grá an tsolais「すげぇ…、本当に綺麗だな…。」
「そうだね。」
壮大な夜空に青、緑、水色の光の帯が広がり揺らめいている。これが自然が織り成すモノだと思えない程の美しさがあった。ふっと横目でルークを見ると、この幻想的な光景に目を輝かせている。ルークが一緒に見たいと言ったから着いてきたが、見れて良かったと自分らしくない事を思う。
「なんかオーロラ見ていたら、過去の事思い出すな…。」
「そう?」
「うん、今までこんな景色見る余裕もなかったし、何より元々敵同士だったシンクとこうして同じ景色を見れるって奇跡だなって、凄いなって思って。」
「確かにお互いこんな風に「空」を見ている暇がないくらいに必死だったしね。」
だからこそ、残酷なまでに美しく見えるのかも知れない。そっと目を閉じると思い出す。ルークと初めて会った事、恋人同士になった事。そして、最終決戦等で対決し敗れた事。決して良い思い出ばかりではないけれど、それでもボクにとっては大切なものだ。
…ルークの言う通りだな。こんな世界を触れられるような光景を、世界から外れ、そしてかけて戦ったボクらが見ているんだ。奇跡、そう思う気持ちも分からないでもない。静まり返ったこの空間でしばらく揺らめく光の帯を二人で見入っているとルークがポツリと呟いた。
「眩しいくらいに…本当に綺麗だ…。」
そんなルークの顔は少し切なそうに感じた。彼自身思う所があるのだろう。自分の生きた罪、行った罪。それらをこの光景はまるで許そうとしているように思えたのだから。そう思ってるとルークに声を掛けられた。
「…なぁ、もし…世界が終わるとしたら、シンクは何を望む?」
「ボクはそうだな…。」
聞いてきたルークの声があまりにも真剣だった為、茶化さなかった。それに大事な恋人の聞いてきた事を無下にする程、ボクも愚かではない。真剣に考えると最初に浮かんだのが隣にいるアンタの事だった。
ーーー終わるとしてもアンタの笑顔、真剣な表情。どれもこれからも見ていたい。
これからもアンタの傍に居たい、アンタの隣で笑い合っていたい。ーーー
そう心から思う自分が居た。こんな感情抱いたのはルークだけだった。ルークから教わった事だ。だからこそ大切にしたい。それってまるで「愛してるよ」って言っているようにも思え、我ながら少し照れ臭くなって顔を背けるとルークが不思議そうに覗き込んできた。
「シンク?どうした???」
「何でもないよ。」
気持ちを落ち着かせてルークに向き合うと期待したような顔を向けられた。ころころと変わる表情が思わず笑みが零れる。
「お、考え付いたのか?」
「まぁね、答えはナイショだけど。」
「なんだよ、それっ」
そう言って、笑うルークに一歩近づき問う。
「ねぇ、ルーク。」
アンタは世界が終わる時、何を望む?
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オーロラの意味
「愛と調和の象徴」