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    オルト

    どうしようもないものを投下

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    オルト

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    996文字
    タイカケ
    付き合ってる。

    なんだか身体がソワソワして、眠れない。こういう時は。一旦起きて身体を軽く動かした方が良く眠れるのを知っている。ベッドから降りて部屋から出ると、多分もうみんな寝ているのか、廊下は真っ暗で静まり返っていた。
     皆を起こさないよう、山田さんに気付かれないよう、静かに廊下を進む。無事に外に出て寮の門から出ようとしたその時、ポン、とスマホが鳴った。
    『こんな時間にどこ行くの?』
     カズオだ。振り返ると、窓際に立ったカズオがこっちを見て手を振っていた。カズオに背を向けて歩き出そうとすると、またメッセージが届いた。
    『おれっちも一緒に行きたい! いいでしょ?』
    「……ったく」
     もう一度振り返ってカズオを見る。言葉にしなくても、俺がまた振り返ったことでカズオは俺の返事を読み取った。すぐに窓とカーテンが締まり、部屋の電気が消えた。そして待つこと数十秒、ラフな格好のカズオが玄関から出て来た。
     黙って寮から少し離れてから声を出す。
    「おめぇそれで寒くねぇの?」
    「ちょっと寒いけど、タイガきゅんもすぐ戻るつもりなんでしょ?」
    「まぁ」
    「眠れない時って、動いちゃうよね~」
     へぇ、カズオも同じなんだ……。何でもないことなのに、なんだか嬉しくなる。
    「あ~でも、流石に寒いな。何か上着羽織ってくればよかった」
     カズオはぶるりと身体を震わせて言った。指先をすり合わせたり、息を吹きかけている。
    「カズオ」
    「なぁに?」
    「手」
     それだけ言って差し出すと、カズオは嬉しそうに笑って俺の手を取った。さっきまで部屋にいた筈なのに、カズオの指先は冷たくなっていた。
    「つめて~」
    「でしょ?」
    「帰ったらさ、もっかい風呂入ってあったまるか」
    「そうだね! ふふっ。二人きりで入るなんて久しぶりでドキドキしちゃう」
    「ドキドキって、おめぇ何考えてんだよ、スケベだな」
     俺がそう言うと、カズオが顔を真っ赤にした。
    「べ、別に何も考えてないよ! スケベだとか言うタイガきゅんがスケベなんじゃない?!」
    「あぁ? スケベじゃねぇよ。でも、まぁ……おめぇがその気なら……」
     カズオの手を強く握る。なんだかカズオの手も熱くなってきている気がする。カズオが口をもにょもにょさせて何か言っているが、よく聞こえない。
    「そ……その辺一周したら、帰ろっか」
    「お、おう……そーだな」
     つられて俺も、口をもごもごさせる。
     ホントはちょっと走り込みをしようかと思っていたけど、それよりも早く風呂に入りたくなった。
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