竜のルーツ③没シーン 部屋の奥には、磔の刑よろしく両腕を開いて壁に背をつけて立っているカクの姿があった。
なんというか、らしくない光景に何をしているんだろうと首を捻る。
「ねぇカク何してんの?」
問いかけたが答えは帰ってこない。
いや、正しくはカクは何か言おうとしていた。しかし、口の前には何やら小さなぬいぐるみのようなものが張り付いており、言葉を発すことができないようで一体どういう状況なんだと益々疑問が積みあがる。全くふざけている場合か。とりあえず怒るのは事情でも聴いてからかと部屋の中へと足を進めると、部屋の中は薄暗いせいで足元が見えなかったせいか、足を進めているうちに何かを踏んづけたらしい。足裏にぐにゅ、と何か踏んづけたような感覚が伝わる。
2336