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    流菜🍇🐥

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    pkmnDLCの妄言テキスト。ゼイユお姉ちゃんに対して一方的に好意のあるアオイちゃんが気持ちを伝えようとするゼイアオです。

    ##pkmn

    告白 リーグ部の部室に入ろうとして、アオイは入り口で足を止めた。室内から、甘ったるい気配を感じたのだ。扉を少しだけ開いて、中の様子を除き込む。案の定、室内にはアカマツとタロがいた。
     挙動不審な態度のアカマツが、タロに何かを話しかけている。重要なことを伝えたがっているようだが、口からは曖昧な言葉しか出ていなかった。悔しそうにもごもごと口を動かす姿は、リーグ部のメンバーにとっては日常茶飯事であるようだ。他の四天王たちは、アカマツがタイミングを窺っていようが、容赦なく室内に入っていくのである。
     とは言え、彼らが気にしていなくても、アオイは気にしてしまう。彼女にとってブルーベリー学園はよその学校で、四天王に対しても遠慮が残っているのだ。こんないい雰囲気の中を、壊していくわけにはいかなかった。
    「あら、アオイじゃない? 何してるの?」
     急に背後から声がして、アオイは飛び上がるほどに驚いてしまう。振り返ると、腕組みをして佇むゼイユの姿が、彼女の真後ろに迫っていた。慌てて唇に人差し指を当てると、小さな声で告げる。
    「大きな声を出しちゃだめだよ。今、いいところみたいなの」
     その一言だけで、彼女は全てを察したようである。にやりと意地悪な笑みを浮かべると、アオイの顔を覗き込んだ。
    「ふーん。あんた、覗きの趣味があったのね」
    「違うよ! 部室に入ろうと思ったんだけど、タイミングが分からなくて……」
    「そんなの、気にせずに入っていけばいいじゃない。アカマツが告白できずにいるのなんて、いつものことなんだから」
     退屈そうに返事をしながら、ゼイユも室内を除き込んだ。そこにいるのはアカマツとタロの二人だけで、アカマツは必死にタロに話しかけている。アオイが入りづらく感じているのも頷ける様子だった。
    「入りづらいなら、一緒に入ってあげるけど?」
     問いかけると、アオイはブンブンと首を振る。ドアから顔を離すと、そそくさと後ろに下がった。
    「わたしは、いいよ。別に、急いでるわけじゃないし……」
     年頃の女の子らしい反応に、ゼイユはにやりと笑みを浮かべる。
    「へぇ~。あんたも、人の恋話に興味があったのね。バトル一筋かと思ってたわ」
    「そんなこと、ないもん……」
     なぜか頬を赤くして、アオイは下を向いた。初々しい反応に、ゼイユはさらにからかいの言葉を投げる。
    「ふーん。好きな人がいるんだ。意外ね」
     このままだと分が悪いと思ったのか、アオイは思いきったように顔を上げた。頬を赤く染めたまま、反撃の言葉を告げる。
    「そういうゼイユはどうなの? カキツバタと仲がいいんでしょ」
    「あいつは、そういうのじゃないわよ」
     少しも動揺することなく、真っ正面から否定されてしまった。邪推する余地の微塵にもない、見事なまでの即答だ。本人がいなくて良かったと思いながら、さらに質問を続けてみる。
    「それなら、ゼイユは、男の子に告白されたりとか、したことあるの……?」
    「そりゃああるに決まってるでしょう。こんなに美人なんだから。でも、全員断ったわ。あたしよりもバトルの弱い男じゃ、釣り合わないもの」
     彼女らしい答えだった。アオイには少し難しかったようで、不思議そうに首を傾げている。何度か視線を彷徨わせると、再び質問を重ねた。
    「ゼイユは、強い人がいいの?」
    「まあね。強ければいいってわけじゃないけど、そうじゃないと釣り合わないでしょ」
    「そうなの、かな……?」
     そこまで聞いても、アオイには分からないようだった。彼女は規格外の強さを持っているから、余計にピンと来ないのだろう。彼女と張り合える人間なんて、それこそチャンピオンクラスしかいない。
    「アオイはチャンピオンクラスだから、自分より強い男なんていないか。まあ、そういう意見もある、くらいに受け取っときなさい」
     考え込むアオイを見下ろしながら、ゼイユは気の無い言葉を吐く。思いの外まともに悩みだしてしまったから、からかいがいがなくなってしまったのだ。話を切り上げようと口を開くと、アオイの大きな瞳と目があった。
    「じゃあ、わたしはどう?」
     アオイが、平然とした口調で問いかける。少し思案してから、ゼイユも淡々と言葉を返した。
    「まあ、あんたならいいかもね」
     そこで、会話の違和感に思い至った。今、この少女はなんと問いかけたのだろうか。なんか、とんでもない言葉を吐いていた気がするが。
    「…………えっ?」
     聞き返そうとすると、アオイはくるりと後ろを向いた。ぎこちない仕草で身体を伸ばすと、妙に大きな声で言う。
    「じゃあ、わたしはテラリウムドームに行こうかな。またね」
     言い終わるより先に、パタパタと足音を立てながらその場を立ち去った。何も聞くことができなくて、ゼイユはぽかんとその後ろ姿を眺める。しばらくそうしていると、入れ違うようにカキツバタが姿を現す。
    「ゼイユか? 何してんだ? こんなとこでボケっとして」
     能天気な声にツッコミを入れる気力さえ、今のゼイユには残っていなかった。頭の上に疑問符を浮かべながら、呆然と言葉を吐く。
    「今、告白されたかも」
    「なんだ。いつものことか。誰なんだよ。その命知らずは」
     隣から聞こえてくるのは、相変わらず能天気な声だ。そのふわふわとした空気を引き裂くように、ゼイユは直球な言葉を告げる。
    「アオイ」
    「は?」
     予想外の返事に、さすがのカキツバタも疑問符を浮かべた。ゼイユと顔を見合わせると、すぐに楽しそうな笑みを浮かべる。
    「面白くなってきたな」
    「面白がってる場合じゃないわよ」
     呆れたような声色で、ゼイユは呟く。その言葉も、彼の耳には届いていないようだった。
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