死者の日の話「あかん、ごっつい人混みや」
どうやら、待ちのお祭りでもみくちゃにされてしまったらしいウルフウッドが疲れた様子で宿に戻ってきた。
「あはは、随分酷い顔だ」
ヴァッシュはその顔をみて、なんだか嬉しそうに笑う。ドアを開けて招き入れるとテーブルの上には、ウルフウッドが喜びそうなモノが既にずらりと並んでいた。
彼の好きな銘柄の煙草、好みの酒につまみ、着替えのシャツまで準備されている。
「随分用意がええな、とんがり」
「この町のお祭りは、ちょっとレベルが違うから」
宿の窓から外を覗くと、ずらずらと多くの人が行き交い会話をして楽しんでいる。
それでも、喧噪という程うるさくは無く、夜風と人々の話し声が心地よかった。
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