sweet typhoon「なんだかね、敵わないな、って思っちゃうのよね…」
昼下がりのカール城下のカフェで、あたたかな紅茶にため息が混ざった。
「それ、分かります…」
胸の奥がほろ苦いのは、僅かに焦げたクッキーのせいだけではない。
ダイを探す旅の途中、一同は情報交換のためにカールに集った。久しぶりに見る弟子たちの姿に嬉しさを抑えきれないアバンは、公務を華麗に放り投げ、自らケーキを焼きジュースを搾り歓待したのだった。勿論、エイミとメルルも招待されていたのだが。(ちなみにラーハルトは「馴れ合いに興味はない」と早々に別行動をとった)
「アバンの使徒、かぁ…」
それはあの戦いにおける英雄達の呼び名である。大魔王とその軍勢を打ち破ったのは、彼らの強い絆の力だ。遠く離れていてもその魂は確かに結びついていて、だからこそダイの生存を確信出来ている。
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