自探索者とよその探索者さんとのssけも耳生える話　〜好日軒の場合〜

新型感染症が未曾有の大流行の後にその矛を納めたかと思えば、のべつ間もなく新たなパンデミックが発生した。
今度こそ、対抗手段もないままに人類は翻弄されているのである。
しかし新たな脅威は、高熱を出すわけでも味覚を奪うわけでもないらしい。

いわゆるケモ耳、なるものを生やしてしまうのだとか。
 
そんなバカな。耳を疑うようなニュースにそう思ったのも束の間である。
いつものように顔を洗おうと鏡に向かったら、自身の頭がもふもふの耳を一対携えているのであった。
そのうえ一層もふもふの尻尾が腰からぶら下がっているのを見てしまえば、田畑俊郎は鏡の前で崩折れるしかなかった。
 
報道を見る限り、放置しておけばすぐに戻るらしい。

発掘したハルユリ〜シチュエーション〜
寮の部屋が工事なりなんなりで使えなくなって一時的にハルトマンの部屋に泊まらせてもらうユーリ

床で寝ようとするユーリにベッドを使うよう提案したが、泊まらせてもらっている身でベッドを使うのは忍びない、何より貴方に借りを作りたくないと断られた。こちらとしても友人を床で寝かせるのは気が引けるし(この部屋には布団の代わりになりそうな毛布もなく、硬い床に直で横になることになる)そう言われると何だか張り合いたくもなるので、幾ばくかの言い合いの末ベッドを二人で使うことになった。

お互いに背中を向ける姿勢で横になる。シングルサイズのベッドに男二人は流石に狭く、布団からずり落ちないようにするとどうしても身体が密着してしまう。落ち着かないが、しかし自分以外の温もりを感じながら寝るのは悪くなかった。

生と死の不可逆を無理矢理捻じ曲げた。正確には、捻じ曲げてもらった。
「……これで、満足ですか？」
「はい。ありがとうございます、エーテルネーア様」
寝台に横たわる身体はどこもかしこも傷だらけで、ぐるぐると包帯の巻かれた手を取り頬を寄せる。冷たくともほんのり温かい体温は、手首から伝わる脈打つ鼓動は、彼が生きている紛れもない証拠だ。
「今度は、ちゃんとやってみせるから」
はじめ、ミゼリコルド様は呆れた顔で心底意味がわからないと言った。エーテルネーア様は肯定も否定もせず、君がそれを望むならと言ってくれた。

魂の抜けた亡骸を引き取って、アークの術式で離れた魂を引き戻し元の身体に繋ぎとめる。だがそのままでは同じことの繰り返しにしかならないから天子の呪いを受けない聖印と共に今までの記憶を曖昧にしてもらう特殊な式も組み込んでもらった。