死にぞこないの見る夢ベルトルトに会いたい。
素直にそう思うことがある。
指を軽く握って手の甲にキスしたり
抱きしめたり、
あいつが恥ずかしそうに笑うさまをどこまでも見ていたい。
「……朝か」
今日も今日とて俺は起き、裏庭の井戸で水をくむ。
地下の奥深くから引き揚げられるそれは何とも冷たくて、あいつのいる地獄はやはり寒いんだろうかと考えてしまう。
その水で喉を潤し、顔を洗って鏡を見れば、目の下に隈を作った死にぞこないの顔がある。
最近同僚が焼き始めた試作用の堅いパンをぎりっと噛じり、あいつも今頃食っているかなと窓を見る。
今日もいい天気だ。
なあ、そうだろう相棒?
*
一人掛けのテーブルは僕には小さくて狭い。
でも地獄だから仕方がない。
ろうそくの明かりがつき、色の薄いスープが出ると、この地下牢にも朝がきたことが告げられる。
1405