優しさも愛も、全部君に。乱れたふたつの呼吸音が、重なっては離れていく。
「浮奇」
重たかった衣服は、彼の大きな手によってみるみるうちに剥がされていった。
肌が空気に触れ、ただ、涼しいなと思う。
「なに」
返答を返す。生来の僕の、とてもマイペースな速度で。
この人の前で僕は無理に飾らなくて良いことを知っている。
だって、きっとそういう関係だから。
「泣かないでよ」
唐突に告げられたその言葉を、うまく認識できなかった。
はっとして自分の目元に手を寄越すと、確かにそこからは涙が溢れていた。
「どうして」
滑稽なほど、自分の涙の理由がわからなかった。
そんな僕を見てサニーはため息をつく。
「そりゃそうだよ。俺たちが今からなにをしようとしてるのか、本当にわかってる?」
1903