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    949文字
    タイカケ
    デートの時の服装を考えるの楽しい。

    「な、なんじゃぁ、その服は!」
     待ち合わせ場所に現れたカケルを見て、タイガは悲鳴に似た声を上げた。
    「え? いいでしょ、この服~。デートだからちょっとフンパツして新作コレクション取り寄せちゃったぁ」
     楽しそうに笑うカケルとは対照的に、タイガはじとりとした瞳でカケルを睨む。
     目がチカチカするような幾何学模様。タイガにはとても読めない、胸元に筆記体で刺繍された英語。そして、タイガでも知っているような高級ブランドのロゴが入っていた。そう言えば、似たような模様の服をディアクラウンの近くにある店のショーウィンドウで見たのを思い出し、タイガはハッとした。目玉が飛び出るような値段の服。それと同じようなものをカケルが着ている。
    「おめ、そんな高級な服着て……どこ行くつもりだよ?」
     まさか高級なレストラン? タイガは焦った様子で自分の服を確認する。タイガもそれなりにデートを楽しみにしていたから、クローゼットの中で一番上等な服を選んできた。だが、それでもとてもカケルに釣り合うような服ではない。
    「え~? タイガきゅんが行きたいとこならどこでもいいいよ! 公園でも高架下でも!」
     屈託のない笑顔を向けられ、タイガは困惑してしまう。そんな服で泥臭ところ、いくら何でも連れてはいけない、と。
    「え、そ、うーん」
     タイガは懸命に頭を回転させ、今日のデートにふさわしい場所を考える。どうしよう、どうしよう? おそらくカケルは、本当にどこに言ったとしても、心から喜んで楽しんでくれる。だからこそ、タイガは悩んでしまう。なんだか情けなくなって、泣きたくなるのをぐっとこらえて。
    「あ、そうだ」
     カケルはポン、と手を叩いて声を上げた」
    「この間、雰囲気良さそうな喫茶店を見つけてさぁ、結構いい感じのプリンアラモードがあるみたいなんだけど、行かない?」
    「……行く」
     タイガはこくんと頷いて、カケルに寄り添うよう横に並んだ。
    「ふふ、じや、行こうか!」
     カケルと並んで歩く。時々ショーウィンドウに映る自分達を見て、最初はアンバランスだな、と考えていたタイガも見慣れていくうちに「案外似合いの二人じゃね? 俺たち」なんて思うようになっていた。
    「今度コレとお揃いのお洋服タイガきゅんにプレゼントしたいにゃ! お揃いコーデでデート!」
    「それはいい」
     げ、とタイガは苦い顔をした。
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