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    金白/白金

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    金白/白金

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    爽やかな親友の話

    心優しい親友変化のない、退屈な毎日
    今日もいつもと変わらない一日

    そんな美しくないことは許せないと思い、
    午前中に全ての執務を終えて、神殿を抜け出す

    そして、ある人へと続く森を僕は駆け足で通り抜けた



    「はぁ、はぁ…っ、」



    美しさを保つために鍛練をしているが
    やっぱり走るのは苦手だ、段々と速度が落ちてくる

    けれど、決して足は止めない




    「おーい!カデンスー!」




    長い森を抜けて目的の場所へ辿り着くと
    庭先で作業をしている彼が見えた



    「…アルジャナ?」




    彼はカデンス
    僕の大好きな、大切な親友




    突然来訪した僕に彼は驚き、作業の手を止めて
    こちらを向く



    「カデンス!美しい僕が遊びに来たぞー!」
    「相変わらずだなぁ、…あ、おい足元!」
    「へ?…うおぉあ!?」



    走ることに夢中だった僕は、
    咄嗟に彼がくれた合図には気付かなかった


    足元に、大きな土竜が顔を出していたらしい
    情けない声を出しながら、僕は盛大に躓いた


    まずい、この美しい顔だけは守らねば
    そう思うが、瞬時に受け身をとれるはずもなく
    地面へと無様に倒れる未来が見えた



    「…っ!!」





    と思ったが、衝撃は来なかった




    「大丈夫か!?アルジャナ!」
    「カデンス!」



    カデンスが転ぶ寸前の僕を受け止めてくれた
    ひょいっ、と軽い力で抱き起こされる



    「全く、気を付けろよ?」
    「すまない……君に早く会いたくてね、周りが見えていなかったみたいだ」
    「…そっか、怪我がなくて良かったよ」



    そう言いながら、彼は優しい手つきで
    僕の服に付いた埃を払ってくれる



    「カデンスのおかげで僕の美しさに傷が出来ずに済んだよ、ありがとう!」
    「ほんっとに、相変わらずだよなぁ」

    「む、相変わらずってどういう意味だい?」
    「別に、気にしないで…あ、葉っぱも付いてる」




    呆れたように笑うカデンスは
    葉っぱを取るために僕の髪に触れる





    「…カデンス?」
    「んー?」





    葉っぱを取るにしては動きの鈍い彼へ声を掛けると、美しい常磐緑の瞳と目が合った






    「葉っぱ、取れたかい?」
    「……うん、取れたよ」

    「そうか、ありがとう!」
    「どーいたしまして」




    ニカッと笑う彼を見て、改めて思う



    木漏れ日に照らされ輝く、漆黒の髪も
    永久に色褪せない、深い常磐緑の瞳も
    優しく柔らかで、温かい笑顔も


    全部が全部、美しくて大好きだ
    そう思うと、退屈な一日がひっくり返るほどに
    煌めいて見える




    「…そういえば、フルーツタルト作ってあるけど食べる?」
    「何?!もちろんだ!カデンスが作ったモノなら全部食べたいから是非とも頂こう!」

    「そりゃ嬉しいな、じゃあ家へどうぞ」
    「ありがとう!お邪魔するぞ!」




    美しい宝石のようにキラキラと光るフルーツが乗った、カデンスお手製のフルーツタルトを頬張りながら、いつものように、彼にたくさん話を聞いてもらう



    「…それで使用人たちは朝から大騒ぎさ!」
    「アハハッ、やっぱアルジャナの周りは面白い人ばっかりだな、それに美しいってのも大変なんだね」

    「まぁね!でも美しいだけじゃ、やっぱり退屈なときもある」
    「へぇ、そういうものか…」





    僕の周りにありふれる他愛ない話
    彼は全てに頷き、全てを聞いてくれる




    「……なぁ、アルジャナ」
    「なんだい?カデンス」

    「もし俺が、アルジャナの周りの人みたいに着飾ったら、どう思う?」
    「む?どういう意味だい?」




    フォークを皿に置きながら、彼がそう言った




    「俺も同じように着飾れば、アルジャナの言う美しいってのが分かるのかなぁって思ってさ」




    いつもと変わらない表情の彼と目が合う
    なんとも不思議なことを言うもんだ




    「何を言うんだカデンス、君は君のままで十分美しいのに、それ以上どこを着飾る気だい?」
    「え?」

    「僕はそのままの君が好きなんだ、だから別に着飾らなくても良いと思うぞ!」
    「そう、かな…?」

    「そうだとも!」
    「そっか……ありがとう」



    嬉しそうに笑う彼を見て
    僕も嬉しくなり笑う





    「まぁ、どんな姿になっても君は君のままだから、そのままの君に似合う新しい美しさを追求するのも、悪くないかもしれないね!」





    僕の美しい、大好きな自慢の親友
    僕の自慢のものを、彼にも共有したい



    大好きな僕の美しい親友を
    もう一人の親友はどう思うだろうか?

    きっと、彼の心優しいところを好きになってくれるに違いない





    「そうだカデンス!今度僕の親友を紹介しようと思うんだが、連れてきても良いかい?」
    「そりゃ楽しみだ、もちろん良いよ」






    彼らは、分かり合えるだろうか?
    まぁ僕の親友なら、心配はいらないだろうけど







    「紹介するぞ、僕の親友だ!」
    「コレ!?」
    「………」
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