月が照らす幸せ私は一人真夜中の湖のそばに立っていた。
今日はアルストリアとレコルドを繋ぐムーンロードがかかる日だ。
サイラスさんと結ばれてからはじめてレコルドに帰る。
サイラスさんは自分も一緒に行くと言っていたが急遽任務が入ってしまいそれが叶わなくなってしまった。
「次では駄目なのか。一人で行くのは危険すぎる」
出発直前のシュヴァル教会。仕事で立ち会えなくなったアレックスさんを除いてシュヴァリエのみんなが見送りに来てくれた。私の手を握りながら心配そうな顔でサイラスさんはそう口を開く。
きっと女性が一人で、その人物が自分の恋人ならそう心配するだろうな、と納得してしまう。しかしレコルドには職場に書類を取りに行く目的もあるため、日にちをずらすのは難しい。
1973