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    tsuyu_oO

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    アンケートしたやつです
    生徒×先生
    ミ→→→オエ♀のミスオエ♀

    ※ネオ♀がすごく香りますので何が起きてもいいひと向け

    生徒×先生♀ 放課後、誰もいない廊下を進みその教室の前を通るとき、四組の誰とかがかわいい、という声が聞こえた。実に思春期らしい会話だなとは思うけれど、居残った生徒のそんな話に指の先ほども興味がなかった。そのまま通り過ぎ、階段へ足を向ける。
     けれどひとつ、ふと聞こえた続きに驚かされてしまった。
    「俺はオーエンですね。顔も体も、良くないですか?」
     こういう話には混ざらなさそうな大人びた(あるいは浮いた)生徒の声で、あろうことか自分を名指しされたからだった。
    「……」
     面白かった。静かに笑いながら階段を降りていく。
     そう、そのときはただ面白いと思っただけだった。可愛げのないあんなやつにもそういう子どもらしいところがあるのかと思って面白かったし、そんなやつの思春期の視線をまさか自分が集めていたのかと思って面白かった。
    「顔も体もって……ガキが、偉そうに」
     ただ、笑っていられたのは、この時だけだった。


       *


     これは、あれ、もしかしてこいつ、本気で教師に手を出そうと(立場的には出させようと?)してるのか? と慄くことになるはじめの話だ。

     生徒指導室。
     問題児ミスラ御用達の部屋だ。けれど生徒指導部でもなければ風紀に厳しいわけでもないオーエンには馴染みのない部屋。
    「どうして僕を呼んだの」
     カラカラと扉を閉めながら言った。面倒くさいなあと思っているのがあからさまに声に乗っていた。

     どうやら、オーエン先生なら説教を聞いてやってもいいです、と言ったらしい。この問題児が。正直疑わしい。授業中はもちろん日頃からぼーっとしていて、何にも興味を持っていなさそうな生徒が悪戯心だとしても本当にそこまで言うだろうか。そもそも、ただひと科目担当しているだけの間柄だ、個人的な会話なんて今まで無いに等しい。「顔と体」ならまだしも説教してやるほど慕われる理由がない。

    「あなたに聞きたいこと……いや、聞いてほしいことがあって」
     オーエンは生徒の悩みや相談事に親身になるほうではないし、生徒のほうだってまったくそういう気配は見せないし、それはみんながオーエンの為人をそれなりに察知しているからだと思っていた。その「みんな」にはもちろんミスラも含まれる、はずだった。
    「ふうん。聞くだけでいいなら聞くけど。何」
     さっさと帰りたいなと思った。こんなのただの時間外労働でしかない。
    「先に聞いておきたいんですけど、先生、ネロ・ターナーと付き合ってるって本当ですか?」
     先生、という普段めったにくちにしないだろう肩書きをあえて使ったその問いはいくらか刺々しく感じられて、「教師なのに」と責めるような意図を察した。
     教師だってただの人間なんだから恋愛くらいするし、そうじゃなきゃ既婚の教師も教師のこどもも存在しない。咎められるいわれはない。子どもの貧困な発想とどこから湧いたのか知らない噂話にため息が出た。まあ、噂の相手が同じ学校の教師では色々とやりにくいのだろう、というのは理解できる。キツい言葉は飲み込んで端的に返す。
    「ちがうけど」
    「ちがう? じゃあ彼氏じゃないんですか?」
    「というか、そんなの聞いてどうするの」
    「別に。話の前に確認したかっただけです」
     そう言って、ミスラはオーエンを見た。別に、なんて言ったくせにグリーンの気だるげな瞳は普段よりどこか強い。はじめて受ける視線だった。

    「もともと誰のもの、とかは、関係ないので」

     ぽつりと零された独り言のようなその言葉に、オーエンはようやく混乱した。事態の深刻さにやっと気がついた、と言い替えてもいい。
     まだ、ミスラの向かいに座ってもいなかった。
     長机を挟んでオーエンを見上げるミスラと、部屋の中途半端なところに立ち尽くしたオーエン。扉はさっき、自分で閉めた。もちろん鍵はかけていない。
     無理に押さえつけた声で大切なことを問う。
    「話って、なに」
     そんな言葉を発したそばから、間違えたと思った。これを聞けばなにか良くないことが返ってくる気がすると脳が警鐘を鳴らす。
     ミスラがここへオーエンを呼んだ理由の心当たり、悩める十代のヤワな相談目的ではないというのなら、全くない訳では無いのだ。
     ──顔とからだ?
     これは相当まずいと思った。ここは学校だとか自分と彼の立場だとかありとあらゆる理由から相当、まずい。
     この防衛本能が自意識過剰なんかじゃないのが、ミスラというミステリアスな生徒の日頃の行いやなんとなく見てきた「こういう類のからかいはしないだろうな」と思わせる性格、そして極めつけに今目の前にしている瞳のいろから、断言できてしまう。
    「先生、」
     教師なのに、と責められていたんじゃない。
    「ここ、座ってくださいよ」
     低い声、抑揚の少ないいつも通りの話し方で指し示されたのは向かいの席。
     オーエンは少し躊躇った。どうしてただのいち生徒にここまで緊迫させられているのか。と自分を奮い立たせているのがそもおかしな話だ。
    「話聞いてくれるんでしょう」
    「……僕はきみに説教しにきた」
    「じゃあ、あなたの説教も聞くから、俺の話を先に聞いてください」
    「僕の話が先だよ」
    「でもすぐ済みますよ、俺のは」
    「待って、だめ、僕が先に──」
     説教する内容なんて正直思いつかないけれど、時間を与えてはいけないと思った。先手必勝という言葉があるけれど、今がまさにそれだと思った。
     でも。
     ミスラはオーエンのくちを塞ぐ代わりに手を掴んだ。それはバーで女を口説くような色気のあるものじゃなくて、ただ目の前から逃げられないようにするためのもの。
    「俺、あなたで抜きました」
     想像の百倍は直接的で、斜め上を行く暴露。思わずろくな言葉をなくしてしまった。
    「……は……?」
    「昨日も一昨日も。おかげで授業もうわの空です」
    「きみのうわの空はいつものことだろ、僕は関係ない……」
    「ただオカズにするだけで足りてたんですけど、あなたがネロと付き合ってるって聞いて、なんだか、我慢ができなくなって」
     我慢ってどういうことだなんて聞く勇気は一ミリも出てこない。掴まれた手はどこかぼんやりと手慰みに撫でられたり握りこまれたりしている。
    「オカズにしといておかしな話ですけど、ああ、あなたも男とセックスするんだなあと思ったら──」
     同僚とセックスしているところを想像されたのだと思うと複雑な気持ちになった。たしかにまあまあ古い付き合いではあって、他と比べたら気安いし、実は家も近いのでそういう噂が立つ可能性もゼロではないかもしれないけれど、いざそんな場面の想像までされたとなるとこちらとしてもなんとも言えない気持ちになる。
     自分より大きな、立派な男の手に好き勝手に指先を弄ばれながら、ふと上げてしまった視線はあっという間に囚われた。
    「──俺が、って、思ったんです」
    「……」
    「どうですか。童貞が嫌なら……まあ、適当に済ませてきますけど」
    「…………」
    「ちょっと、聞いてます、」
     先生?
     ともう一度使われたその肩書きは、彼の興奮を助長するらしかった。
     なんて言い方をしつつ、自分はまったく興奮しなかったとは言いきれないあたり、終わっている。心底がっかりした、自分の節操のなさに。
    「はあ。だんまりですか。……いいですよ、じゃあほら、約束だったし、説教してください」
     なんとか手を離させて、かろうじて捻り出したのは「授業を聴け、エロガキ」くらいの拙いものだった。
     罵倒や罵詈雑言、嫌味なら星の数ほどレパートリーのある女だったはずなのに、この体たらく。また心底がっかりした。

     それからというもの、黒板の前に立てば浴びる気だるげな視線が恐ろしくなった。
     その一線を越えれば失うものが多すぎる、と誰に言われずとも分かっているのにあの視線はそんな理性を揺さぶるほどの何かをもってオーエンを見るのだ。
     ミスラが頭のなかでオーエンを乱し、汚しているのだと知ってしまったことで、実際ミスラはどんな風に自分を、と考えてしまうようになった。
     恐ろしい呪いをかけられた、と思った。

    「どうした、最近休み時間職員室にずっといるよな」
     珍しい、と言外に言われている。本来オーエンは必要以上に職員室に寄り付かない。長々といると厄介な「先輩たち」に絡まれるからだ。それでも、ミスラに声をかけられるよりマシだと思うのだから相当だ。
    「ネロ……」
    「おい……なんだよ、具合でも悪いのか?」
     覗き込んでくる面倒見のいい同僚にさらなる弱みを見せる代わりにネクタイを強く掴んで引き寄せる。うお、と驚き、経験からか一気に警戒モードに入る彼に言う。
    「やっぱり僕たち付き合ってるってことにしよう」
    「っはァ!? 何言って、」
    「なんならもう入籍してもいいよ」
    「いやいやいやおいおいおい待て待て待て」
    「僕のなかの大切なものが危ないんだ。ねえやさしいネロ……きみにしか頼めないことなんだよ」
    「マジで話が読めなさすぎるんだよ、いったん落ち着けって!」
     ネクタイをがっちり掴んだ手をさらにその上から掴まれてどうどうと椅子に押し付けるように宥められる。
    「あとでちゃんと話聞くから、マジで正気を取り戻せ、な? お前はほら、俺なんかよりさ──」
     声を潜めて、周りの誰にも聞こえないようにと気をつかって同僚は言ったけれど、オーエンはそれはもうたいへんに焦っているのだ。まんまと生徒の罠に引っかかり、その視線に熱を持ちかけている現状に。
    「だってからだの相性は悪くないよね、僕たち」
    「ばっっっ……かお前そういうことを、こんなとこで!」
     学生時代のことを掘り返されたせいか小声ながらもひどく取り乱した様子で乱暴にくちを手で押さえつけられる。
    「ねえお願い、童貞のガキなんかじゃダメだって思い知らせてほしい……」
     オーエンの悲痛な言葉に同僚は何かを察して華奢な肩をぽんと叩いて言った。
    「お前……。ひとつだけ忠告しとくけど、犯罪だけはやめろよ……」
     今夜とりあえず、飲みに行くか、とも。




    *****
    生徒指導室でほんとはえっちなことになる予定だったけどオーエンちゃんのガードが堅かったです
    でもジワジワ落ちてくるのをくちあけて待ってるミスラくんもなんかえっちでいいなっておもって……
    もう過去の男なのにまだずるずる友だちやってる、みたいなネロすごくいいなっておもっていて、入れちゃいましたゴメンネ
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