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    not_chikuchiku

    @not_chikuchiku

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    not_chikuchiku

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    孤児時代の夢を見たプがド深夜の誰もいない食堂でボンヤリしていたらホラママが起きてきてよしよしされる話
    カプなし全年齢
    夢の部分の最初のとこしかない

    深夜、食堂で(仮)「嘆き声が全土に響き渡るだろう。いまだかつてなかったような、これからも二度とないような悲痛な叫びだ」


    雲ばかりで星が見えない夜には警戒しろ。激しい雨の夜はもっと危険だ。男たちがやってくる。麻縄、催涙スプレー、猿轡に鋭いナイフ。「売り物」を探して、ギラついた目の光を頼りに、暗く澱んだスラムをねり歩く……。

    瞼越しでも分かる強烈な光と、空を切り裂くような轟音で目が覚める。どこかで雷が落ちたようだ。雨の勢いは眠る前よりも激しくなっていて、朽ちかけのトタン屋根を殴打している。打ち捨てられ時が経った廃墟はもはや半分屋外といった風情で、そこかしこに空いた穴から雨が吹き込み、もはや服が服の役目を果たしていないほどぐっしょりと濡れている。寒くはなかった。狭い部屋に十人を越える孤児たちが寄り集まって寝ているものだから、むしろ暑苦しいくらいだ。
    雨は止みそうにない。眠る気力も、ない。なんだか今日は、誰かと身を寄せ合っていられる気分ではなかった。耐え難いほどの居心地の悪さに、ふらふらと立ち上がって外に出る。傘なんて洒落たものは持っていなかった。仮にあったとして、鉄くずにして売り払うだろう。この世界はそんなものだ……。
    先の雷のせいで停電でも起こしているのか、申し訳程度に点在する街灯の明かりも消え、一寸先も分からない。それでも何故だか踏み出していた。サイズの合わないサンダルの先が闇に消える。このサンダルは、どこかに穴でも空いているのか、歩くたびにプゥプゥと空気の抜ける音がして、俺はそれが嫌いではなかった。地面を激しく打つ雨のせいで、今やその音も聞こえないのだが。
    暗闇をひたすら歩く。歩く。ただ歩く。時折つま先になにかが当たる。さっきのはゴミ捨て場だった。カラスあたりが漁った後だったのか、破れた袋の中から出てきた汚物が、異臭を放っていた。おそらく足は汚れただろうが、気にしない。雨は全てを洗い流してくれる。
    どれくらい歩いたのか。一瞬だったかもしれないし、永遠だったような気もする。雨音の隙間を縫うように、誰かの囁き声がした気がして、俺は足を止めた。
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