狂児はこうやって僕のことを撫でたり「可愛いなあ」って褒めてくれるけど、僕の知らないところで、誰かを殴ったり恫喝したりしてるんやな…と、聡実はしみじみ思った。
別にそれがどうだの言うつもりは無いが、不思議な感じがした。
乾燥機をかけたばかりの、あたたかな布団の感触と、狂児の体温を感じて目を閉じた。
「聡実くん、もうおねむなん?」
「ん…」
優しい声で話しかけて、頭を撫でてくる。
いつも「聡実くんの髪の毛、さらさらやなあ」と褒めてくれる髪に指を通すと、狂児は柔らかい感触を楽しんでいるようだった。
「狂児は…」
「ん?」
「…何でもない」
誤魔化すように胸元に顔を埋めると、狂児は、そっか。とだけ言って額にキスをしてきた。
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