2.現パロあさきど
(売れっ子2世俳優×売れないお笑い芸人)
「例え何度生まれ変わっても、もう一度貴方に恋をする」
「!…」
「世界中でただ1人、変わらず貴方を愛してるっ」
そう言って真っ直ぐ俺を見つめるあいつがさし伸ばして来た手。日頃あれだけ偉そうに小言を言う口は震え、指先も小刻みに揺れている。
何度もこいつの演技は見てきた。その度に偉そうな口振りだけやなくてそれにそぐわう努力をこいつもしてきてると分かった。
だからこそわかる。こいつがこの台詞を本気で言うてる事が
「ええやん、潤くん。今まで見さしてもらった中で1番やで、でもどないした?手ぇめっちゃ震えてるで」
あれだけの場数を踏んで、土壇場でも動じて無かったあいつが、初めて緊張で震えてるのが分かった。
「当たり前でしょ…だって、本命に言うてるんですから」
「…潤くん、それ言う相手間違ごうてへんか?」
「間違える訳あれへん。他の誰でもない、俺自身の言葉は誰よりもあんたに伝えたかった」
「あかんよ」
「好きです、丈一郎さん」
「あかんて、…こんな」
「初めてです、こんなに無様な格好人前で晒したの。
でも、そんなんすら構わんくらい、俺はあの時から貴方に惹かれてた」