さよならは本当になった2 暖かな日差し、温かな人たち。そして綺麗な海。東京にいるとなかなか味わえない空気は最高で移住するのもありかなと思ってしまう。
あの日、悟たちと別れてから硝子から一度連絡が来ただけで悟からは未だに何もない。新聞やテレビに露出することもなくなって、少し心配になって事務所へ連絡しようとしたがやめた。何を考えているかはわからないが、悟の邪魔をするべきではないだろう。
そう思いながらいつものように車に乗って買い物へ出掛けて家へ戻ると数ヶ月は離れていた筈なのに、やけに見慣れたと感じる白く輝いている髪と同じように輝く瞳をサングラスで隠した元相方の姿があった。
「見つかるのはもう少し先だと思っていたんだけど」
「傑がここに住んだ日から知ってるっての。帰るぞ」
「久々に会う元相方への言葉に聞こえないな」
「またコンビ組む許可は得たし、明日付けで俺たちの熱愛報道が流れるようにもしてる」
「……ついに頭がおかしくなった?」
「うるせぇ。傑が逃げるからだろ」
「私がいつ逃げたって?」
「俺から逃げた結果ここに住んでんだろ?! 傑が俺のこと好きだってことくらい知ってたし、いつ告白してもらえんだろうって待ってた俺がバカだったよ」
「…………君、さっきから本当に何言って……は? 悟が、私を……?」
「だーかーらー! 好きだっつってんだろ!」
言っていることはわかるのに、理解が出来ない。誰にでも愛されて、誰にでも平等に笑顔を向ける悟が自分に恋心を抱いているとは全く思っていなかったし、何なら自分の気持ちが気付かれているとも思っていなかった。それが全て事実なら――いや、事実なのだろう。悟の表情を見るだけでわかる。ずっと我慢をさせていたのが申し訳なくなる。見ていたつもりだったのに、いつの間にか些細なサインを見逃していたのだ。
「ごめんね」
「?」
「私からちゃんと話すべきだった。……好きだよ、悟」