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    エミリオ_二次創作置き場

    @emilio_N_23

    時々描く二次絵や小説の保管庫です。小説やイラスト、考察など雑多な場所になるかと思います。ソシャゲは大抵エミリオ名義でプレイしています。

    「閃光のハサウェイ」や「ガンダムUC」関連が多くなる予定ですが、別の作品の二次創作も投稿するかもです。
    ・twst→顔あり喋る監と、NRCの生徒たち。基本箱推しですが、特に♦️先輩が好きです。
    ・SideM→カフェパレ。アスランとサタンが好き。
    ・ワートリ→最愛は菊地原先輩。風間隊に入りたい。時々鳩原さん。
    ・テイルズシリーズ→リオンを愛して20年余…ハンドルネームのエミリオはリオン坊ちゃんの本名です。

    基本的に全年齢作品・カプ無し作品ですが(twstは監右で色々描くかも?ですが、×より+寄りかも)、小説版や本編などのネタバレを多分に含みますので、ネタバレを避けたい場合はお気をつけください。

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    POIPOI 12

    【閃ハサ】小説下巻までの内容を含みますので、映画待ちの方はお気をつけください。

    マフティー動乱後に受けたショックからブライトさんが立ち直って新しい道を歩み出すまでの物語です。チェーミンのキャラクターを著しく捏造しておりますので、苦手な方はお気をつけください。三部構成になる予定です。

    (タイトルはジャズスタンダードの一つ。当時、戦争で帰りたくても帰れない兵士の間で人気になった曲です)

    You'd Be So Nice To Come Home To -01▼第一部 パンドラの箱


    戦場でひどい死体は見てきたつもりだった。
    仲間の死にも、何度も立ち会ってきた。
    その度に涙し、やり切れない気持ちと向き合い、それでもなんとか時間をかけて受け入れてきた。

    つもりだった。

    しかし。

    私は何も理解していなかったのかもしれない。




    こんなにも受け容れ難い死が、世界にはあったのだな。











    マフティー・ナビーユ・エリンの処刑を執行。執行人は実父ブライト・ノア。




    朝刊の一面記事を見た瞬間、ミライは足腰に力が入らなくなり冷えた床にへたりと座り込んでしまった。

    細い細い針がどこからかするりと自分の中に入ってきて、脳に辿り着いたときに電気のような刺激を受ける。

    それほど活発に研究されているわけではないため(もしくは行っていても秘匿されているのかもしれない)はっきりと名言はできないが、ニュータイプ的性質を説明するならばこのような感覚と言えば良いだろうか。
    それほど強くはないながらも、ミライにはその性質が宿っていた。

    何かが起きていることは、昨日の時点でなんとなく感じてはいた。

    (昨日の早朝のあの感覚は、このせいだったのかしら…)
    早鐘を打つ心臓を抑えながら、昨朝の自分の体験を思い出していた。


    「ふぁぁ…ママ、おはよう。どうかしたの?」

    いつも通りの朝を迎え、ミライよりも少し遅れて起床したチェーミンがまだ眠そうな目をこすりながら声をかけてきた。

    ゆっくりとだがなんとか首をチェーミンの方に向けると、
    「おはようチェーミン。…あのね、落ち着いて聞いてほしいことがあるの」
    と告げた。

    そこには、いつになく真剣でそれでいて焦燥感となにか強い思いを備えた眼をした、母の顔があった。

    よくわからないけれど、今朝はいつも通りではないのかもしれない。
    チェーミンはなんとなくそう感じた。




    ーー約二十四時間前、オーストラリア・アデレード付近。

    屋敷の庭から見えるアレキサンドリア湖では数種類の水鳥が群れを成し朝の賑わいが始まる中、庭では一本の柱の横に医療用ベッドが並べられていた。

    もうじき、マフティー・ナビーユ・エリンの処刑が始まる。

    ブライトは、仕事前にケネス准将に挨拶できなかったことを少し悔やんでいた。
    どんな形であれ、自らの手で人の命を奪うというのは気持ちの良いことではない。
    だからこそ多少でも労いの言葉をかけたかったのだが、

    「ケネス准将からの伝言です。『処刑が終わるまで、応接室で待機していて下さい。その間は係の者に、朝食と甘いものを用意させます』、以上です」

    それはケネス自身の命令とも懇願とも取れる指示により叶わなかった。


    ソファでくつろいでいると、パンッ、と乾いた銃声が聞こえた。処刑がひと段落したのだろう。
    ならばケネス准将は屋敷にやってくるだろう。次こそは挨拶をと、ブライトは考えていた。

    「ごくろうでした」
    窓に近づいてきたブライトの姿を見た時から予測はしていたが、やはりこのタイミングではどのような顔をして良いか分からず、ケネスは戸惑いを隠すように軍人仕様の顔を作る努力した。

    やや上の空になりながらもブライトと言葉を交わし、ちらと外の様子を見てみると、柩にはすでに釘が打たれていた。これによりブライトに顔を見られる危険性が無くなったことだけが、何よりの救いだった。

    だが、ブライトの実直で好意的な態度は、柩の状態を見届けた後であってもケネスを混乱させるには十分であった。

    「前任者の任務とはいえ、すべて任せっきりでよかったのかな。立ち合いもしないで、家の中で、ヌクヌクとしてたが……」
    「なにをおっしゃる。ここまでが小官の任務です。これからがブライト大佐のお仕事ということになります」
    「やはり、気持ちの良いものではないでしょう?」
    ブライトは、柩がワゴンの方に運ばれるのを見てから、ケネスの前のソファに座った。
    「そりゃね……戦死してくれるほうが、どれほど良かったか……」

    処刑自体が気分の良いものではないことは重々理解しているが、それにしてもやけに感傷的なケネスの姿がブライトにはやけに印象的に見えた。





    ーーほぼ同時刻、ゴールゴワ・臨時軍司令部。

    軍の徴用している屋敷の庭から銃声が鳴り響くと同時にーーそれを確認してから、と言った方が正しいかもしれないーー手に持った端末を操作する者がいた。

    「報道各社へ流す文面が完成しました。責任者の方々に確認して頂く時間を踏まえれば夕刊の時間も過ぎるでしょうし、発表は明日の朝刊になると思われます」
    「ご苦労。これで、朝刊か号外としてマフティー処刑のニュースが大々的に取り上げられるだろう。グッゲンハイム大将からのご助言に感謝しなければない」
    「は。これでひと段落ですな」
    「いや、まだ仕事は残っている。ブライト大佐に処刑に至るまでの全てを任せた《設定》にしたからな。できることなら悟られる前にコロニーに帰還させたい」

    悪びれることもなく、ある政府幹部は言い放った。

    「となると、キルケー部隊の補佐から外す必要がありますが…」
    「そうだな。マフティーに内通者がいたことにして、その者とキルケー部隊が繋がり、具体的な掃討作戦を立てたとでも言うか。もしくは功績を上げた隊員を後任にしたということにもできる」
    「しかし、それではいずれ明日の新聞を見た大佐が訝しがるでしょう」

    その言葉を聞いてニヤリと笑った政府幹部を、端末を持った情報提供担当者は気味悪く思った。

    「いや、問題ない。彼には今日付けで退官してもらうからな…本人が半年ほども前から出していた退官願だ。使うなら今しかないだろう。まぁ、本人に伝えるのはタイミングを見計らってからになるがな」
    「…つまり、軍機密に一切触れられない状態にした上で、コロニーに帰還させると」
    「気付いたところで使える手札は残っていないということだ。一年戦争の英雄も、こうなっては我々に手出しすることなどできないだろう」

    話を終えて部屋を出て、報道機関への情報提供担当者はぽつりとつぶやいた。
    「……怖いお人だ」




    ケネスとの会話と簡単な引き継ぎを終え、今後のことについて改めて挨拶するべく、ブライトはここに駐在している地球連邦政府幹部の部屋を訪れた。

    「どうぞお入りください。ブライト大佐、わざわざオーストラリアまでご足労頂き感謝致します。しかし…」
    「なにか問題でも?」
    「いえ…ただ、大佐の到着前にアデレード会議の一件は片付いてしまったものですから…」
    「驚きました。私の着任予定日の前日に全てが終わるとは、思ってもいませんでしたから。多少のマフティー残党狩りをお手伝い致しましたが、それだけです」

    政府幹部の者はここぞとばかりに
    「いやはや、退役願いを出していらした大佐をわざわざコロニーから呼び立てておきながらこのような結果となってしまい、申し訳なく思っております。元はといえばハンドリー・ヨクサン長官がほぼ独断でロンデニオンの独立十三番部隊であるブライト艦長に援護を求めたのが始まりでして…」
    と、まるで自分たちには何の非も無く、むしろ困っていたかのように振る舞った。

    「しかし、ケネス准将の後任が必要だとも伺いましたが?」
    「今回ケネス大佐が准将に昇格したのと同じくして、キルケー部隊の隊長を務めたレーン・エイムも昇格しました。ケネス准将の後任は彼に任せようかと。いや、同じ戦線を潜り抜けた者の方がやりやすいかと考えましてね」

    なるほど。
    ブライトは、人は地位がある者の言葉なら何でも聞くような単純な生き物ではないことを思い知っていた。

    「……そういうことであれば、後任は同じ隊で戦った者に任せる方が得策かもしれませんね」
    「はい。せっかく足を運んで頂いたと言うのに、誠に面目ない」
    「では、コロニーに戻っても?」

    ブライトは他の仕事があるかもしれないと感じつつも、先のケネスとの引き継ぎもあまりに簡易的だったこともあり、どこか自分にやれることはもう何も無いような気がしてそう口にした。
    そしてそれは、政府幹部にとっては満点に近いほどに素晴らしい返答だった。

    「ええ、もちろんです。しかしここから空港に向かって更にシャトルに乗るのは骨が折れるでしょう。そこで…どうでしょうか? この地帯にある軍用シャトルで大佐をサイド1まで直接お送りするというのは。サイド1に着きましたら現地配属の者に車を用意させますので、ご自宅までドアトゥドアでお連れすることができます」
    「それは願ったり叶ったりではありますが…しかし処刑のすぐあとですし、そちらもお忙しいのでは?」
    「いや、こちらの都合でお呼びだてしたにも関わらずご足労をかけてしまっただけになってしまいましたから。せめてものお詫びと思って頂ければ」

    やけに手揉みをして媚びを売るような口調が気にはなったが、レストランの物件探しの件もあったし、すぐにでも帰って妻に会えるならそれに越したことは無かった。

    「……それでは、お言葉に甘えて…」
    「ご快諾頂けて嬉しいですよ、大佐。長く見積もっても、明日のうちには到着できるはずですから」

    そう言って政府幹部はいやらしい笑みを見せた。





    連邦政府幹部の部屋を出た後に、予定より早く帰れるようになったことをミライに伝えると、思いのほか喜んでくれた。

    出発前に慌ただしく終わらせてしまった内見も、もう一度予約を取ってみると張り切り、ブライトもそれに賛成した。
    そうやって老後について前向きに寄り添ってくれることが、ブライトにとって大きな支えだった。





    コロニーに帰るまでの間の十数時間。送迎という名のブライトの軟禁が始まった。


    おかしい。
    静かすぎるシャトル内で、ブライトは違和感を感じていた。

    たしかに乗客は自分一人ではあるが、護衛と称して同乗してきた者は明らかに外ではなくブライトに対して注意を払っている。

    それ以外にも、以前移動シャトルの艦長を務めていたブライトにとって一番気になることは、そのシャトルの飛び方だった。

    携帯端末が乱れるほどに、ミノフスキー粒子を散布しながら飛んでいるようなのだ。
    敵戦でもない限り通常は散布しないし、なによりマフティー部隊のほとんどは地球にいるはずなので、これほどまでに隠すようにしてこのシャトルを飛ばす必要は無いはずだ。何よりもこの濃度が不自然である。

    (私が何らかの情報と接触しないよう、警戒しているのか…?)

    予測はしてみるものの、理由は判然としない。しかし一度生まれた警戒心を払拭するだけの要因を見つけることもできず、シャトルがコロニーに到着するまでの間、ひたすら神経を研ぎ澄ますほか無かった。



    出発が早かったためか、早朝にはサイド1に到着し、そこから迎えの車に乗り換えた。

    この車もどこか異様で、軍用車とはいえスモークが濃すぎる車種が選ばれていた。普段ならば要人か囚人の護送にしか使わないような車ではないだろうか。

    運転手に「ラジオのひとつでもかけてくれないか」と声をかけてみたが、丁度壊れているので、と、取り合ってもらえなかった。

    静かすぎる車内で、ブライトは考えを巡らせてみたがやはり思い当たるものが無かった。疑心暗鬼のまま、車は進んでいった。もっとも、暗すぎるスモークのせいで今どのあたりを走っているのかすらよくわからなかったが…





    小一時間ほど車を走らせるうちに、どうやら我が家に到着したようだった。
    運転手は挨拶もそこそこに去っていき、なにかおかしな感覚のみが残された。

    しかしそんなことよりも、無事帰ってきたのだ。そちらを喜ぼうじゃないか、と、ブライトは気持ちを切り替えることにした。




    朝のしんとした空気の中、鍵を開ける音はやや大きく聞こえたかもしれない。
    ドアを開き少々小さめの声で「ただいま帰ったよ」と声をかけ、家の中へと入っていった。

    ミライとチェーミンはまだ寝ているかもしれないな、などと考えながらトイレに行き洗面所で手を洗った。
    しかし二人はすでに起床しており、ブライトの「いつも通りすぎる姿」に驚く顔を見せた。


    「ブライト……」
    「パパ……?」
    「なんだ、二人とももう起きていたのかい。予定より早く帰って来れたんだ。急で悪いが、私の分の朝食も頼めるだろうか」

    「……ほんとだ、ママの言ったとおりだ。パパはなにも知らないんだね…」

    喋りながら徐々に涙声になってしまったチェーミンの言葉の意味が、わからなかった。

    「……どうしたんだい? 知らないって一体…」
    「私たちが話すときっと感情的になってしまうわ…ブライト、辛いと思うけれど、これを読んで欲しいの」

    そう言ってミライは新聞を渡してきた。

    嫌な予感がした。


    マフティー処刑さる。キルケー部隊アデレードの報復。凶暴なマフティー。地球連邦政府の倒壊はあるのか⁈

    そんな見出しの下に
    『マフティーの正体、その裏に隠された地球連邦軍の苦衷』
    という記事を見つけた。


    『地球連邦軍士官の息子だったマフティー』
    『処刑を執行した責任者は、新任の南太平洋管区のブライト・ノア大佐』
    『マフティー・ナビーユ・エリンは、その大佐、つまり、父親の手によって処刑された』

    そして、語ってもいない自分の胸中が、グッゲンハイム将軍との談話という形でまことしやかに記載されていた。

    (なんだ…これは……)

    「…ッ、ウッ…!!!!」
    内臓全てが飛び出すような勢いで吐き気をもよおし、ブライトは再度トイレへ駆け込んだ。
    「っぐ…あ、ハッ、ハッ、ハッ、っうあ…!!」
    記事を内容を思い出すごとに繰り返し吐き気がブライトの身体を支配した。

    開けっぱなしだった扉からミライが半身を入れ、ブライトの背中をさすった。
    その手の温かさに少しだけラクになるような気持ちではあったが、身体は言うことを聞かず、出るものが胃液だけになるまでブライトは嘔吐を続けた。

    その間チェーミンは後ろで静かに泣いていたが、ある時はっと我に返り洗面所へと向かった。



    (違和感の正体はこれか……)


    「……大丈夫…なんかじゃないわよね…?」
    「……っはぁ、……君が、私に疑いの目を向けていないことだけが救いだよ…」
    自由の効かない身体をなんとかミライの方に向けながら、ブライトは答えた。

    「疑うわけないじゃない。この記事には執行時刻も書いてある。それを本当にあなたが行ったのなら…昨日あんな電話ができるわけないわ…」

    「パパ、タオル濡らしてきたから、これで顔を拭いて。もし動けそうなら、うがいをして水分と塩分の補給もしてほしい」
    チェーミンは固く絞ったタオルを手渡してきた。先の発言に加えてこの様子ということは、どうやらチェーミンも自分のことを疑ってはいないようだった。

    「昨日ママから聞いたの。パパが早く帰ってくるから、またお店の候補の物件を見に行くんだ、って。この新聞はママと一緒に読んだんだけど、昨日のパパとの電話を踏まえるとどうにもおかしい、って。……地球でなにがあったの…?」

    まだ頭がクラクラして、順を追って話せるほどにはブライトは回復していなかった。だが一言だけ、振り絞るような声でうなるように話した。

    「多分、ハメられたんだ……地球連邦政府に」

    血の気の引いた顔のブライトは、力の入らない拳を振り上げ、苦悶の表情で床に下ろすことしかできなかった。






    To be continued……
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    エミリオ_二次創作置き場

    SPOILER【閃ハサ】小説下巻までの内容を含みますので、映画待ちの方はお気をつけください。

    マフティー動乱後に受けたショックからブライトさんが立ち直って新しい道を歩み出すまでの物語です。チェーミンのキャラクターを著しく捏造しておりますので、苦手な方はお気をつけください。三部構成になる予定です。

    (タイトルはジャズスタンダードの一つ。当時、戦争で帰りたくても帰れない兵士の間で人気になった曲です)
    You'd Be So Nice To Come Home To -01▼第一部 パンドラの箱


    戦場でひどい死体は見てきたつもりだった。
    仲間の死にも、何度も立ち会ってきた。
    その度に涙し、やり切れない気持ちと向き合い、それでもなんとか時間をかけて受け入れてきた。

    つもりだった。

    しかし。

    私は何も理解していなかったのかもしれない。




    こんなにも受け容れ難い死が、世界にはあったのだな。











    マフティー・ナビーユ・エリンの処刑を執行。執行人は実父ブライト・ノア。




    朝刊の一面記事を見た瞬間、ミライは足腰に力が入らなくなり冷えた床にへたりと座り込んでしまった。

    細い細い針がどこからかするりと自分の中に入ってきて、脳に辿り着いたときに電気のような刺激を受ける。

    それほど活発に研究されているわけではないため(もしくは行っていても秘匿されているのかもしれない)はっきりと名言はできないが、ニュータイプ的性質を説明するならばこのような感覚と言えば良いだろうか。
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    エミリオ_二次創作置き場

    DONE【ツイステ】弊監督生♀がどんな経緯でNRCに来たのかなという妄想の産物。ゲーム未プレイでも読めると思います。

    ⚠️ユウ呼び。監の過去は全て捏造です
    ⚠️元の世界に絶望している設定です
    ⚠️世界情勢への言及がありますが、特定の国を指すものではありません

    「もし、監がNRCに留まりたいor元の世界に帰りたい理由が無いとしたなら」という仮定のもと、書いてみました。

    2023/04/04
    箱の中で眠れるのなら薄暗い闇の中、目を覚ました。

    どうやら眠っていたらしい。
    そう気づいたのは、爆撃音が鳴り響き瓦礫の崩れる音がしてからだった。

    空襲警報、救助隊のサイレン、そしてこの世の憎悪の全てが破裂したかのように凄まじく轟く音。

    日常的にこの音を聞くようになってからどれくらい経ったのだろうか。
    自分の手足があることを確認しながら、ユウはぼんやりと考えた。

    我ながらこんな中でよく眠れたものだと嘲笑しつつも、寝不足の頭と身体は、多少でも休みにつけたことを密やかに喜んでいるようだった。
    今回は少し遠くから音が響いてきた。西の橋のあたりが狙われたのかもしれない。あの辺には、いつもお世話になっていた市場があった。



    私の生まれた国は、それなりに広い領地を持っていた。過去には幾度もの侵略戦争が起き、それが終結するごとに領土が広がったり縮んだりしたのだと、祖母から聞いた記憶がある。
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