萩原研二×男夢主になる予定──運命とは時に残酷で、無慈悲に誰かの人生を傷付ける。
11月7日。俺にとっての運命とは正しくこの日である。
世間からしたら、そういえばちょっと前にこんな事件あったな、くらいの認識だろう。しかし、俺は確かにその場に居合わせて、爆弾と対面して、命の駆け引きをした。
忘れられるわけが無い。他の隊員達の焦った声や防護服越しに感じた熱を、恐怖を。死を目前まで迫られたあの瞬間を、忘れられるはずが無いんだ。
「はぁ……」
あれから数年。なんとか一命を取り留めた俺は、日常生活を送るのには申し分ない程回復した。普通に歩けて、普通に話せる。
ただ、右手が少し震えてしまうだけ。ただそれだけなのに、全てを失った様な気分になってしまう。
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