宝箱を開けて。初めは、兄のようで心地が良い友達で幼馴染。
次にいつも僕を助けてくれるヒーローで大事な親友。そして今は、そんな君に恋している。
同性という壁以前に、僕はクラスのいじめっ子たちからは目つき悪いんだよ、ブサイク!と言われるぐらい見た目も良くないし、かと言って勉強もできなければ運動もできない。おまけに根暗で性格も良くない。
しかも、生まれてくる時に運を使い果たしたのではないか?と思うくらいのタミヤ君との14年間の絆に日々を入れることはとても勇気のいることだ。
同じく親友のダフにだって迷惑をかけるかもしれない。
だからこんな気持ちは伝えたくない。
この気持ちが君に伝わってどう変化するのか。
好奇心よりも恐怖が勝つ。
「俺のことそんなふうに思ってたんだな…親友だと思ってたのに」
僕に幻滅してしまう君を見たくない。
「ありがとうな!でもごめんな…お前の気持ちに気づいてやれなくて」
僕に同情して変わらず接しようとする君を見たくない。
そんな君がするであろう反応で僕は今日も今日とて、恋心を鎮めている。
この気持ちは大事に大事に宝箱に入れて
誰にも傷つけられないよう
見つからないよう
鍵を閉めて隠しておくんだ…
「大好きだよ…。タミヤくん」
そうして今日も君に隠して愛を吐くんだ。
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初めて会ったのは赤ん坊。
初対面の印象なんて覚えてるはずもない。
生まれた時から一緒なのだから。
覚えている最初のあいつは、弟のような一緒にいて安心する友達で幼馴染。
次に芽生えたのは、目を離せない。放って置けない心許せる親友。
今は、もう1人の親友とはまた違う。目が離せない、誰にも渡したくない存在。
最初に気づいたのは、あいつが自分でもダフでもない誰かと楽しそうに話している時生まれて初めて言葉にできないむず痒さを感じた。
そして、それから徐々に心がもやつくことが増えていく。
クラスのやつと周りの女子校の話をしていると、輪の中の1人がカネダに肩に腕を回して、耳打ちしている所を見た時。
雷蔵がカネダに冗談で「いい子じゃない!!カネダにしては上出来よ〜!褒めてあげるわ!」と頭をわしゃわしゃと撫でている時。
1番心がざわつき自分の気持ちを理解できたのは「ゼラ、すごいよね」と自分以外の誰かを褒められた時。
これがダフなら同じように思えたかもしれないが、
他の…ましてやゼラなのだからイライラを隠しきれない。
恋愛というものがいまいち理解できない俺だったが、誰かに取られたくないという気持ちと守ってやりたいと思う気持ち…これは俺なりのあいつに思う恋心というやつだろ。
そして、俺は恋してる相手は俺のことが好きなのも実は知っている。14年間一緒にいて気付けないわけがない。まぁ、あいつは隠しているようだが…
あの様子だときっとカネダは俺に気持ちを伝えず、大事にしまっておくつもりだろう。
カネダは昔から本当に大切にしたいものは、大事にどこかに隠すんだ。今回だって、俺への気持ちは厳重にしまってしまうんだろうな。
ただ、俺は昔から隠されてると探したくなる知りたがりで
ましてや、俺の気持ちでもあるのだから…
遠慮なくその宝箱は開けさせてもらうよカネダ。
「俺も好き。お前はどうしたい?」
そうやって、俺は俺の愛でお前が逃げないように閉じ込めてしまうんだ。