バレンタイン「若島津、手ぇ出せ」
寮の部屋、晩飯も風呂も済ませて俺と日向さんはそれぞれ自分の机に向かって今日の課題に取り組んでいた。そんな中、俺と同じく自分の机で黙々と取り組んでいた日向さんがいつの間にか近くまで来ていてそう声をかけられた。
「あれ?日向さん?もう終わったんですか??」
俺はノートに書く手を止めると声のする方に顔を向けてそう尋ねる。
「おう。さっきな。気付かなかったのか?お前、集中力すげぇな。て、そりゃそうか。ゴールもすげぇ集中して守ってるもんな。俺も自信あるけどお前には負ける気がする…て、ほら、手ぇ出せよ」
穏やかな表情でそれに何だか機嫌が良さそうでホッとする。
今日はバレンタイン。想いを伝えて通じ合ってから初めてのそれだし、少し浮かれてしまってたってのもあって朝からその話でちょっとあったから(俺がしつこくチョコがほしいって言ってしまったっていう…)それ以降はそのことには触れずにいたんだよな。普通に接してくれてたけど一悶着が気にはなってたから、一日の終わりに来てそういう顔を見られて安心した。
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