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    isma_thenoir

    主に、ドラゴンズドグマ(DD2・DDON・DDDA・DD1)の二次創作で漫画やイラストを描いて投稿しています。
    時々その他の二次創作も上げるかもです。

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    isma_thenoir

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    DDONの二次創作小説
    シーズン3の後(ゲーム本編終了後)のお話です。

    #ドラゴンズドグマ
    dragonsDogma
    #二次創作
    secondaryCreation
    #DDON
    #小説
    novel

    ドラゴンズドグマオンライン[エメラダep_前編] かつては、北の王都と楔の神殿を守る要所として白衛騎士団の拠点ともなっていたレスタニア中部に築かれたドリード城。
     今は見る影もなく廃墟と化したその城の宝物庫に一人の女性の姿があった。ソーサラーのジョブマスター、エメラダである。
     エメラダは訝しげに表情を曇らせ、手にしている古い書記とボロボロになった紙切れを見つめていた。
    「もしこれが本当だとしたら………」
     エメラダは手にしたそれらを元の場所へ戻すことなく懐に抱え、その場から立ち去った…

     これは、黒竜が敗れレスタニアに平穏が戻り、間も無くの話である。

     良く晴れて温かな日の光が差し込むミスリウ森林。
     覚者イスマはリンウッドを訪れていた。いつものように拠点の白鹿亭で依頼をチェックしたり、最近の村の様子をエリアマスターのパトリシアに聞きながら、軽く食事を済ませることにした。
     最近、エメラダが良く留守にしていることがあるらしく、彼女を訪れた覚者達がここへやって来てはどこへ行っているのかと訪ねることが増えたと言う。
     エメラダのことを良く知っているパトリシアは彼女のことをあまり深く話すことは無い。しかし双方長い付き合いで、お互いを信頼しあっていることは普段の何気ない会話から聞かずとも分かっていた。
     そんなパトリシアがエメラダの行動を不思議に思い、心配しているだなんて…そうでなくとも、留守がちにしているというエメラダのことが、イスマは気にかかった。
     (一度様子を見に行ってみよう…)

     エメラダの元へ訪れる為、リンウッドから少し離れた一軒家にやって来た。
     家の前には同じソーサラーの覚者リズが、扉の前に立っていた。
    「やぁ、リズ。」
    「あれ?隊長!エメラダに用?」
     先客のリズに聞いてみると、どうやらエメラダは留守のようだった。…留守がちにしているというのは本当みたいだ。
     リズが言うには、遠くへは行っていないんじゃないかと、待っていた所だったらしい。
    「俺はミスリウ付近の様子を見に来ただけだから、少しこの辺りを見回ってみるよ、ついでにエメラダも探してみる。」
    「そっか、私も一緒に行く?」
    「いや、リズはエメラダに用があるんだし、ここで待っていて。擦れ違いになるかもしれないから。」
    「そうだね、わかった!」
     リズに一旦別れを告げ、イスマは森の奥へと進み、彼女を探すことにした。

     (そういえば、この辺り…)
     随分前のことだが、神殿から姿を消したメイリーフを追って向かった燐光虫の洞窟で、トロールと遭遇し戦ったことがあったな。洞窟の奥でエルフのキースヒルトに初めて会ったのも、あの時だった…。
     思い出しながら歩いていると、突然悲鳴が聞こえてきた。弾かれたように、イスマは悲鳴がした方へ走る。燐光虫の洞窟の入り口付近。そこには狼達に囲まれ、今にも襲われそうな老婆、ダリアがいた。珍しい花を探して、よくこの洞窟へ来ている彼女に、何度も出くわしたことがある。大方またその花を探しにきていたのだろう。
     イスマは狼達を一掃すると、腰を抜かしたダリアを助け起こした。
    「は~参った参った、平和になったなんて、何処の誰が言ったんだろうね、危うく狼の餌になるところだったじゃないか…」
     ダリアの不機嫌そうな声に、イスマも思わず苦笑いしてしまった。
     黒竜が倒れ、竜の理の世界が守られたのは事実だか、魔物が居なくなったわけではない。だからこそ、覚者達はこうして世界を巡り、目を光らせ、人々が平和に暮らせるよう、勤めなくてはいけないのだ。
     ダリアの息が整い、周囲の安全を確かめてから、イスマは訪ねた。
    「また花を探しに来たの?」
    「ヒヒッ。そうさ、だけど今日は無理そうだね。」
    「どうして?」
    「洞窟の中で魔物どもが騒いでるんだよ。ミスリウの魔女が入っていくのを見たんだ、だから今日は諦めて帰ろうとした所だったんだ。全くいい迷惑だよ。」
    「ミスリウの魔女…って、もしかしてエメラダのこと?」
    「それがどうした。魔女だろう?どう見たってあの女は魔女!ヒヒッ、あんたは知らないだろうけど、あの女、儂が若い頃からずっとあの姿なんだよ、歳を取らないなんて、覚者かエルフか不老不死を手に入れた魔女しかいないだろう。」
    「はは…魔女は噂でしょ?白竜様お墨付きのソーサラーのジョブマスターなんだし…。そっか、エメラダは洞窟の中か。」
    「ヒヒッ。なんだい、あの女を探してたのかい?せいぜい魂を吸いとられないように、気を付けるんだね、ヒヒヒッ。」
     ダリアはそう吐き捨てると森の中へと消えていった。
     イスマは洞窟の奥を見やると、中へと歩みを進める。何度も訪れているから、地図が無くとも道は分かっていた。穴を真っ直ぐ進むとレッドキャップ達がギャアギャアと喚いているのが見えた。彼等は頻りに上を見上げ騒いでいる。洞窟の天井岩が抜けて空が見える。そこからは日の光と共に柔らかな風が吹き込んで、木葉がひらひらと舞い降りていた。
     まさか、この岩の上にエメラダは登ったのだろうか…?
     イスマはマジックボールとトラップで騒ぐレッドキャップ達を黙らせると、天に開いたその大きな穴を見上げた。七、八メートルほどの岩壁だ。足場も少なく、ここを登ろうなんて考えもしなかった。
     辺りを見渡してみる。
     岩に絡み付くツタと手前に突き出した幾つかの岩を使えばなんとか上に登れそうだった。イスマは少し考えてから壁に張り付き、よじ登った。

     視界が一気に開けたかと思うと、目の前には、リンウッドの村がすっぽりと収まるような大きな泉が広がっていた。
     それを囲うようにして草木が繁り、色とりどりの草花達が風に吹かれ揺れている。澄み渡る空気が心地よい。そこはまるで神聖な場所であるかのようだった。
     ふと、泉の脇に人影を見付ける。しゃがみこむその後ろ姿が誰なのかは、直ぐに分かった。…エメラダだ。
     大人が両腕で抱えられる程の大きさの岩の前で、祈りを捧げている。
     イスマはその祈りを邪魔しないよう、その場で彼女の後ろ姿を見つめた。
     柔らかな風が一つ、通り過ぎていった。
    「…どうして、あなたがここに?よくここが分かったわね。」
     こちらへ振り向かないまま、エメラダは問う。どうやら気付かれていたらしい。
    「下で、魔物達が騒いでたから…。エメラダを探してたんだ。ごめん、邪魔をするつもりはなかったんだけど…」
     少しの間、沈黙が落ちる。
    エメラダは振り向き、イスマの顔色を伺う。
     彼の視線は自分の足元にある小さな岩へと注がれていた。先程まで祈りを捧げていた岩だ。
    「これは墓標よ、もっとも、誰もここには眠っていないのだけれど…」
    「……?」
     イスマはエメラダの意味深な言葉が気になったが、深くは追及しないことにした。
    「綺麗だね、燐光虫の洞窟の奥に、こんな場所があったなんて…」
     少しの間、二人は並んで泉に反射して映る木々の色彩を楽しんだ。
     水面に浮かんで羽を休めていた鳥が飛び立つ。
    「…私を探していたと言ったわね?何か用だったかしら…」
     エメラダはこちらを見上げ、自らの頬に手を当て考えるような仕草をすると、微笑しながら言った。
    「修練も全て終えていたわよね、黒竜を退け鎮める程の力を持つ貴方に、あたくしから教えられることはもう無いと思うけれど…?」
     視線が交わる。
     エメラダの口元は微笑んでいるが、感情を読み取らせない表情は相変わらずだ。
    「…用が無かったら、会いにきちゃだめだった?俺はエメラダに会いたかったから…」
    「まぁ……」
     出会った頃とは見違える程に成長し、師である自分を越えて強くなった彼に、冗談と皮肉も込めて言ってみたものの、切なげに微笑み返されエメラダは不意をつかれた。
    「俺は、エメラダに会えて嬉しいよ…」
     彼が持つ深紅の瞳には見つめられると動けなくなる魅力があった。エメラダは自分の頬が少し熱くなるのを感じつつも、温かな気持ちになった。
    「嬉しいことを言ってくれるわね。あたくしも、貴方に会えて嬉しいわ。」
    「良かった……」
     イスマの表情が、心からホッとしたような安堵の笑みに変わる。覚者には、深入りしない、深入りさせない…そう常々自らに言い聞かせてきたけれど、どうにも彼には調子を狂わされる。気を許してしまいそうになる。同じ部隊にいるリズもまた、そう。
     彼に深く関わっている者特有の《何か》があるのかもしれないと、エメラダは感じた。
    「…あぁ、そうだ。俺の前に既にリズが来ていたよ、今もまだ待っているかも。エメラダが留守にしてるって聞いて、珍しいなと思ったんだ…」
    「それでここまで探しに…?」
    「うん、見回りがてら近くを探して…見付からなかったら諦めるつもりだったんだけどね。」
    「そう、ありがとう。リズはあたくしに用があるみたいだし、戻らないとね。あなたも、お茶くらいしていくでしょう?」
    「…ありがとう。じゃあ、そうさせてもらおうかな。」
     また穏やかな風が一つ吹いて、水面を撫で揺らしていく。エメラダは風に乱れた髪を整えながら言った。
    「イスマ、この場所は秘密にしておいてちょうだいね、荒らされたくないの…。」
     その表情はどこか悲しげに見えた。詳細は分からないが、エメラダにとって、とても大切な場所なのだろう…そう思いイスマは頷いた。
    「うん、…わかった。」
    そうして、二人は泉を後にした…。


    ─────────


     ミスリウ森林の一軒家へ戻って来ると、待ちくたびれた様子のリズが、家の外にある木製の椅子に腰かけテーブルに顔を埋めていた。
    「リズ、ごめんなさいね、待たせたみたいね。」
     エメラダの声にピクリと反応すると、頭を持ち上げ、クリッとした猫目がエメラダとイスマを交互に見る。
    「エメラダを探してきてくれたのね、ありがとう隊長!良かった、これで修練の報告ができるわ~!」
     リズの様子を見ていたエメラダが言った。
    「あら、ということはリズ…」
    「そうなの!ソーサラーの修練を全て終わらせたのよ!嬉しくて、早くエメラダに報告したくって!」
    「へぇ、無事に終わったんだ、おめでとう!」
     イスマもリズの頑張りを讃えた。
    「良く頑張ったわね、リズ。あなたももうソーサラーとして立派な覚者よ。」
     エメラダに褒められて、リズは満面の笑みを浮かべた。
    「ふふふ、これでエリオットに何も言わせないわ!」
    「また何か張り合ってたのか…」
     イスマは眉を下げて可笑しそうに言った。
     それを聞いてエメラダが笑う。
    「ふふ、大方、隊長である貴方を取り合ってのことでしょう、妬けるわね。」
    「え…?」
     思いもよらない言葉に少し驚きつつも、イスマは胸に温かなものを感じた。
     エメラダはリズの顔を覗き込むと、指先で顎を掬い上げて言った。
    「まぁ、ライバルがいるのは良いことね、お陰でサボってた修練が終わったんですから」
    「サボってたって、人聞き悪いなぁ~む~ぅ」
     リズの頬がぷっくり膨らむと、エメラダとイスマは同時に笑った。
    「うふふ。さあ、外で話すのもなんだから、中へどうぞ?」
     そう即され室内へ移動する。エメラダが準備をしている間、リズはエメラダと話していた。修練中の苦労話を聴いて欲しいみたいで、身振り手振りし、身を乗り出してはエメラダに語っている。
     イスマは棚の本や机の上に広げられた珍しい巻物を見ていた。
     そこに、ボロボロの紙切れが挟まった、古い書記を見付ける。紙切れに覚えはないが、その本には見覚えがあった。
     どこだっただろうか…?
     そうだ、以前ドリード城の宝物庫へ訪れた時に、本棚で同じ装丁の本を少しだけ読んだことがある。魔女とソーサラーについて綴られたものだ。手を伸ばそうと思ったその時、リズが言った。
    「ねぇ、エメラダはどうしてソーサラーになったの?私達と出会うずっと前から魔術を使えたんでしょう?覚者…でもないよね?胸には白竜様の爪痕がないみたいだし…。」
     耳に届いたその質問はイスマも興味があったため、目の前の本へ向けられていた意識が二人の方へと流れた。
    「ふふ、知りたい?」
    「うん、私、覚者になってからけっこう長いけど、エメラダは少しも変わらないもの。もしかして…魔術でその美貌も保っているとか?」
    「そうよ、あたくしは魔女、ですものね、ふふっ。」
     嘘か本当か判断しかねる笑みを浮かべてエメラダはそう言った。
     その言葉に、イスマは真面目な表情でこう返す。
    「本当に、そうなの?」
     エメラダは少し驚いてイスマを見た。
    「……うふふ、そうだって言ったら?本当はシワだらけのお婆さんかもしれないわよ、残念?ふふ…。」
    「いや、それは…」
     辺りは笑い声に包まれ、その会話は何となく流れてしまった。
     お茶をご馳走になり、切り良く談話が終わったところで、 リズとイスマはエメラダの家を後にする。
     結局、エメラダが留守がちだったその理由について知ることはできないまま…。


    ────────


     それから数日後、イスマはレーゼ神殿に呼ばれていた。リズ、エリオット、ガルドリンも呼ばれていたようだ。
    「やぁ、元気にしてたかい?」
    「クラウスも、神官の装いも様になってきたね。」
    「そう?まだ慣れないけど…ジョゼフ様みたいに髭でも蓄えたら、もっとそれっぽく見えるかもしれないね。」
    「いや、クラウスはそのままの方がいいよ。」
    「あはは…ありがとう。」
    「それで、呼ばれた理由を聞きたいんだけど…」
    「…うん、それじゃあ、本題に入らせてもらうね。他でもない、君に頼みたいことがあるんだ。ディナン深層林の様子を見てきてもらいたくて…」
    「ディナン…?何かあったの?」
    「ディナン深層林の辺りでスケルトンやゴーストなど魔物の動きが活発化しているという報告が上がっているんだ。夜には一層危険が増して、ミスリウ森林など人々の暮らすエリアにまで多数進行してきているらしいんだよ。」
    「………ミスリウ?…先日ミスリウ付近へ訪れた時は、そこまで脅威に感じなかったけど、昼間だったからか…パトリシアさんも何も言っていなかったし。あれから状況が変わったのかな。」
    「うん…そうみたいだね。急なことで、騎士団や覚者隊を派遣する為の準備で神殿や騎士団寮は慌ただしくなっているよ。」
     するとそこへ隠居したジョゼフが現れる。
    「久しぶりじゃな、イスマ。」
    「ジョゼフ…。」
    「その件に関して話したいことがある。隠居した身だが、少しこの老いぼれの話を聴いてもらえるか…?」
    「ええ、もちろん。」
     そう言ってジョゼフが語り始めた内容はこういったものだった。

     かつて、エルテ・ディナンが白い厄災によって滅びるより前。彼の地はまた別の脅威によって危機に瀕したことがあったと言う。何分古い時代の出来事なのでジョゼフも詳しくは分からないらしいが、古い文献から読み解き、その脅威と今回の事例が似ていることがわかった。   
     当時はエルフ達が特殊な封印術を施し、その脅威を静めたそうだが、その封印が今、何かが原因で弱まっている、もしくは解かれようとしているのではないかと心配しているようだ。
     その封印術を解くのはエルフでなければ不可能で、エルフの生き残りであるメイリーフが神殿で保護されている理由の一つは、その封印を守る為、エルフの力を悪用されない為でもあったと言う。

    「なるほど。白い厄災以前にあった脅威か…。エルテ・ディナンは一体何に襲撃されたんだろう…。エルフの封印については、メイリーフが何か知っているかもしれない。ディナン深層林へ向かう前に寄って、彼女にも聞いてみるよ。」
     イスマが言うと、リズ達も頷いた。
    「うむ…、エルテ・ディナンの脅威となるような魔物なのか…。その封印が解かれようとしているとなれば、エルフ達の居ない今となっては、このレスタニアの危機となり得るかもしれん…」
     ジョゼフが険しい顔を見せ、クラウスが続ける。
    「それで君達を呼んだんだ…、もしかすると、とても危険な任務になるかもしれないけれど…。」
    「黒竜より恐ろしい魔物がいるとは思えないけどよ、そんなのがまだレスタニアにいるとなったら、行くしかねぇだろ…!」
     ガルドリンが前に出る。
    「今更怖い物なんて有りませんよ、ね、隊長!」
    「修練も終えたし、腕の見せどころね。頑張っちゃうんだから!」
    エリオットとリズも頼もしい。士気は全く問題なさそうだ。
    「わかった。各自準備をして、日没前にディナンで落ち合おう。メイリーフのところへは俺が行くから、皆は先に。」
    「「「了解!」」」

     イスマは神殿を出ると、その足でメイリーフの家へと向かった。
    「こんにちは、隊長さん!珍しいですね、こんなところへ…何か用でしたか?」
    「メイリーフ、こんにちは。突然お邪魔して不躾で申し訳ないんだけど、実は君に聞きたいことがあって…」
     メイリーフに今の状況を軽く説明し、白い厄災の前にあったエルフの地でのことについて聞いてみた。
    「白い厄災は聞いたことがありますが、それよりも前のことですか…?ごめんなさい、白い厄災が起きたのは今から三百年も前のことで、その時私はまだ生まれていませんでしたから…それ以前に起きたエルテ・ディナンの脅威については私にもわかりません…」
     メイリーフにもわからないか…彼女は白い厄災で滅んだはずのエルフの子孫。もしかしたら、彼女の親族や他に散り散りになり生き延びたエルフが僅かにいるのかもしれない…。
     だとすると…
    「エルテ・ディナンのどこかに施されたという、封印術については何か知っていることはある?」
    「封印術…、エルフに伝わるその力を私がもし持っていたとしても、使う術を継承されませんでしたから…お力になれず、残念です。」
    「そうか…」
    「あ、でもね、隊長さん…近頃、夜になるとディナンの方角からエルフのオーラを微かに感じるんです。それが気になっていて…」
    「エルフのオーラ…?ということは、やはり他にも生き延びたエルフがいるのかな。有益な情報ありがとう、メイリーフ。君は心配しないで、ここにいてね。」
    「はい、わかりました。隊長さん、どうか気を付けてくださいね…!」
    「ありがとう。」

    …何かが起きているのは確かなようだ。後は現地に行って、この目で確かめるしかなさそうだ。
     
     そしてその日の日没から夜明けに掛けて、派遣された騎士団や覚者隊はミスリウ森林全域を巡回、警備することになった。
     イスマの部隊はそれよりも更に奥の、ディナン深層林で落ち合った。ガルドリンとエリオットはそれぞれ北と南の遺跡の様子を見に行くと言って別れ、イスマとリズはエルテ・ディナンへと続く森の奥へと歩みを進めていた。
    「…リズ、少しいい?」
    「どうしたの?隊長。」
    「少し、気になっていることがあるんだ……」

     
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