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    流菜🍇🐥

    @runayuzunigou

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    TF主ルチ。ずっと書きたかったルチと少年少女キャラの相性のネタ。TFの女の子たちの自己解釈が含まれます。

    ##TF主ルチ

    誤解 この町には、たくさんのデュエリストが集まっている。伝説のデュエリストである武藤遊戯が生まれ育った町であり、海馬コーポレーションがデュエルモンスターズを進化させた町なのだから、当然と言えば当然だ。アカデミアには毎年たくさんの新入生が集まり、日々デュエルの腕を磨いていた。どれくらい多いかと言うと、百メートルに一度くらいのペースで路上デュエルを見かけるくらいだ。あまりにもデュエリストが多いから、一部の通りではデュエル禁止の看板が設置されている。
     僕が一番驚いたのは、子供デュエリストの多さだった。遊星は子供たちとの交流が多いから、僕の知り合いも自然と子供が多くなるのだが、その子たちがなかなかにいい腕をしている。アカデミアの生徒はもちろんのこと、制服を着ていないシティの外れやサテライトの子供たちも、負けず劣らず強いのだ。地域の小規模大会などでは、賞金を狙いに来た子供を見かけることもあった。
     僕は、すぐにその子たちと仲良くなった。彼らは心配になるほど警戒心が弱くて、僕が遊星の友達だと知ると、快く仲間に入れてくれたのだ。これで僕が危ない人だったら、どうするつもりだったのだろう。僕が言うのもなんだけど、本当に心配だ。
     ルチアーノと知り合って、一緒にデュエルをするようになると、僕たちの関係は少し変わった。男の子たちが、ルチアーノと仲が良くなかったのだ。顔を会わせる度に喧嘩をしてしまうから、あまり話ができなくなった
    「どうして、ルチアーノと喧嘩しちゃうの?」
     尋ねると、男の子は不満そうに眉を上げた。不満そうに鼻を鳴らす。
    「だって、あいつは性格が悪いだろ。何を言っても意地悪ばっかり言ってくるしさ」
     いつだったか、龍亞も同じようなことを言っていたから、同年代の男の子全般と仲が悪いみたいだ。
    「ルチアーノにも、いいところはたくさんあるんだけどね」
     そう言うと、男の子は冷めた瞳で僕を見た。心底理解できないという顔だ。これには、僕も苦笑いすることしかできなかった。
     そんなルチアーノだが、女の子からの評価は悪くないらしい。龍可もルチアーノのことは嫌っていないみたいだし。そういうものなのかもしれない。
     ただ、一人だけ例外はあった。サテライトに住むミントという女の子は、ルチアーノのことを嫌っているみたいなのだ。彼を連れて話しかけると、彼女は目を吊り上げて捨てゼリフを吐いた。
    「あっちいけー!」
    「ちょっと、待ってよ」
     踵を返して去っていこうとするミントを、なんとか引き留める。
    「何か用なの?ボクは忙しいんだけど」
    「どうして、ルチアーノを避けようとするの?」
     尋ねると、彼女は顔をしかめた。ルチアーノをちらりと眺めると、頬を膨らませて言う。
    「だってその子、変な感じがするんだもん」
     分かるような、分からないような反応だった。彼女はロケット少女だから、機械であるルチアーノとは相性が悪いのかもしれない。……自分でも何を言ってるか分からないけど、それで納得するしかない。
     それにしても、困ったことだった。彼女はマーサの家の子たちとも交流があったから、気まずい感じになってしまったのだ。一時期は遊星たちにも気を使わせてしまっていた。
     そういう状況になると、一つ問題が出てきてしまう。僕が関わる子供たちが、女の子ばかりになってしまうのだ。僕はあまり気にしていなかったけど、周りから見たらかなり危ない状況である。それを自覚させられるような出来事が、ついに起こってしまった。
     その日は、ルチアーノと一緒に町を歩いていた。特に用事は無かったから、当てもなく町を歩いて、出会った人とデュエルをしていく。彼は町の散策というものを知らないらしくて、退屈そうについて来ていた。僕が知り合いと話しては別れて行く様子を、興味深そうに眺めている。
     サテライトも歩いていると、女の子の姿を見かけた。黒髪にオーバーオールを着た、小学生くらいの少女だ。彼女はあゆみという名で、複雑な家庭環境に生まれているらしい。僕は詳しくは知らないが、彼女の両親はかなりあくどい商売をしていたらしく、多くの住民に避けられているのだ。シティ統一後にこの町にやって来た僕には、一人で頑張る健気な子供にしか見えなかった。
    「こんにちは」
     声をかけると、彼女は優しい笑顔を向けてくれた。周りからあんなに避けられているのに、こんなに健気な笑顔を見せてくれるのだ。気にかけないわけがない。
    「こんにちは。何かご用ですか?」
    「今日は、プレゼントを持ってきたんだ」
     そう言うと、僕は小さな包みを取り出した。ピンク色の不織布の袋に、赤いリボンがかけられている。中に入っているのは、ねこのぬいぐるみだ。彼女に喜んでほしくて、龍可と一緒に選んだプレゼントだった。
     彼女は、包みの中を覗いた。中に座っているねこを見て、顔をキラキラと輝かせる。真っ直ぐに僕を見ると、明るい声で言った。
    「こんなに素敵なものをいただけるなんて…。夢のようです! 本当にありがとうございます」
    「どういたしまして。喜んでもらえて嬉しいよ」
     その様子を、ルチアーノは隣から眺めていた。なんだか、冷たい瞳をしている気がするが、気のせいだろうか。そんなことを思っていたら、隣から声をかけられた。
    「用事は済んだかい? なら、とっとと行くぞ」
     あゆみに手を振って、僕は歩を進めた。どんどん先に行ってしまうルチアーノを、早足になりながら追いかける。
    「どうかしたの?」
    「別に、どうもしてないよ」
     尋ねても、つっけんどんな態度で跳ね返されてしまった。こうなってしまえばどうしようもない。黙って先に進むことにした。
     ダイダロス・ブリッジを抜けると、シティ沿岸部に辿り着いた。町の風景もがらりと変わって、背の高い建物がたくさん並んでいる。中心部ほどではないが、かなり栄えていた。
    「○○○とルチアーノ、だっけ? 何してるの?」
     町の中を歩いていると、どこからか、気の抜けたような声が聞こえてきた。振り向くと、変わった髪飾りを付けた女の子の姿があった。彼女はモンスターのことをモンちゃんと言うから、かなり特徴的だった。世間一般的に言う『不思議ちゃん』というやつだろう。
    「すっごいモンちゃんが出てくるよ~。カードパックあげるぅ~」
     そう言うと、彼女はカードパックを差し出してきた。つい最近発売されたばかりの最新弾だ。子供にとってはなかなかに貴重なものだと思った。
    「これ、新しいやつでしょ? もらっちゃっていいの?」
     尋ねると、彼女はふわっとした笑顔を見せる。妙に語尾を伸ばした喋り方で答える。
    「いいよ~」
    「ありがとう。大切にするね」
     答えると、彼女は去っていった。マイペースでかわいい子だ。そう思っていると、隣から冷ややかな声が聞こえてきた。
    「あいつは、いつもあんな感じなのかい?」
    「そうだよ。マイペースな子なんだ」
    「ふーん」
     ルチアーノは興味無さげに言う。自分から聞いてきたのに、よく分からない子だ。もしかしたら、マイペースさでは彼の方が上かもしれない。
     次に僕が話しかけたのは、宇里亜という少女だった。シティ内陸部に住む女の子だ。小悪魔じみた物言いが特徴で、周囲の大人からも人気があるらしい。ちょっと危なっかしいから、気にかけている子の一人だった。
     彼女は、嬉しそうに話に応じてくれる。近況報告をしながら、他愛の無い会話を交わした。話は変な方向へと転がっていき、ついにはこんなところに辿り着いた。
    「ねえねえ! アタシのこと好き?」
     直球な質問だった。子供は、たまにこういうことを言い出すのだ。唐突に差し出される質問では、どれくらいの真剣度か全然分からない。迷いながらも、僕は当たり障りのない返事を返すことにした。
    「うん、好きだよ」
    「じゃあ、だっこしてくれたら結婚してあげる!」
     僕の返事を聞くと、彼女は嬉しそうに言った。言葉の選択を間違えたかもしれないと、今になって後悔する。こんな真剣な質問だったなんて。それよりも、隣から感じるオーラが恐ろしかった。
     僕は恐る恐る隣を見る。ルチアーノが、冷たい空気を放ちながらそこに立っていた。被っている布が顔を隠しているのが、恐ろしさを増加させる。恐怖に震えていると、地の底から這い出たような声が飛んできた。
    「そっか、君はそういう趣味だったんだね」
     彼は顔を上げると、宇里亜に視線を向けた。作り物の笑みを浮かべると、優しい声で話しかける。
    「僕はこの人と話があるから、あっちに行っててくれないか?」
     不穏な気配を感じたのか、宇里亜が早足で離れていく。誰もいなくなると、ルチアーノは静かに僕に詰め寄る。その瞳は、寒気がするほどに冷えきっていた。
    「さっきから、君は小さな女の子ばかりに声をかけてるよね。そういう趣味だったのかい?」
    「違うって!」
     慌てて言葉を返すが、聞き入れてもらえない。
    「サテライトでプレゼントを渡したのも、シティでプレゼントをもらったのも、小さな女の子だったな。極めつけに、結婚の約束だ。こんなもの、幼児を狙ってるとしか言えないんじゃないか?」
    「違うんだよ! 誤解だ! 僕は、ただ知り合いと話してるだけなんだ!」
     必死に説得しようとするが、ルチアーノは聞き入れてくれない。僕を睨み付けるように見上げると、熱の籠った声で言う。
    「そういえば、君は初めて出会ったときも、僕を女と勘違いしてたらしいな。もしかして、僕とのタッグパートナーを受け入れたのもそういう理由だったのかい?」
    「違うんだって!」
     僕の必死な説得は、彼の耳には入らなかった。説明の隙も与えずに、次々と言葉をぶつけてくる。腹立たしげに鼻を鳴らすと、至近距離まで詰め寄った。
    「そんな危ない人間には、お仕置きが必要だよな」
     そう言うと、両手で僕の肩を掴んだ。一瞬後に、痺れるような衝撃が僕を襲う。立っていられなくなって、僕はその場に座り込んだ。
    「ふん。そこでしばらく反省するんだな」
     捨てゼリフを吐くと、彼はどこかへと去って行ってしまう。
     まさか、自分が小児性愛者に間違われるとは思わなかった。確かに、僕の交流相手は小さな女の子が多いが、それはルチアーノとの相性を考慮した結果なのだ。彼のための配慮が、このような形で裏目に出るなんて思いもしなかった。
     身体の痺れは、なかなか取れてくれなかった。地面に座り込んだまま、歩けるようになるのを待つ。
    「あら、こんなところで何してるの?」
     呆然と海辺の景色を見ていると、背後から声が聞こえてきた。この大人びた語り口調は、思い当たる人物は一人しかいない。身体を動かして視線を向けると、生意気な表情を浮かべた女の子がいた。
    「マイ。久しぶりだね」
     声をかけると、彼女は呆れたように僕を見た。ダメな大人を見るような視線に、若干心が痛くなる。
    「なんで座り込んでるのよ。恥ずかしいわよ」
    「いろいろあってね。今は歩けないんだ」
     そう言うと、僕はこれまでの経緯を話した。ルチアーノが同年代の男の子と喧嘩をしてしまうこと、僕の交遊関係は子供が多いから、必然的に女の子ばかりと話すことになってしまうこと、小さな女の子が好きだと誤解され、お仕置きをされたことまでもを、僕は包み隠さず話した。
    「そう…いつもの子に、ねぇ」
     話を聞くと、マイは呆れたようにため息をついた。僕を見下ろすと、生意気な語調で言う。
    「あの子…それなりに大人だと思っていたのだけど、嫉妬でそんなことをするなんて、まだまだ子供ねぇ」
    「えっ?」
     僕は、驚きの声を上げてしまった。彼女の呆れは、僕に向けられているものだと思ったのだ。僕がぽかんとした顔をしていると、彼女は言葉を続けた。
    「あの子は、あなたに構ってほしかったのよ。子供って、どうして素直に言えないのかしらね」
     マイは語る。自分も子供なのにとは、今回は思わなかった。この件に限っては、彼女が子供だからこそルチアーノの気持ちが分かるのだろう。パートナーの真意が分かって、ちょっと安心した。
    「そっか。そうだったんだね」
     僕はゆっくりと立ち上がった。覚束無い足取りで踏み出そうとすると、マイが手を差し伸ばしてくれる。お礼を言いながら、僕は彼女の手を取った。
    「ありがとう。いい発見になったよ」
    「別に、たいしたことはしてないわよ」
     お礼を言われるとは思わなかったのか、彼女は恥ずかしそうに頬を染めた。手を振って別れると、自宅を目指して歩き始める。まだ身体は痺れていたが、歩けないほどではなかった。
     ルチアーノは、女の子たちに嫉妬しているのだろうか。僕が彼と同世代の女の子と話すことに、嫌な気持ちを感じているのだろうか。そうだとしたら、僕はすごく嬉しい。
     今度会ったときには、ちゃんと謝りたい。謝らなければいけないし、誤解も解きたかった。僕は、幼い女の子が好きというわけではないのだ。
     ルチアーノは、絶対にまた会いに来てくれる。まだ、そこまで長い時間を過ごしたわけではないけど、その事に疑問は持たなかった。それくらいのことは分かるくらいには、僕たちは親しいのだから。
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