アンタと飲みたいワケじゃない!(仮)ライフラを飲みに誘うシア
お酒が入り愚痴モードに突入するライ
お手洗いに立っている時にオクタンからの電話がかかってきてやはり愚痴られるシア
の、結の部分ざっくり↓
「まったく。あまりにも分かりやすい。電話越しにも鼓動の音が聞こえてきそうですね」
「オレお前の視界の中にいんの?」
「このバカシルバ。比喩表現をご存知ないのですか?」
「おいおい、アネキの真似かよ?その呼び方はやめろよな――」
笛のような音色が昇っていき、弾けて消える。同じ花火の音が、電話越しからも聞こえてきた。まさか……。
「おお?花火の音だ。オビさんにも聞こえたか?マスター!今日なんかの日だっけ?……ドーメイ記念?へー……」
通りを挟んで向かい側。小洒落た高級バーのカウンターに、見慣れた影が見えた。つい笑ってしまう。まさか本当に、視界の中にいたなんて……。
「シルバ。これは運命かもしれません」
「あ?何言ってんだよ、急に」
「向かいの店の中。貴方に手を振っている人が見えるでしょう?」
「向かいの店……って……ハア!?」
「ふふ。私たち、思っていたよりもずっと近くにいたようですね」
「オビ、ほんとごめん!遅くなっちゃった!……あ、お取り込み中な感じ?」
「いえいえ。むしろ、ちょうどいいところに来てくださいました」
「ちょうど?」
「私の“友人”がすぐ近くにいるようです。……折角なので、お呼びしても?」
「いいけど……誰?」
「あっ、オイ!なんか勝手に話進めてねえか!?」
「それは到着してからのお楽しみです。ねえ?」
「ちょっと……友人ってシルバのことだったの!?さっきまでの愚痴聞いてた!?」
「そうだぞオビ!今気まずいんだって話してただろ!?」
「ふうん。あんたもオビに愚痴吐いてたの?迷惑かけてんじゃないでしょうね?てか酒くさ!またしこたま飲んで――」
「……アンタにはもう関係ないだろ」
「まあまあ。お二人とも落ち着いてください。今日は私の友人として招待したのです。楽しく飲みませんか?」
「……」
「……まったく。仕方ないわね。いい?あたしはアンタと飲むわけじゃないから。オビの友達だから一緒にいてあげてるだけ。分かった?」
「……へっ、それはオレのセリフだ!オビさんがいなけりゃ、アンタとなんか飲まねえよ!」
「良かった。これで同盟成立ですね。ほら、お二人とも、座って座って!」
「んじゃオレ、ウィスキー頼もうかな。飲まねえとやってらんねえって」
「貴方は飲み過ぎです。水で頭を冷やしてください」
「あ~?」
「もう、ほんっとに馬鹿なんだから……」
花火が打ち上がる。何十年も前の為政者の、和平のための一歩を祝う花火が……。