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    キラライ

    自創作の過去絵まとめたり
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    キラライ

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    フォーチュンドール本編30

    フォーチュンドール5章2話夏希は武器のメンテナンスのために翔織のもとへ向かおうとしていたが、そういえば会議は終わったのだろうかと思い、施設の入り口前で立っていた。そこに他の客人なのかもう一人、男の人が施設の入り口に向かって歩いてきた。その特徴的な見た目に夏希は見覚えがあった。体が半分機械になっているその男。藤宮鯆であった。夏希が鯆に気付くと声をあげる。

    「あー!」
    「なんだ私に何か用か?
    「お前は前に将信の事襲ってた!」
    「将信…?」

    鯆は少し考えた後、思い出したようで険しい顔をする。

    「あぁ、尼波の彼氏か…」
    「彼…氏…」

    夏希は笑いを堪えて鯆と会話を続ける。

    「尼波はこの特区に来ているのか?どこにいるんだ?」
    「いや…どこに…ぶはっ!」
    「何を笑っている。」
    「いやぁ~、彼氏って!彼氏って!ひぃ、あはっは!ま、まぁどこにいるかはわからないな~。いや、わかっていても教えないよ!知ったところでどうするつもり?」
    「殺すまで」
    「よくわかんないけど、そうはさせないよ。」

    夏希は見えないカバンからライフルを取り出し構えるが。先に動いたのは鯆の方だった。鯆は夏希のテレポート能力を先取りして使い、夏希の後ろにまわり、右手の爪で夏希の背中を切り裂いた。夏希はいきなり後ろにいたことに驚いたため咄嗟なことに躱すことができず、背中に大きく傷がついた。夏希は痛みに耐えつつ撤退を試みるが、相手の出方がわからない以上、下手に逃げても追いつかれるだけだと判断。イチかバチか上を向くと、屋上の柵が見える。あそこだ。夏希はテレポートで見える限り屋上まで行き柵を掴む。背中は痛むが、頑張って柵を上り、屋上につくとなるべく内側に移動する。そして予想通り鯆も時間差で追いかけてきた。

    「なにしてんの?」
    「翔織さん…助けて…!」

    屋上、そこは翔織の定位置である。やはり会議は終わっていて、いつも通りそこにいた。翔織は夏希の怪我した背中と夏希に着いてきた鯆を見比べる。夏希にもわかるように鯆は少しふらついていた。その理由は夏希には容易に想像ができた。

    「はは~ん、テレポート酔いだな~?慣れてないとなるよね~。ヨシ!今のうちに…」
    「お前、ライフル以外に戦う方法ないのか?」
    「他にどうしろと!?というか弾が欲しいからエネルギー弾くださいよ~。」
    「粒体マナか?その必要はない。」

    翔織は夏希の戦い方では不利と感じ、自らの武器を鯆に向けて飛ばす。鯆はふらつきながらも躱そうとするが武器は、直接ぶつかるわけではなく、鯆の周りに配置され取り囲む。そして鯆に一発雷撃を与えると、その後、不気味な音波を浴びせる。鯆は左手で頭を抱えるが、次の瞬間、ガタリと機械となっている右腕が機能停止し、重みで床まで付く。夏希は一瞬何が起きたかわからず、一言も発さない。鯆は翔織を睨むと翔織は淀んだ目で鯆を見つめた。

    「これで用は済んだか泉谷?」
    「え?あ、粒体マナ…」
    「ねぇよ。今日は客人が多くて疲れてんだ。このおっさんも戦意はもうねぇだろ?早く帰れよ。」

    翔織と夏希がそうこうしている隙に、鯆はまたテレポート能力を使い、その場から逃げ出した。

    「はぁ、背中くらいは手当てしてやる。」
    「結構痛いんですけど、見た目やばいっすか?」
    「見るからに痛々しい…ついてこい、手当てセットのある部屋まで行くぞ。」

    翔織は夏希を手当して、その日は帰らせた。そして、翔織は自らの武器に乗り、施設の周りを巡回した。少し木々の生い茂っているところまで行くと、木の陰に先程逃げて行った鯆がいた。機械となっている右腕の重みとテレポート酔いした体を休めているようだったが翔織に見つかった瞬間ため息をつく。しかし、翔織から放たれた言葉は予想外なものだった。

    「藤宮さんかな?」
    「なぜ私の名を?」
    「今日の客人としてメモしていたが…派手にもてなしてしまったな。」
    「お前はあいつらの味方なのだろう?」
    「あいつら?泉谷はあくまで俺の武器のテスターだ。あれだけ怪我をしていて、そちらの状態も見たら、敵対関係なのは分かるが、ここでいきなりそちらの味方をするのも不自然なもんでね。まぁ、泉谷には帰ってもらったが。」
    「この体が使えなくなってしまっただろう。どうしてくれる。」
    「そこはうまく直すさ、それと、そちらに1つ提案があるのだが…」

    鯆は訝し気に翔織を見る。翔織は先程のような淀んだ目をする。そして翔織の声帯からなのか、そうとは思えないような声が翔織のほうから聞こえてくる。

    「キミニハカチガアルトオモッテネ…」

    時期はだいたい同じ頃、道場では剣を交える音がしていた。クランが剣術を習い始めて少し経ち、木刀ではなく、実践に近い剣を手渡されると、予想よりも重かったのか、剣を落としてしまう、拾い上げようとするが体制が悪くなかなか持ち上がらないところを師匠に見られて、ため息をつかれる。そこに夜が現れてクランの面倒を見ると言い、クランを連れて行った。近くにいた澪が剣すら持てないクランの貧弱さを見て渋い顔をするがクランは悪い意味で目立っているために少し興奮気味であった。

    「おー、俺ががここで一番強くなったらさらに目立つやつじゃん!下剋上ってやつ?」
    「それは番狂わせ、むしろ天変地異…」
    「一番強くなるんだったら、もう少し鍛えような~。」
    「おっし、夜先輩みたいになるんだったらまず何から始めようか!」
    「食事だろうな…あんな姉さんいたら普通に太るだろうけどそれを筋肉に変えてると思うと…」

    澪は少しぞわっとしたが、気を取り直すために、クランの支給された剣を持ってみた。普通の重さであり、澪にとっては軽く持てるほうである。クランはその剣と夜の武器である両手剣を見比べ、先輩マジパネェっすと言わんばかりに目を輝かせた。

    「俺もいつかこんな体になるのかなぁ?」
    「男は女より強くてなんぼだぜ?せめて仲のいい双子よりは強くなれよ?」
    「仲良しに双子がいるのか。」
    「そうだね、なんかよくわからないけどよく殴ってくるんだ。」
    「なんかわかる気もするが?それより、防御面をあげるつもりで来たのになぜ剣術を?」
    「まずは基本的な戦い方を知ることで守り方を身に着けるって師匠が言ってたから。」
    「そういうもんか?」

    少しやり方に疑問を持つ澪であるが、師匠が言うならとそれ以上のことは効かないことにした。クランは少しづつであるが剣術を覚えて、そのうち盾を持った戦術も覚えるまで数日かかった。

    つづく
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    キラライ

    TRAININGフォーチュンドール本編37
    フォーチュンドール5章9話ドクターが幸の魔力強化をしようとしたが、魔導書の能力がドクターの魔力を吸い取り、巨大なクジラの魔物と化した。ドクターは逃げ出し、幸も気絶している状況で将信たちはクジラの魔物と戦うことになった。将信は幸を守るため、ひとまず地属性魔法で幸の周りを囲う。将信は室内戦があまり得意ではない旨をクランたちに伝えるとクランはここは任せてくれといい、光の弾を宙に浮かせ、魔物の周りで爆発させた。しかし、その爆発をの魔物は大きな口を開けて吸い込み、その後に咆哮をした。クランたちは何とか持ちこたえる。零子が後ろにまわり剣を投げ、雨は念力で宙に浮き、魔物の上に乗っかり拳で思いっきり殴りかかる。すると、魔物は大きく尻尾を動かし、零子は上手くよける。そしてクジラ型の魔物であるために潮吹き攻撃をする。ちょうど雨のいる足元から光が当たると虹色になる白濁とした液体が吹き出し、雨に直撃する。雨に纏わりつくその液体は次第に凝固していき、雨は上手く身動きが取れなくなり、下まで落ちてしまう。それをクランがキャッチしに行き、ダメージを抑えることができた。零子も雨を心配し、そちらに行く。
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    キラライ

    TRAININGフォーチュンドール本編36
    フォーチュンドール5章8話幸、唯、雫の3人はカフェで女子会をして楽しんだ。しかし、幸の様子が何かいつもとは違うように唯は感じた。幸に調子が悪いのか聞くと、何でもないというが明らかに表情は険しかった。雫も唯に言われて幸の表情を見る。幸は二人の視線が鬱陶しいのか早歩きをして、2人の前を歩くようにした。唯が何かしたなら謝ると言い、幸に手を伸ばすと、幸はその手を振りほどき、唯にビンタをした。雫は動揺し、幸の腕をつかみ揺さぶると、幸は雫を突き飛ばす。唯が幸の名を呼ぶと、幸は我に返り、何が起きたのかわからず、頭を抱える。

    「幸さん?どうしたんですか?本当に幸さん?」
    「わからない…今私は何を?」

    「っていうことがあったんですよ。」

    唯と雫は昨日の幸の事を凛太郎に話した。凛太郎は幸が魔導書を読んでいるという話を聞いていたので、それは魔導書の副作用のようなものではないかという。実際に凛太郎も魔導書を読んだ時に常に空腹を覚えていたので、魔導書の有害性を2人に話した。雫はぎょっとして、幸の性格が治らなかったらと心配した。唯が凛太郎の魔導書の能力がなくなった時はどうしたかを聞くと、魔女たちに捕まっていろいろされたというのだ。そして、魔導書の能力を本に戻す魔女は今は眠っていると聞いているので、他に案はないだろうかと考えていると、そこに信楽が現れた。信楽にも幸の話をすると、ちょうどいい機会だと雫に魔女の集会場に行ってみることを提案する。しかし、凛太郎はあまり乗り気ではなく、また魔女たちに何かされると考えると恐怖でしかなかった。そのため、雫と信楽で魔女の集会場へ行くことになった。と言っても信楽は場所を案内しただけで、あとのことは雫1人に任せたのだった。一人ぼっちになった雫は戸惑った。これなら唯ちゃんも連れてきたら心強かったなぁと思うが、せめてこの場所を一通り覚えようと見て周っていた。どこがどういった場所か聞こうにも、知り合いの魔女がほかにいるわけでもなく、話しかけるのも難しいと思っているし、さらに言えば他の魔女たちに怪しい視線で睨まれているような気がして、怖くなってきた。そんなところに、博士のような帽子に袖の長い白衣、ぐるぐる眼鏡をかけた女性が話しかけてきた。
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