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    hatori_tks

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    hatori_tks

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    高佐結婚本に入れようと思っていた、佐藤さんが有美さんに結婚報告をする話の一部。
    いつ書き上がるか分からないから、チョロだし。
    セリフとか完全に練れていない。

    親友の結婚 美和子はコーヒーを一口飲んでカップを置くと、一呼吸置いた。
    「由美、私、高木君と結婚することにした」
     すこしはにかんだその笑顔は柔らかく、意思の籠った優しい音がじわっと私の心に沁み込んだ。
    「よかったわね」
     考えるよりも先にその言葉が出てきた。
     ぐっと目頭の熱さを感じると、途端に溢れた。
     湧き上がる感情が形になる前に流れ出ていく。
     顎を伝う冷たさに自分が泣いていることを認識した。
     心からの安堵と、少しの寂しさが混じっている。
     慌てて紙ナプキンで目を押さえてから、その時作れる最大の笑みで言った。
    「おめでとう、美和子」
     言っているそばから口元が歪んで、また溢れ出てきてしまった。
    「やだ、もう恥ずかしい、全然止まんない」
     美和子と高木ならいずれ結婚する未来は予想がついていて、何も驚くことはない。
     ただ、お互いに結婚の意思を固め家族になることを決めたことが嬉しかった。
     松田陣平との鮮烈な別れ。彼女の人生に大きな影を落とし、その暗闇の中をなんとか生きる彼女を見てきた
     ずっと心配だった。神がこの世にいるというなら、なんで美和子ばかりこんな目に合うのだと理不尽に思っていた。
     その彼女が今心から笑えているそれだけで嬉しくて、仕方がない。

    「美和子、いま幸せ?」
    「うん。今までもずっと幸せだったわ」
     彼女が自分の幸せを肯定しきる姿に、また涙が込み上げてきそうになった。
     
    「由美……いつもありがとう。由美がいなかったら私、ここまでこれなかったと思う」
    「私、何もできていないよ」
    「そんなことないよ。勝手に思い詰めて突っ走る私をいつも引き留めてくれていたじゃない」
    「あんたのイノシシっぷりはいつもみていて心配になるのよ。自覚していたのね」
    「最近ようやく気付いた」
    「あんたね」
    「これからもさ……私が何かに迷ったときに、そばにいてくれる?」
    「そんなの迷ってない時もそばに居てやるわよ」
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    k_kuraya

    DONEベレトの眷属にならなかったディミレトの幸せについて考えた、二人の約束についてのお話です。転生を含みます。【約束の果てに 1−1/2】

     澄み渡る青空に白い花が舞うのを、ディミトリはベッドボードに背中を預けながら眺めていた。今年も降雪の季節がやってきた。あの花弁は一枚一枚がとても冷たく、明朝には降り積もってフェルディアを白銀に染めるだろう。
     居室の窓は大きな造りで、ベッドの上からでも外の景色がよく見える。暖炉の中の薪がパチパチと乾いた音を立てており、室内はまどろむような温かさがあった。桟に僅かに積もった雪が室温に温められて溶けていく。
     冬季が長いファーガスでは毎年早い時期からの冬支度に余念がないが、春の訪れを待たずに凍えて死ぬものも、餓えて死ぬものも、今はいない。民には豪雪でも耐え抜く強固で温かい家があり、温暖な季節の蓄えも十分にある。雪が深く積もれば生活の不自由さは享受しなければならないが、それでもかつてのように貧しさゆえの辛酸を舐めることはもうないのだ。
     ディミトリは雪が舞うのをただ静かに見つめている。
     ファーガスは元来、王を戴き女神を信仰する騎士の国である。勤勉で清廉、信心深く辛抱強い国民性は、この雪とともに育まれたように思う。だからだろうか、ディミトリは真っ白な雪を見ると 5258