ボクは、自分は結構経験豊富な人間だと思う。
まだまだ大人とは言えない歳だけど、色んな冒険をして、たくさんの人に会ってきた。生まれた場所とは違う世界でも、ボクらしくめげずに生きてる。
僕の知り合いは曲者揃いだ。だからそんじょそこらの変人なら、動じずに臆せずに接することができる。それが良いことなのかと言われると、首を傾げるしかないけれど。
つまり何が言いたいかって、不審者に絡まれても女の子らしい可愛い反応が出来ないのって、ちょっぴり悲しいよねってハナシ。
「ハァ……二人とも本当に綺麗だねぇ、おじさんとお茶しよう?」
『……』
ルルーと二人で街を歩いていたところ、知らない人に話しかけられた。ルルーは美人だし、こういうのに困っているってそういえば以前から言っていた。大変だなぁと他人事のように思っていたけれど、どうやらこのおじさんはボクにも興味があるらしい。十六歳のボクもそういう目で見るなんて、このおじさんは本物の不審者だ。
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