現パロ 卒業式に両親がいないのは寂しかったが、それは魏無羨も同じだったので、明るく三人を見送ったのが朝の出来事だった。
卒業式の練習を午前中に行い、午後は学校もなく同級生と別れて、帰宅した江澄はテレビのニュースをつけてそのままリモコンを落とした。
テレビで繰り返し流れていたのは、両親と姉が乗っている飛行機が墜落した、というニュースだった。
それから、数時間後、自宅には祖母が入院している先の病院から祖母が亡くなった旨の電話が入った。
四人の葬儀は同時に行われ、喪主は十五歳の江澄が務めた。
悪いこと、というのは重なるもので、両親と姉、そして祖母、家族を一気に亡くした江澄に残されたのは、多額の借金だった。父は借金の連帯保証人になっていたらしく、金を借りていた本人が夜逃げしたことによってその負債が一気に江澄の圧し掛かってきたのだ。
父と母が経営していた会社が、経営は順調だったのだが、二人が亡くなり、江澄が子供だったことをいいことに買収されてしまい、江澄には二人の会社を受け継ぐこともできないまま、借金だけが残されたのだ。
本来であれば、相続を放棄すれば江澄は借金など背負う必要はなかったのだが、当時、江澄はまだ子供でおまけに借金取りは、マフィアのような連中。子供だった江澄は、うまいこと騙されて江澄は巨額の借金を背負わされることになったのだった。