ドッペルゲンガー、恋を知る。とある幕間 何度か倒れ、気を失った気がする。
そのたびに起き上がり、地面を這いつくばり、気がついたときには木に寄りかかっていた。視線を下に向ければ腕は片方なく、血を流しすぎたせいか酷く寒い。戦線を離脱できたものの、通信機器の類は隊長が所持している。仲間は、無事に本丸へ帰還できただろうか。きっと青江がうまくやってくれるだろう。彼は二振り目だ。鶴丸の気持ちを汲んでくれるに違いない。
あとどれくらい自分が持つのか、わからない。そう遠くないうちに折れるだろうなという予感があった。その予感は、数日前からずっとあったのだ。あの、ドッペルゲンガーである自分の二振り目が現れたときから。
ふう、と息を吐く。敵が現れても、もう逃げられる気はしなかった。身体が根を張ったように動かない。自分はここまでのようだ。
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