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    おまめさん

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    ハッピーバレンタイン!

    💜♀にモブ彼氏がいる設定です(出てはきません)
    過去作品にこのシリーズのがあるのでよろしければ…!

    #mafiyami

    中三💛→高二💜♀ いつもより三十分早く、つまりアラームが鳴るより早く、目が覚めた。布団から出て、伸びをする。洗顔、歯磨き、ヘアセットを済ませて、制服に着替える。昨日はきちんとハンガーにかけたから、変なシワが寄ってたりはしない。
     完璧だ。なんたって今日はバレンタイン。きっとシュウがチョコレートを持ってきてくれるはずだ。
     準備を終えた俺はリビングのソファに陣取って、チャイムが鳴る音に耳を澄ませていた。(母さんは気味悪がって、俺に話しかけなかった)
     十分ほどして、チャイムが鳴った。シュウ以外にありえないから、俺は即座に立ち上がって玄関へ走り出す。勢いよく扉を開けると、びっくりした顔のシュウがそこに立っていた。
    「シュウ! おはよう!」
    「お、おはよ…? どうしたの、早いね」
    「いやっ、んー、別に? たまたま目覚めちゃって」
     チョコレートが楽しみで早起きしましたなんてのは少し格好悪い気がして、咄嗟になんでもないふうを装ってしまった。
     シュウは楽しそうに目を細めて、「毎日そうしてくれたら、お母さんも僕も楽なのにね」と笑いながら言った。ケラケラ笑うシュウは可愛くて、俺は思わず見惚れてしまう。ちなみに母さんは別として、俺はシュウに起こされるのが大好きなので、しばらく改善するつもりはない。(だって新婚さんみたい)
    「ああ、そうだルカ。今日はね、渡したいものがあって」
    「え!! な、ふは、なになに」
    「んふふ、今日はバレンタインだからね。僕からプレゼントだよ」
    「!! やった、あ、ありがと!」
     シュウに飛びついてしまいそうなのを我慢して、紙袋が差し出されるのを待った。深いブルーのシンプルな紙袋。店の名前とかは書いてない。
     手渡されたそれを横から、裏から、下から、上からじっくり見て、少しだけ中を覗き込んだ。シンプルな箱に入れられた、シンプルなチョコレート色のケーキが入っていた。
     顔を上げると、シュウは少し照れたみたいにはにかんでいて、もしかして、と俺は口を開く。
    「これ、手作り?」
    「あは…うん、まあね」
    「最近は買ったやつなのに! 嬉しい!」
    「んはは、お口に合えばいいけど」
     もうかっこつけるなんて無理で、シュウの目の前でぴょんぴょん跳ねてしまった。
     本当にここ数年、シュウはバレンタインのチョコレートを手作りしなくなったのだ。まあ、勉強だったり、色々忙しくて。それでも毎年ちゃんと渡してくれるから、それだけで満足だったのに! まさか、手作りなんて!
     本当に嬉しい! シュウに抱きつきたいのを我慢したところで、気付かなければいいのに、俺は気づいてしまった。シュウの手に握られた、俺のと同じデザインの、もう一つの紙袋に。
    「それ………なに?」
    「ん? ああ、先輩にあげるやつだよ」
    「せっ…んぱいって」
    「前ルカがうちに来たとき会った人だよ。忘れた?」
     そのときの記憶が蘇る。シュウに似合わない普通の人だった。当たり前みたいにシュウの隣に座って、『彼氏です』なんて俺に手を差し出して。俺は思わず睨んでしまったけど、何でもないふうに笑ってて、ちょっとイラっとした。
     そんな男とシュウがまだ付き合ってて? 俺と同じバレンタインのチョコレートをそいつがもらうの?
    「………」
    「ルカ?」
    「それも俺がもらう! ちょうだい!」
    「え?! ダメだよ、何言ってんの?」
    「ほしい」
    「もう…ダメだってば」
     そう言ったシュウの声が少し冷たく感じて、怒らせたかもと思うと俺はそれ以上は言えなかった。シュウが彼氏にチョコレートを渡すよりも、シュウに嫌われてそばにいられなくなることのほうが、ずっと怖い。
     視線をシュウのローファーに移すと、シュウは小さく息を吐いて、俺の頭をぽんと撫でた。俺より大きかったシュウは、少し見下ろすくらいになっていた。
    「ルカはそれ食べてね」
    「………うん」
    「んはは、いい子。怒ってないから顔あげて」
    「子供扱いしないで…」
    「拗ね方が可愛いんだもん」
     可愛い。そう褒められて、俺の気持ちはちょっとだけ上を向いた。もちろんかっこいいって言われるほうが嬉しいけど、怒られるよりは可愛いのほうが百倍いい。
     シュウと視線を合わせて微笑んでみせると、シュウもにっこりと笑みを返してくれる。気の抜けるような笑い声が、すきだ。
    「じゃあ、僕もういくね」
    「え! 朝ご飯は?」
    「ちょっと用事があって。あ、そうだ。帰りも…えーっと…遅くなるから、晩御飯は家で食べなね」
    「え?! そうなの?」
    「うん。あ、じゃあもう行くね。また明日」
    「えっ…またあし、え!?」
     シュウは軽く手を振って、早足で出ていってしまった。
     ………今の言い淀み方、晩御飯は絶対に彼氏だな。気付いてしまった自分が嫌で、その場にしゃがみこんだ。手元には、シュウの手作りのバレンタインケーキ。
     嬉しいような、嬉しくないような!! 複雑な気持ちのまま、俺の一日は幕を開けるのだった。
    (ちなみに、夜はシュウがちゃんと帰ってくるか心配で、ずっと窓から外を眺めていた)(二十時前に彼氏と一緒に帰ってきた)
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