最強キャラが飽和してる世界で唯一の雑魚キャラ俺に皆惚れてるなんておかしい騎士になったら一番の功績を上げてやる。そうして誰よりも早く出世して、ゆくゆくは騎士団長になるのだ。あの人と同じように。
そう夢見ていた時期が、俺にもあった。
「な、名前がない……また落ちた……」
「そう気を落とすなよエイリーク、まだその時期じゃないってだけだろ?」
「ぐぬぬ……また他の奴らとの差が広まるー!」
掲示板に貼り出されているのは今期の昇級試験で騎士に選ばれた者の名前だ。そこに俺、エイリーク・ジアッドの名前はなかった。
田舎を出て見習い騎士として軍に籍を置き数年。まだまだ偉大な剣士には程遠く、そうなるための下積み時代である。そんな中でも、才能のある奴らは既に何人か騎士として認められているのが現状だ。
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