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    キラライ

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    キラライ

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    フォーチュンドール本編34

    フォーチュンドール5章6話魔物が同時多発的に出現してから3日ほどが経った。幸は今日、零子が来るという連絡をもらい、休憩室で待っていた。しかし、幸は一つ頭を悩ませていた。ミラルージュがお姉ちゃんっ子になっており、みんなのもとから離れたくないというのだ、ミラルージュはアリサにひっつき、幸を説得するように頼んでいるが、最初からそう言う予定だったというばかりである。そんな時、休憩室に入ってきたのは唯と凛太郎であった。唯は幸に近付き、ティンダロスを見せて、目を輝かせた。

    「幸さん!見てくださいよぉ!」
    「どうしたの?ティンダロスに穴でも開いた?」
    「穴なんて開いてないワン。」
    「ほら!ティンダロスがひとりでに動いたんですよ!」
    「腹話術が上手ね。」
    「腹話術じゃないワン!」
    「僕も最初は疑ったけど、明らかに腹話術にしては不自然なんだ。」
    「唯ちゃんに抱っこされて幸せだワン。」
    「唯ちゃん、僕にもそのぬいぐるみ持たせてよ。」
    「いいですよ。」

    唯がティンダロスを凛太郎に渡すと、ティンダロスは嫌がり、凛太郎に対しぽかぽかと前足を動かす。凛太郎はティンダロスに対し悪い顔をするが、次の瞬間、凛太郎は体の違和感を覚える。せっかく最近、魔力と能力を封じるテープが自然にはがれて魔力を取り戻したというのにそれがだんだんとなくなっている感覚があるのだ。

    「うわああああ!?」

    動揺した凛太郎は、ティンダロスを手放すと、ティンダロスは上手く着地し、凛太郎の方を見て一言いう。

    「ごちそうさまだワン。」

    唯と幸は何が起きたかわからず、ポカンとしているが、凛太郎はこれがマナイーターを模倣した能力だと気づくと、怒りと自分が今までしてきたことを振り返っての絶望の感情がいりまじり、声を荒げる。

    「なんでマナイーターが使えるんだよぉ!」
    「よくわからないワン。」

    凛太郎はティンダロスに攻撃しようと思ったが、ここで唯に嫌われるわけにもいかないと深呼吸した。そこに裏で話していた信楽と雫が戻ってきた。雫は魔女ネットワークについて信楽から説明された。加入してる魔女の居場所や組んでいる同盟、その理由が軽くわかるという。むしろ、情報を出してくれる魔女しかいないのだから所属しているのは善良な魔女ばかりだという。雫は少し考えさせてほしいと、この件は保留した。そして、ティンダロスが信楽を見るなり、魔力を吸い取ろうと飛び込んだ。

    「これは美味しそうな魔力だワン!」

    しかし、信楽は近づいてきたティンダロスを後ろ蹴り。ティンダロスは壁まで吹き飛びぶつかった瞬間マナの結晶をそこらにぶちまけた。

    「触るでない、また魔物が出たのか?」
    「違うよ!ティンダロスは俺の愛犬だよ!ぬいぐるみだけど…愛情で動き出したんだ!」
    「あ、愛情!?」

    動揺する凛太郎。信楽は少し考えたあと、雫の方を見る。そして雫と唯が仲がいいのか聞くと、もしかすると雫からあふれだした魔力が何らかの形でぬいぐるみに蓄積して動き出したのではないかと推理する。ティンダロスはへとへとになって唯のもとへ行き、抱っこしてほしいと言うと抱っこされて頭を撫でられる。凛太郎は悔しそうな顔をした。そんな光景を見ながらようやく雨と零子がその場に来たのだった。幸はさっそく零子にミラルージュを渡そうとするが、ミラルージュは気が進まないようで幸は困っていた。しかし、零子は幸が人形をくれると思うと、とても喜んで、ミラルージュを手に取り抱きしめる。雨はミラルージュが他の人形みたいに戦えるのか聞いたが幸は戦いを教えてないという。唯はティンダロスに、零子はミラルージュにそれぞれデレデレな光景をみると雨ははぁ…と息を吐き零子の脇腹をつつく。ひぎぃと声をあげる零子はミラルージュを解放するとミラルージュは零子の声に笑う。

    「ねぇ、二人も姉妹っての?こっちがお姉ちゃん?」

    ミラルージュは零子を指さし質問すると、アリサがミラルージュに他人に指を刺さないように教育する。そして、雨が自分のほうがお姉ちゃんだと主張し、頬を膨らませる。そして、腹を立てた雨は、凛太郎に八つ当たりをしようとするが、ティンダロスの方も気になり、唯のバンダナを取り上げた。それに唯は驚き、ティンダロスも取り返そうと雨の方に飛び込むが雨はバンダナを返す様子はない。

    「なぁ、ここは一つ遊んでいかないか?後でバンダナは返してやるけど、人形やぬいぐるみがどれだけ動けるのか試してみたい。だから…」

    雨はミラルージュにマントをつけるようにバンダナを括り付け、ミラルージュとティンダロスに追いかけっこをさせようとする。しかも、零子も巻き込んでだ。

    「愛情が強いってんなら、先にこいつを捕まえられた方の勝ち。簡単だろ?愛情ってのをあたしに見せてみろ。」
    「何?愛に飢えてるの?」

    凛太郎は一発殴られた。こいつには言われたくなかったようだ。零子も面白そうというし、ティンダロスは早くバンダナを返してほしいので、ミラルージュを追いかけた。ミラルージュはいきなりの事で驚き、窓から飛び出した。ティンダロスも窓の外から飛び出すが、零子のナイフがティンダロスを襲い、ぬいぐるみなのに地面にたたきつけられるように落ちていく。その隙に、零子も窓から飛び出し、雷魔法で勢いをつけて追いかけ、ミラルージュに手を伸ばした。見事にバンダナをつかんだが、結び目がほどけてしまったため、バンダナだけを手に取り、そのまま地面に落ちる。上手く着地しようとしたが、タイミングがいいのか悪いのか、追いついたティンダロスを見事に踏み、尻もちをつく。その隙にティンダロスがバンダナを奪い、唯の元へ戻っていく。ミラルージュは零子を心配し、そちらへ向かう。

    「この勝負引き分けか。」

    雨はつまらない顔をして、零子のもとへ向かう。幸はひと段落ついたところで信楽に話しかけようとしたが、いつの間にかいなくなっていた。唯がバンダナをつけ直すと、幸に久しぶりに3人でカフェにでも行かないかと誘う。幸は微笑んで雫とも話をして日程を決めた。

    「そんなことより、さっきの剣で穴が開いちゃったワン。直してほしいワン。」
    「じゃあ、直してもらうためにちょっとの間、預かってもらおうか。」
    「おい、凛太郎!どういうつもりだワン。」
    「素材がないので応急手当をして、また今度直すわ。」
    「やったワン、唯ちゃんから離れなくて済むワン。凛太郎ざまぁみろだワン。」

    幸がカバンからソーイングセットを出し、ティンダロスを軽く直した。唯は凛太郎とティンダロスが仲良くしていると思い、笑顔になった。雫は信楽との会話で不安もあったが、幸と唯とのお出かけの予定を立てると、心も和らいだようだった。

    つづく
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    キラライ

    MEMOハロウィンネタ2024
    幸と雫のハロウィンSS10月31日の昼間、幸の家では人形達が玄関の装飾やジャックオランタン作りをしていた。一方で幸は唯と雫を誘ってカップケーキを作っていた。

    「幸さん、材料はこれで揃いました?」
    「そうね、唯と雫はこの作り方をみて、カップケーキを作ってね。フレーバーや飾りはこっちで切っておくから。」
    「わかり…ました…、できるかなぁ…」
    「少しずつやっていきましょう。唯もカップケーキなら包丁を使わないから安全にできると思うし。」
    「でも料理なんてあんまりしたことないからなぁ。」
    「落ち着いてやればできるものよ。」

    幸は唯と雫に指示を出しながら、色とりどりのかわいいカップケーキを作っていた。幸が珍しく張り切っているのは、先日、将信がハロウィンの日に地元の仲のいい子供たちを連れて知り合いの家を何件か周るというので、幸もなにかのインスピレーションになるかと思い、将信に家に来てもいいと言ったのだ。子供たちに配るためのお菓子として、カップケーキを作ろうと思い、たくさん作るために二人を誘ったのだ。結果的に料理の経験や、楽しい思い出になっているので、すでにとても楽しめている。不安と言えば、いきなりきた子供たちにお菓子をあげたところで、いたずらされたりたくさん話すことになって緊張したりないかと言ったところだが、そのときはそのときで将信にフォローしてもらうことにしよう。
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