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    nantonac64

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    漫画用シナリオ2

    #創作
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    #オリジナル
    original
    #original
    #シナリオプロット
    scenarioPlot

    【オリジナル漫画】『these stones』時計編 シナリオ2漫画用シナリオ

     イーハイ「……それで、何かフマンでもあるんですかねぇ?」

    [イーハイの見つめる先で、褐色肌の青年が手に持っている『ノムレスの心臓』を見つめている。心臓には『B133526』と書かれている。ややあって、褐色肌の青年は微笑みをイーハイに向ける。]

    ???「……いいえ。特にありません。」
    ???「お疲れさまでした。」
    イーハイ「……………。」
    イーハイ「ねぇ、ルッツ殿。」
    イーハイ「………それ、……どうするんですか?」
    ルッツ「どう……とは?」
    ルッツ「『これ』の件に関しては貴方が処理をされたのでは?」
    イーハイ「まぁ、はい。」
    ルッツ「なら、それで結構ですよ」
    イーハイ「……あ、そ。」
    ルッツ「残りは我々の仕事ですから……。」
    ルッツ「あとは、あちらさえ上手く行けば良いのですけど……。」
    イーハイ「アチラ……?」

    [ルッツが微笑む。]
    [場面代わり、とある場所。白衣の女性が何者かに追い詰められている。女性の周りには多くの死体が転がっている。]

    ???「………厄介者とは聴いていたけど、想像するよりもとんでもなかったみたいね」
    ???「……あー、つまらねぇ。」
    ???「ホントーにつまらねぇ。」
    ???「……………」
    ???「話が通じる相手なのかしら、あなた。」
    ???「あァ?」
    ???「ちょっと、ちょっとー。隊長ってばさ、目的を忘れないで欲しいなぁ。」
    ???「………」
    ???「……こ…子供… 何処から……」
    ???「子供とは失礼な。年はお姉さんほどではないけど、成人してるよ?」
    ???「………あなた、トポリ=トトホリね……」
    トポリ「あれ? よく知ってるじゃない。」
    ???「良くも悪くも……だけど。」
    トポリ「はぁ〜、なら話が早そうだ。」
    トポリ「そう思えば、ボクらが有名なのも偶には悪くないかもね。」
    トポリ「じゃ、ボクらがここに来た理由も察しがついてるわけだ。」
    ???「…………」
    トポリ「一緒に来てもらうよぉ?」
    トポリ「レンカ=ベルドリッチ博士。」
    レンカ「…………」

    ???「……あ〜あ。」
    ???「めんどくせぇ。」
    ???「どっかにいねぇかな、」
    ???「最高に闘えるヤツ。」


    These Stones


    ササラギ「そんなもん探してどうするんです?」
    クリス「ご親族がいるなら返してあげたいじゃないですか。」
    ササラギ「ご家族死んでるんじゃないですか?」
    クリス「人の心無いんか、あんたは。」
    マッキンリー「おーい、ササラギ。」
    マッキンリー「洗濯物出しやがれ………って、なんだ? クリスもいたのか。」
    クリス「あ。マッキンリーさん。おはようございます。」
    マッキンリー「ああ。おはよう。」
    マッキンリー「で、何の話をしてたんだ?」
    クリス「昨日の時計の件です。」
    クリス「ご家族がいるならお返ししたほうがいいかなって」
    マッキンリー「ああ……。『心臓』持ちの……。」
    クリス「なので、身元を調べたいんですけど……」
    マッキンリー「…………………。」
    クリス「………………?」
    クリス「マッキンリーさん?」

    [マッキンリーを見つめるササラギ。]

    ササラギ「マッキンリー」
    マッキンリー「………へ?」
    マッキンリー「あ、……ああ。何だ?」
    ササラギ「その件はあなたに任せますんで、どうにかしておいてください」

    [自分の執務机から離れるササラギ。]

    マッキンリー「は? どうにかって……」
    マッキンリー「おい、どこ行くんだ?」
    ササラギ「イーハイくんに『処理』を任せたのを忘れて委任状を書いていませんでした。」
    ササラギ「洗濯のついでについでに出しておいてくださいね」

    [ササラギはそのまま部屋から出て、扉を締めてしまう。]

    マッキンリー「…………ってちょっと待てぇッ」
    マッキンリー「なんで俺が代筆すんだよ」
    マッキンリー「しかももういねぇし」
    クリス「清々しく押し付けられましたね」
    マッキンリー「まぁ、いつものことだがな……。」
    マッキンリー「………で、クリス。さっき、あいつはイーハイに処理を頼んだって言ってたな。」
    クリス「はい。イーハイさんがあの時計を投げてよこしたんです」
    マッキンリー「なるほどな。それで『委任状』か。」
    クリス「………えっと?」
    マッキンリー「どんな事件でも、死体とかが発見された場合の話なんだが、」
    マッキンリー「最後にそれを請け負ったやつが後々の面倒を見ることになってるんだ。」
    マッキンリー「だから、今のところはイーハイのやつに身元や素性を調べる権限が移ってる。」
    クリス「え、じゃあ僕たちには調べる権限がないんですか?」
    マッキンリー「そうだ。今のところはな。」
    マッキンリー「ただ、その事件の発見者で、処理を別の人間に任せたという証明があれば俺たちにも捜査権限が降りるんだよ」
    クリス「証明ってことは……」
    クリス「委任状にイーハイさんの署名をもらう必要が出てくるんじゃ……」
    マッキンリー「………あいつなりの捜査許可だと思っておこう。」
    クリス「………!」
    マッキンリー「とりあえず、今日はそろそろ他の班が戻る頃だ。全員戻るまでには書類を作っておくから、クリスは外出の準備をしておいてくれ」
    クリス「……ありがとうございます!」

    [礼をして急いで部屋を出るクリス。閉められた扉を見るマッキンリー。]

    マッキンリー「……………」
    マッキンリー「ササラギ………」
    マッキンリー「あいつ、また何か隠してやがるな……」

    [一方、自分の部屋に向かうクリス。]

    ???「よう、少年。そんなに急いでどこに行くのかね?」

    [驚いて振り向くクリス。そこには一人のメカニックのような出で立ちの男が立っている。]

    クリス「ジーニアスさん?」
    ジーニアス「おう。昨日はお疲れ様だな。」
    ジーニアス「して、何をそんなに急いでいるのかね? たしか君は戻ってきたばかりで休みだったはずだが?」
    クリス「あ、実は……」

    [経緯を話すクリス。]

    ジーニアス「時計の持ち主の身元調査ねぇ……」
    ジーニアス「その持ち主ってぇのは、昨今話題の行方不明者リストの中にはいなかったのかね?」
    ジーニアス「死体は見たんだろう? 『心臓』の。」
    クリス「………『心臓』の侵食が激しくて、元の形がどうだったか分からない状態だったんです」
    クリス「昨日、リストを漁ってたんですけど……あんまりピンとくる顔の人がいなくて。」
    ジーニアス「それじゃあ、仮にイーハイのヤロウに委任状を貰って、死体をじぃ〜っくり見れるよーになったところでどうにもならん気がするんだが?」
    クリス「……あ。」
    ジーニアス「少年よ、さては舞い上がっておったな?」
    クリス「………じゃあ、イーハイさんはどうして時計を寄こしたんでしょうか……」
    ジーニアス「時に少年」
    クリス「え?」
    ジーニアス「直面したくない事実に立ち向かわなければならない時、」
    ジーニアス「君ならば……どうする?」
    クリス「え………どういうことですか?」
    ジーニアス「世の中というのは思っているよりもずぅーっと複雑ってことだ、……少年。」
    ジーニアス「だが、どんな優しい嘘でもいつか暴かれる必要が来るときがある。」
    ジーニアス「それを忘れないでやってくれ。」
    ジーニアス「君がこれを追おうとするならな。」
    クリス「………………」
    クリス「よく分からないですけど、」
    クリス「僕がやろうとしていることは誰かを傷つけること……かもしれないってことですか?」
    ジーニアス「どうだろうなぁ。」
    ジーニアス「他人のことなんぞ儂にはさぁっ〜ぱり分からんよ。」
    ジーニアス「……だが、誰かが見たものは変えられんのだよ。」
    クリス「………………ジーニアスさん……?」
    ジーニアス「ま、儂が今痛いのはどっちかといえば懐の方だがなぁ〜!」

    [戯けるジーニアス。クリスに顔を見せないように背を向けている。その姿をクリスは見て、一度目を伏せ、もう一度ジーニアスをまっすぐ見た。]

    クリス「それ、言ってて悲しくなりませんか……?」
    ジーニアス「ぶっちゃけ、処理は悲しくなるほど大変だった」

    [不思議な表情で笑い合う二人。]

    ジーニアス「さて、先人の戯れであまり若人を引き止めるのは良くないな。」
    ジーニアス「……程々にな、クリス少年。」
    クリス「えと……………」
    クリス「ありがとうございます」

    [礼をするクリス。]

    クリス「それじゃ……また後で!」
    ジーニアス「おう、また後で」

    [クリスの背に向かって手をふるジーニアス。彼は独り立ち尽くす。]

    ジーニアス「『ノムレス』……その名はもはや呪いみたいなものだな」
    ジーニアス「………儂は背を押したぞ?」
    ジーニアス「未来あるべき者たちの為に、な……」

    [物陰の何者かが彼の言葉を聞いている。]

    [場面変更。イーハイ、自分の詰め所に戻ってくる。]

    ???「おかえりなさいませ」

    [イーハイに、メイド姿の女性が頭を下げる。]

    イーハイ「うん、ただいま」
    ???「………そのお顔、……あまりよろしく無さそうですね」
    イーハイ「うん、まぁ……ね。」
    ???「………気になることがあるんですね」
    イーハイ「…………」
    イーハイ「うん」

    [イーハイは空を見上げる。]

    イーハイ「ねぇ、ナギサちゃん」
    ナギサ「はい」
    イーハイ「もしも願いが叶うなら、」
    イーハイ「どんなことでもやり遂げられたりする?」
    ナギサ「…………唐突な質問ですね」
    イーハイ「………うん、そうだね」
    ナギサ「…………答えるとしたら」
    ナギサ「私なら、そんな都合のいいものは最初からない」
    ナギサ「と、切り捨てます」

    [イーハイの口元が動く。]

    イーハイ「うん」
    イーハイ「ナギサちゃんらしいや」
    ナギサ「………そうですか」
    イーハイ「……………」
    イーハイ「祈りも呪いも、誰かの願いだって……キミは言ってたね」
    イーハイ「……そう遠くない未来に、誰かの『願い』が成就する日がくる」
    イーハイ「その時の為に、オレたちもやれることをしよう。」
    イーハイ「積み重ねられた、夢みたいな物語が始まる日まで」


    【2話終了】
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