草に、また耳まで真っ赤にする唯。

    そんな唯を見て、狗巻先輩はまた悪戯に笑った。
    その唇がゆっくりと動く。


     “ ご ち そ う さ ま ”







    End***












    ***side __



    「揺るぎない人間性、だって。今の所一番の模範解答よね」

    野薔薇が言うと。

    「悪くないな」
    「うん!素敵だと思うっ」

    頷いて、野薔薇、真希に同意する唯。
    そんな彼女に、少しだけモヤモヤした。




    「じゃあさ、狗巻先輩は?狗巻先輩の好きな子のタイプは?」

    と、不意に話を振られてきょとんとする。
    予想は出来た展開だけど。


    虎杖と野薔薇が小声で話すのが耳に入る。
    棘はテーブルに目線を落とした。

    「…すじこ」

    適当に誤魔化そうか。

    ーー否、どうしたら…。

    チラリと彼女に目を向ければ、わくわくした表情で棘を見ていた。

    どうしたらーー…。



    と。少しだけ考えて。


    「ツナマヨ、明太子」
      “笑顔が可愛い女の子”

    顔を上げて自分の頬に指先を添える。
    目線だけで唯を見れば、彼女はただ棘を見ていた。

    「ツナ」
      ”年下”

    そう、告げると唯は目を瞬く。僅かに俯いたように見える。

    「おかか」

    やや不機嫌そうに呟いた。
    真希とパンダは意味を察したように、少し驚いて目を見開く。


    片肘を付いて、室内を見渡した。
    虎杖の向こう側。唯のいる場所で目が止まる。


    「ツナマヨ、おかかー」

      “目が合うと、すぐに逸される”


    揺れる彼女の瞳と目が合う。
    ほんの僅か。唯の気持ちがこちらに傾いている、気はしていたけれど。


    「明太子、すじこ、いくら」

      “可愛いし、優しいし、強いし”

    「おかか、こんぶ」

      “でも、時々弱くて”

    「高菜、いくら、しゃけっ」

      “守ってあげたくなる可愛い女の子”




    机に手をついて立ち上がる。ギッと、椅子を引く音が辺りに響いた。
    聞いた虎杖に一瞬目線をやってから、ゆっくりと彼女を振り返る。


    棘は静かに唯を見て、迷いなく真っ直ぐに進む。

    状況が上手く飲み込めず、大きく目を見開いてただ困っているだろう唯。真っ赤になる顔を伏せて、棘から視線を逸らした。


    ーーほら、また目を逸らした。


    「おかか」


    腰を屈めて首を傾け、唯の顔を覗き込む。棘の顔に更に俯き逃げる彼女に、手を伸ばした。指先が顔に触れれば、微かに反応してぴくりと動く。
    唯の顎に手を掛けて、目線を逸らして俯くその顔をそっと持ち上げる。


    「ツナマヨ」

      “こっちを見て”







    End***





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