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    キラライ

    自創作の過去絵まとめたり
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    キラライ

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    フォーチュンドール本編4

    フォーチュンドール1章4話幸が人形制作を始めて数日が経った…。授業にはたまに出たもののなるべく午前中に帰り、人形つくりに集中していた。童話モチーフもいいだろう、あえてテーマカラーを決めてほぼその色に染めるのもいいだろう、大体ドレスで作っているがたまには動きやすい服装の子がいてもいいだろう、ケモミミやしっぽのある子もいいな、などと思考を巡らせようやく4体の女の子型の人形を完成させたのだ。

    完成した達成感から一息ついていると、家のインターホンが鳴る。幸は集中するために最近あまり話せてなかった唯と雫を家に招いたのである。そろそろ完成だったのもあるが久しぶりにたくさん話したかった、もっとも、最大の理由は人形に魂を入れたときに暴走した時の保険にみんなを招いたことは秘密だ。

    幸の家は一人暮らしをするには少し大きいくらいの2LKの家で、寝室と作業部屋が別にある。のちに人形が増えたときにその人形たちの部屋にする予定があったからそうしたらしい。唯たちをリビングに案内し、普段飲んでいるハーブティーと皮をむき二口くらいの大きさに切ったリンゴを用意した。

    「幸さん、そんなに気を使わなくていいですよ?」
    「おもてなしは来客の基本よ。それに普段仲良くしてるからこれくらいはしてあげないと。」

    前よりはにこやかに話すようになった幸、この二人には心を開いているのだろう。
    3人のお茶会で最近のことをいろいろ話したところで本題に入る。4体作った人形、彼女たちに魂を入れるのだ。雫は冷や汗をかき、本当に大丈夫なのかと問うが対照的に唯はワクワクしていた。幸は一呼吸置き、幸にしか見えない世界を見つめる、ほかの二人には見えない魂の見える視界、そこら中に浮く謎の魂たち、その一つを掴み人形の中へ入れる。

    まずは赤いフードの特徴的なオレンジの髪の人形、次に赤いツインテールと真っ赤なドレスの人形、その次は白いぱっつん前髪で緑のスカートの人形、最後にケモミミのある眼帯をつけた人形、作った順番に入れていった、一気に4体入れたことに唯も雫も驚いたが、アリサのように暴走することはなく、みんな初めて見る光景にキョトンとした顔をしていた。
    ここはどこ?私は誰?といった記憶喪失みたいな状態で赤いフードの人形が幸に話しかけてくる。

    「初めまして人間さん、私は…あれ?私は誰なのでしょう?」
    「はじめまして、私は幸、あなた達を作った職人です、そっちの二人は私の友達よ。まず、どこまで基礎的なことがわかるのか、いくつか質問をしてもいいかしら?」

    幸は初対面の人間と話すときとは打って変わって淡々としている。そして、人形たちの基礎知識を試す。そして、何に興味があるのか、リビングの中で自由に動いてほしいというのだ。
    人形たちは話しかけるものもいればきょろきょろと周りをとりあえず見る者もいる、逆に一点を見つめている者もいる。
    それぞれで言うならば、赤いフードの人形フェルネリシアは幸に人間の普段の生活や行動について聞いていた。赤いツインテールの人形カーマインは唯と雫に人形たちの中でどれが好みか質問していた。白いぱっつん前髪の人形リレットは周りをきょろきょろ、そして、ケモミミと眼帯の人形ミウはリレットのほうをじっと見つめている。
    唯は人形の好みについてはすぐには選べないというが、動物は好きだし、他にも赤いバンダナをしているから赤色は好きかな?などと答える。カーマインは気を良くしてドレス姿でくるりと回り高笑いする。

    「おーほっほ!赤い色は情熱の色、まさにこのわたくしにはお似合いでございましょう?好みはすぐに選べないとはいえど、わたくし、愛されて当然ですから遠慮はいらないのですわよ。」

    どこかへたくそなお嬢様口調でカーマインは話す。そして、カーマインは部屋にどんなものがあるのか見て回ることにした。しかし、あまり興味は持てないようで、他の部屋をのぞいてもいいか尋ねている。
    リレットはミウと目を合わせると、ミウは目を輝かせてやっと見てくれた!と言わんばかりにリレットの手を取る。

    「どうしたのです?ネコちゃん。名前はミウというのです?一緒に興味ある物でも探すのです?」
    「俺の興味があるものはあなたですリレット!あなたの事を知りたいです!もっとお話ししましょう!」
    「お話しするのです?リレットもミウのこと知りたいのです。でもリレットたちまだ生まれたての人形のです。一緒にいるうちにいろいろ分かってくるのです。」
    「一緒にいてくれるのか!?これは俺とリレットは結ばれたも同然、よろしく頼むぜ!」

    幸はそれぞれの人形の特性を把握するのに必死だった。そんな中、唯が幸に提案する。

    「幸さん、時間があるなら総合スーパーにでも行きませんか?」
    「総合スーパーに?なにか買いたいものがあるの?」
    「まぁ、俺もいろいろ見たいのはありますけど人形たちの趣味に直結する何かを見つけたいと思ってのことです!」
    「なるほど、総合スーパーなら日用品などいろいろあるから、私たちが普段使わない物に興味を示すかもしれないわね。」
    「この部屋開けてもいいかしら?」
    「カーマイン、そこは私の作業部屋よ、あなたたちを作った部屋、散らかさなければいいわよ。」
    「リレットも少し見に行きたいのです。」
    「リレットが行くなら俺も行くぜ」
    「あー、皆行くなら私も行く~まってぇ~」

    カーマインが先導して、幸の作業部屋に入っていく、リレット、ミウ、フェルネリシアもそれについていく、部屋の中は整頓されているが、人形を作ったばかりのため裁縫道具などは出しっぱなしになっているのがいくつかあった。リレットは裁縫針を一つ両手でつかみ何に使う物なのかと幸に問いかける。幸は人形のパーツを作ったり直したりするものだと説明するとリレットは目を輝かせた。

    「先にいろいろ教えてもらいたいのです。みんなの服を作りたいのです。それにみんなが壊れそうなときは直してあげたいのです。」
    「素敵ね、みんなこうやって趣味を見つけていくのね。」

    その時、小さな叫び声がした、フェルネリシアの声である。彼女は部屋の片隅にある土台だけの人形の残骸を見つけてしまったのである。そう、サリアの成れの果て、フェルネリシアは幸が人形に対してそんな扱いをするのだと思い、身を震わせ振り向けずにいた。
    そこにカーマインが声をかけるもより一層ビビらせるだけであった。カーマインはむしろいずれこうなってもいいのなら暴れてもいいよね?といった感じの好戦的な態度を見せる。
    ミウもカーマインの言葉に反応し、戦うならミウは誰かを守るために戦いたいという意思を見せた。
    幸は戦いか…と少しため息をついた。いや、そもそもこの子たちはそのために作っているのでそう言う意思の現れは好都合なのだが、やはり人形の親としては感慨深いところがある。壊れないようにしたい、という意思は果たして大切にするという意味になるのか?本当に人形を大切にするなら保管するよりも色んな所に連れ歩くほうがこの子たちのためなのだろうかと少し考える。魂を入れたのだから、尚更である。
    結界の中でのことは現実に反映されないからとはいえやはりサリアの二の舞にはしたくはない、考えがまとまらなくなってきた。その幸の心を読むかのように唯がフェルネリシアに声をかけていた。

    「フェルネリシア、幸さんはね、とっても他人思いの優しい人だから、安心してほしいな。この人形はね、幸さんの一番のお気に入りで、でも他の人に壊されちゃって、幸さんが壊したわけじゃないんだ。幸さんはその時すごく泣いていたし、こうして捨てないでとっておいてる。それだけ思い出も愛情もいっぱいだったんじゃないかなって。みんなもいっぱい思いで作ってさ、楽しい一生にしようよ!長持ちするかもしれないし、壊れてしまうかもしれないけど、やっぱりないよりはあったほうが楽しいでしょ!」

    唯はすごいな、私には言えないようなことをすぐに発言できるんだもの、友達になってよかったと幸は笑みを浮かべた。
    唯は幸と雫の手を取り、みんなで買い物行こうよといい、リビングまで戻る。幸は今から準備するねと少し大きめの肩掛けバッグを用意し、人形たちを頭だけ出すような形で入れた。

    「学校と家以外ではあまり動いちゃだめよ?普通の人形は動かないから周りの人たちを驚かせてしまうわ。」

    と幸は人形たちに注意をして、みんなで買い物に行くことにしたのだった。

    つづくかな?
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    キラライ

    MEMOハロウィンネタ2024
    幸と雫のハロウィンSS10月31日の昼間、幸の家では人形達が玄関の装飾やジャックオランタン作りをしていた。一方で幸は唯と雫を誘ってカップケーキを作っていた。

    「幸さん、材料はこれで揃いました?」
    「そうね、唯と雫はこの作り方をみて、カップケーキを作ってね。フレーバーや飾りはこっちで切っておくから。」
    「わかり…ました…、できるかなぁ…」
    「少しずつやっていきましょう。唯もカップケーキなら包丁を使わないから安全にできると思うし。」
    「でも料理なんてあんまりしたことないからなぁ。」
    「落ち着いてやればできるものよ。」

    幸は唯と雫に指示を出しながら、色とりどりのかわいいカップケーキを作っていた。幸が珍しく張り切っているのは、先日、将信がハロウィンの日に地元の仲のいい子供たちを連れて知り合いの家を何件か周るというので、幸もなにかのインスピレーションになるかと思い、将信に家に来てもいいと言ったのだ。子供たちに配るためのお菓子として、カップケーキを作ろうと思い、たくさん作るために二人を誘ったのだ。結果的に料理の経験や、楽しい思い出になっているので、すでにとても楽しめている。不安と言えば、いきなりきた子供たちにお菓子をあげたところで、いたずらされたりたくさん話すことになって緊張したりないかと言ったところだが、そのときはそのときで将信にフォローしてもらうことにしよう。
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