寄り道 カードショップの一角で足を止めると、僕はショーケースとにらめっこした。前後左右に視線を動かすと、中から目的のカードを探し当てる。イラストとカード名を確認すると、次に視線を向けるのは値札の価格だ。二つ並んだゼロの前に書かれた数字を見て、僕はがっくりと肩を落とす。
やはり、発売されたばかりのパックの注目カードは、どうしても価格が上がってしまうようだ。これまでにも三軒回って同じカードを調べたけれど、全てが僕の予算を越えていた。もちろん、自分で引くことも視野に入れていたのだけれど、僕が買ったボックスからは出てくれなかったのだ。この入手難易度の高さも相まって、店頭では価格が跳ね上がっていた。
とぼとぼと引き返す僕の姿を見ると、ルチアーノは呆れたようにため息をついた。さっきからショップ巡りに付き合わされているから、すっかり飽きてしまったようである。退屈そうに僕の隣へと歩み寄ると、ちらりと中身に視線を向ける。再び僕の姿を捉えると、面倒臭そうに口を開いた。
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