ぴーちゃんとぷーちゃん『風邪引いた』
語尾も付けられない程の酷い風邪だった。ベッドで布団に包まって三日目、悪寒と関節痛に成人男性も脂汗をかき耐えるしかなかった。病院で処方された風邪薬は飲んだばかりで効果はまだ現れない。枕元に置いたスポーツドリンクよりもスマホを取り夢現に文字を打つ。チームメイトしか知らないこの状況を第三者に教えるつもりは無かったが、ほんの少し、僅かな孤独感が魔を差して異国の地で同じバスケに励む恋人に訴えた。
「はあ、」
こっちが昼なら向こうは夜。時差を考え、深津はスマホを投げると布団に包まって目を瞑った。
それからどれくらい眠っていたのか。風邪特有の嫌な夢を見た。ゾンビになった沢北に追い掛けられたような気もするし、その後河田にヘッドロックされた気もする。多分、泣いているだろうな。その沢北ゾンビは。
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