はぴして 北師弟+アーサー 新作展示『八つ当たり』「めずらしいのう」
「めずらしいのう」
「アーサーちゃんおこじゃの」
「一体何があったのじゃ」
「きっとフィガロがなにかしたんじゃよ」
「わからないよ、オズちゃんかもよ」
背後で好き勝手言っている声が聞こえる。外野は気楽でいいが当事者たちはそうもいかない。窓の外はどんどん曇ってくるし、アーサーの癇癪も治まる様子はない。本当に珍しいことだ。
「アーサー」
「いや!」
「……まだ何も言っていない」
「いやぁ!」
「アーサー……」
「うううう」
本当の本当に珍しいのだ。アーサーは歳の割に聞き分けの良い子どもだった。そりゃあ、子どもらしくわんぱくなところもあるが、俺たちの話はよく聞き、あまりわがままを言わない子どもだった。
そのよくできたアーサーが、地団太を踏んで、力いっぱい体いっぱいに癇癪を起している。オズはもうお手上げ状態で、完全に困ってしまっているようだ。
1988