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    オルト

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    799文字
    22世紀蕎麦屋のタイカケ
    小一×中一

    「なぁ、中学も夏休みってあるのか?」
     七月に入って早々、タイガくんに聞かれた。まだ小学生になったばかりのタイガくんは、中学のことを知らなくて当然だ。
    「もちろん、あるよ! 小学校と殆ど一緒かなぁ?」
     既に配られていた年間予定表で、夏休みの日程は把握済みだ。なんならタイガくんと遊ぶ予定を入れようと考えていた。きっと初めての宿題に手を焼くだろうから面倒見てあげようとか、自由研究で科学の面白さを知ってもらおうとか、一緒にラジオ体操に通ってスタンプをコンプリートしたいなとか、そこそこ具体的に夏休みの過ごし方を想像していた。
    「な、ならよぉ……、いっぱい一緒に遊べる?」
    「うん! いっぱい遊べるよ!」
    「よっしゃ……!」
     タイガくんは嬉しそうに笑って、ガッツポーズをした。こんなに喜んでくれるなんて、僕も嬉しくなっちゃうよ。
    「宿題も、ちゃんとするんだよ?」
    「夏休みも、宿題あんのか?」
    「……たぶん」
     僕が一年生の時は、あった。多分ある、よねぇ? 六年前と今で、そんなに変わらないよね、小学生の夏休みって。少なくとも去年六年生だった僕には、夏休みの宿題はあった。
    「げー……。中学も、宿題ある?」
    「うん。だから、一緒にやろう?」
    「まぁ、カケルが一緒にやるんなら、やってやってもいいかな」
     なんだそりゃ。笑いそうになるのを堪えて、タイガくんの頭を撫でる。
    「偉い偉い! 一緒に宿題頑張って、一緒にいっぱい遊ぼうね!」
    「子供扱いすんな! 俺、もう一年生だぞ!」
     ムッ、と頬を膨らませるタイガくん。とっても可愛い! 確かに僕も、一年生になった時はすっかりお兄さんの気分だったもんなぁ。
    「ごめんごめん! はい、じゃあ、約束!」
     そう言って小指を出すと、タイガくんはへの字にしていた口を緩めて、僕の小指にタイガくんの小指を絡めた。
    「いっぱい思い出作ろうな」
    「うん」
     どんな夏休みになるだろう?
     想像して少しノスタルジックな気持ちになった。夏本番が楽しみだ。
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    オルト

    TRAININGタイカケ。
    付き合っていくうちに、カケルくんに対してだけ策士になっていくのもいいな。
    このところ、結構冷え込む。青森に比べたら全然だけど、それなりに東京も寒くなるんだな、なんて思いながら窓から冬の空を見上げた。今にも降り出しそうだ。この気温だと、みぞれか……雪になってもおかしくない。
    「さみぃよなぁ」
     今朝、寒い寒いと言いながら出て行ったカズオのことを思い出す。寒いのならもっと厚着をしていけばいいのに、と思うけど、ファッションがどうのこうの言って寒そうな薄っぺらいコートで出て行った。そう言えば、傘、ちゃんと持っていったのか? まぁ、アイツのことだから準備してるだろうし、持ってなくても車移動出し大丈夫か……。でも……。
     俺はカズオに一言連絡を入れる。
    ―今日、帰りは?
     仕事中だろうから返事はすぐに来ないだろうと思っていたけど、案外すぐに来た。
    ―今日は久しぶりに電車で帰るよん! 雨降りそうだから急がなきゃ~
     めずらしい。この言いぶりだと、傘も持ってなさそうだ。
    ―何時ころ駅着く?
    ―あと十五分くらいかな。
    「よっし」
     俺は上着を羽織り、全然使ったことのないマフラーを掴んで玄関に向かった。自分の傘とカズオの傘を掴んで外に出ると、ぴゅうと冷たい風が頬を刺した。
    「寒 1064