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    キラライ

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    キラライ

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    フォーチュンドール本編40

    フォーチュンドール6章1話凛太郎は機嫌がよかった。数日前の研究所の事で完全に魔導書と縁を切ることが出来たためである。少しずつではあるが魔力も取り戻し、あとは何をしたらいいか考えていた。何気なく外に出て散歩していると、ふと目の前には唯が歩いているのが見えて、声をかけた。唯もそれに応え、凛太郎に近付いた。

    「やっほー凛太郎さん!どこかお出かけ?」
    「やぁ、唯ちゃん。なんとなく散歩していただけ、唯ちゃんはどこに行くの?」
    「これから魔女の集会場に行く予定で、しずと待ち合わせしているんですよ。」
    「唯ちゃん、こっちじゃないワン。」

    唯の足元にはティンダロスがいて、頭を唯に擦り付けていた。唯が凛太郎に気をとられて道を間違えたかと思い、ティンダロスが修正しようとしていたのだ。唯がティンダロスを抱っこすると、ティンダロスは凛太郎を見てふふんっと自慢げにする。凛太郎はむっとするが唯の方を向き直す。すると唯は凛太郎も一緒に来ないかと誘うのだった。これに対しティンダロスは少し体を跳ね上がらせて、動揺し、凛太郎はそれを見てどや顔をする。しかし、凛太郎は魔女にされたこと考えるとちょっと気が引ける話で、でも唯と一緒に居られる時間が増えると思うと行きたい気もする、悩んでいるとティンダロスがあっち行けと言わんばかりに前足をばたばたさせる。

    「お、ティンダロスも凛太郎さんと一緒に行きたいみたい。」
    「ワン!?」
    「へぇ~ほぉ~、そうかそうか~、それじゃ~仕方ないね~、僕もついていくことにするよ~。」

    ティンダロスの行動は唯に伝わらずむしろ誘う形になってしまった。ティンダロスは頭を下げてトホホと言った感じで落ち込んだ。

    澪は雫と共に魔女の集会場に先に来ていた。そばには幸と将信もいて、信楽に数日前の研究所の事について話していた。信楽のとっては不明なところもあるため、確認のためにその場所に行きたいというのだ。さらに言えば他の魔女たちの情報から澪の能力について聞いていたため同伴してほしいという。澪はその件を受ける代わりに雫に使える魔法武器はないか、信楽に交渉してみた。

    「魔法武器か、魔導書の危険性は今調べているし、それ以外だと…」
    「軽い武器でいいので、雫の力が少しでも安定するものはないですか?」
    「魔女は基本的に安定して魔法が使えるからな、むしろ魔法安定のために武器などは使わないやつが多いな。」
    「そうですか。」
    「しかし、ある程度素材を揃えたらいい武器は作れるかもしれんぞ?他の魔女たちも知識は豊富だからな。」

    澪が具体的にどのような素材を集めるべきか聞いていると、そこに唯と凛太郎が到着した。信楽は、先程聞いた研究所の件は実は凛太郎が何か知っていると踏んでいたが、会える都合もないだろうと澪に同伴を頼んでいたが、都合よく凛太郎が来たので尋問することにした。

    「おい、クズ魔導士、この前の研究所の件だが、マナイーターの魔導書について何かわかるか?」
    「んひぃ!?いえ、あの…あれとは決別しました…のでもう関係ありまひぇん!?」
    「決別とはどういった感じだったのか聞きたいのだよ。」

    信楽が凛太郎を追い詰めているところを見ていた幸であったが、突然先の視界は暗転し、動揺した。幸に向けられた声には聞き覚えがあった。

    「だーれだ!?」

    幸はあまりの衝撃に声を震わせてあわわと言うとその声の主は脇腹をどつかれて、覆っていた幸の目元から手を離した。

    「おふっ!?」
    「まったく、相手が驚いて硬直しているだろうが。」
    「えへへ、幸さんごめんごめん。」

    幸が振り向くと雨と零子がいてその後ろにはクランもついてきた。クランたちはいつものようにクランの魔力補給のために来ていたようでちょうど用事が済んで暇になったところらしい。信楽が尋問を終えると、澪がまた武器の話に戻そうとするが、信楽は気が済んだのか交渉決裂してきた。その話を聞いた雨はふとつぶやいた。

    「魔法武器ねぇ~、武器にマナコアがあればクランも安定して魔法を使えるんじゃないか?」
    「まぁ、そうだけど、武器持たないと魔法使えなくなるのか~それなら体にマナコア入れたいけどねぇ。」
    「そういえば、私があげたマナコアは?」
    「まだ持っているよ?ほら!」

    雨が幸からもらったマナコアを出すと信楽はそれを見て提案した。

    「確実ではないがマナコアを体に入れるとこが出来そうな魔女はいる。おすすめはしないがな。悪い奴じゃないが…」
    「それは本当か?悪い奴じゃないなら何?」
    「いや、言う必要もないか。そいつは向こうの山の方にある滝の近くの小屋に住んでいるさ。ちなみにその山には魔法武器に使えそうな素材も多い。」

    澪はそれに反応した。しかし使えそうな素材は山の奥、滝の近く、洞窟の中と様々なようで、さらにここにいる大人数で言ったところで一人の魔女を驚かせてしまうかもしれないと信楽は言う。将信が全員で行くのか澪と確認すると、幸や唯も雫のために動くというのだ。クランたちもその魔女に会うのと素材探しを手伝うという。ここには幸、唯、凛太郎、雫、将信、澪、クラン、雨、零子の9人がいるので、それぞれの場所に3人ずつ分かれていくことになったが一緒に行きたいメンバーがバラバラでなかなか決まらず、せっかくだからとクジで決めることになったのだ。その結果、幸と将信と零子は洞窟のほうへ、クランと雨と凛太郎は滝のほう、唯と雫と澪は森の中で素材探しをすることになった。信楽は素材になりそうなものは鑑定してやると言い、その場を去っていった。

    「そーいや、滝の近くに住む魔女の特徴を聞いてなかったな~。」
    「小屋だし、1人で住んでいるんだろ?だったらわかると思うが。」
    「1人とは限らないけどね~。」

    クランと雨がそう話しているとき、凛太郎はせめて唯と一緒がよかったなぁという表情をして唯の方を見ると、ティンダロスが舌をひらひらさせて凛太郎の方を見ていた。そして唯が凛太郎の視線に気付くとお互いにいいもの見つけようねと言い、手をグーにして掲げた。凛太郎もそれにつられて同じように片手を上にあげた。おー!
    澪が全員に声をかけて出発準備の確認をし、9人は貝森特区より少し外の山の方へと向かっていくのだった。

    続く
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    キラライ

    MEMOハロウィンネタ2024
    幸と雫のハロウィンSS10月31日の昼間、幸の家では人形達が玄関の装飾やジャックオランタン作りをしていた。一方で幸は唯と雫を誘ってカップケーキを作っていた。

    「幸さん、材料はこれで揃いました?」
    「そうね、唯と雫はこの作り方をみて、カップケーキを作ってね。フレーバーや飾りはこっちで切っておくから。」
    「わかり…ました…、できるかなぁ…」
    「少しずつやっていきましょう。唯もカップケーキなら包丁を使わないから安全にできると思うし。」
    「でも料理なんてあんまりしたことないからなぁ。」
    「落ち着いてやればできるものよ。」

    幸は唯と雫に指示を出しながら、色とりどりのかわいいカップケーキを作っていた。幸が珍しく張り切っているのは、先日、将信がハロウィンの日に地元の仲のいい子供たちを連れて知り合いの家を何件か周るというので、幸もなにかのインスピレーションになるかと思い、将信に家に来てもいいと言ったのだ。子供たちに配るためのお菓子として、カップケーキを作ろうと思い、たくさん作るために二人を誘ったのだ。結果的に料理の経験や、楽しい思い出になっているので、すでにとても楽しめている。不安と言えば、いきなりきた子供たちにお菓子をあげたところで、いたずらされたりたくさん話すことになって緊張したりないかと言ったところだが、そのときはそのときで将信にフォローしてもらうことにしよう。
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