Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    工業用鉱石置き場

    @Kax6B

    その名の通り
    くせっ毛蒼眼睫毛バチバチ野郎

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 😭 💞 😇
    POIPOI 45

    小説というより過去をまとめたもの。
    10人中4人くらい重い過去を持っています
    みみみトピは別、創作でも過去の一つして扱われることが少しあるくらい。
    ⚠️重い話注意
    (1人目)

    レイの過去1レイは接待用アンドロイド。位置情報を知らせる白い首輪とサーモンピンクの綺麗な髪、オレンジ色の瞳…まるで少女を連想させる兄弟達の中では元々ほんの少し気が強い程度であった。17633249 初めて支店での仕事を貰った日、高価な新品のスーツ、白い手袋、胸に刺されたオレンジ色の花がよく似合うと兄弟たちからも初任を祝福された。…悪い気はしていなかった。
    その日の夜は給仕をしていた。元々自分の家(工場)と主への不信感はあり、猜疑心と好奇心半分で通りがかった開きかけている部屋のドアを気づかれないようにそっと足で開けた。身分の高そうな中年男性と自分と全く同じ容姿のアンドロイドが一つのベッドで楽しそうに会話をしていたのだ。前から薄々感じていた嫌な予感が当たってしまった。
    もちろん悲しかったし怖かった。しかしそれを遥かに上回る強い怒りと憎しみも感じた。
    その日は初任だったので、仕事が早く終わった。スーツを着たまま一言も口を聞かず店を出た。
    工場(家)には帰りたくなかった。兄弟たちが待っているが、今日は顔すら見たくなった。その日は充電が尽きて倒れてしまうまで眩しすぎる繁華街をふらついていた。

    それ以降は職場を休むことが多くなった。アンドロイド、機械、服従し自由自在に弄られる側であったがレイも機械いじりが元々好きであった。家は基本的に番号ごとのルームシェアで兄弟たちと一緒に過ごせる空間があった。働くまではそこで長い間過ごしていて照明や家具を改造して悪戯をしていたものだった。最終的には家具から取り出した歯車を使って一つのコンピュータを作れてしまうまであった。

    ベッドの下に隠しているコンピュータを取り出し、開く。主や人間には完全に気を許していなかったため、主から疑いの目を向けられそうなものは全てここに隠しているのだ。その日は自分達のようなアンドロイドについて調べていた。兄弟達に自分らが商品としての扱いを受けている事実を突きつけてしまったら彼らは心に大きな傷を負うだろう…そんな
    残酷なことは言えない、見せることなんてできない。

    少しずつ情報が集められた。普通のアンドロイドとは違う自分達の体の構造、神経の構造、抑制された猜疑心と恐怖心……一通り纏められたところで次は実際に自分の身体をいじってみることにした。手の指を外してみた。幾千もの導線と回路が詰まっていた。ぎょっとしたが爪楊枝を手に取り導線を解いていった。機会は死なない限り強い電圧で通電している。途中でショートによる激痛に苦しみ、諦めかけたが持ち前の頑固さでなんとか快感を感じさせる背骨導線とそこから全身に行き渡る細かい回路は全て取り除けた。
    大きく開かれた背中が鏡に映る。邪魔になり脱ぎ捨てた白い征服、その上に散らばる巨大な導線は心なしかどす黒く見えた。レイはしばらく鏡の前で立ち尽くした。

    体から取り出したものはベッドの下に仕舞い、ぱっくりと開いた背中は修理せずそのまま寝た。もうレイには背中を修理する体力すら無かった。怒りの感情はあったが、ずっしりとした忌まわしい導線を引きちぎることすらできなかった。その日レイは目覚めることはなかった。

    次の日、目覚めたら主、兄弟達に心配された。昨日の機械いじりの自慢をしたかったが笑顔で平静を装い、その日は久々の給仕の仕事をこなした。

    レイは昇格した。給仕ではなく、"本職"をすることになったのだ。
    白い首輪とサーモンピンクのよく整えられたカールヘア、オレンジ色の瞳はギラついていた。いつも大人しいレイだったがその日は様子が違った。近頃は17633249の様子がおかしいと周りの人間、主から要注意人物として監視の目が強くなっている。それに勘付き始めているのもあって焦りとそれに対する怒りも日々強くなっているのだ。
    兄弟達と繁華街へ向かう途中、レイはずっと無言だった。がんばってねと背中を押された時も俯いて頷くことしかできなかった。

    新品の白い制服、渡されたものにお気に入りの白い手袋とあの花は無かった。更衣室を出てずかずかと廊下を大股で歩く。怒りのあまりにふらついていた。給仕をしていた兄弟にぶつかりかけながらも担当の部屋に向かった。

    初めてにして担当するのはこの支店の太客、とある起業家の青年だった。だが、偉そうな中年だろうと自分より体力のありそうな青年でもそんなことはレイにとってどうでもよかった。

    乱暴にドアを蹴り開ける。「おい!この店の商品はどうなっている!!」と怒鳴る客人。だが、そんな声はレイに聞こえていない。レイは数日前に体にちょっとした小細工を仕掛けていた。危険を感じた時には足がすくまないように、感情の抑制を抑える脳に少しでも抜け道を見出すためのチップを胸に埋めたのだ。だがその代償に気性はその分粗暴になってしまっている。

    素早くベッドの上に飛び乗り、優位な体勢に立とうとするが青年の攻撃に足元を掬われた。「触んな!!」後ろにあった尖った何かを掴み、レイを押し倒そうとする青年の急所に突き刺す。しばらく息を荒げていた青年は崩れ落ちた。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works