旅館ついて速攻露天風呂に走る蜜璃ちゃん(と、連れられてきたしのぶちゃん)パッパと服脱いでお風呂に向かっていったみつりちゃんの声が中で響くのが聴こえてくる。
「わぁ、すごい……しのぶちゃん、早くはやく!」
「甘露寺さん、そんなに急ぐと転んでしまいますよ。今行きますから」
「こんな素敵な温泉はじめて来たわ!すごいわね、しかも貸切よ〜!」
「親方様が選んでくださった宿ですからね。私たちだけでこれだけの温泉を貸切だなんて、ちょっと贅沢すぎる気もしますが」
こんなに広いと泳ぎたくなっちゃうわね!や、やらないけどねフフン!ってはしゃぐ蜜璃ちゃん。いいこと思いついたー!って顔しながらしのぶの方を向いて、
「あっ、しのぶちゃん!あとで背中流してあげるわね!あとね……もし嫌じゃなかったらだけど、髪も洗わせてほしいのだけど」
「ええっ、甘露寺さんにそんなことさせられませんよ」
「いいのいいの〜!下の子にやってあげてたから、わたし上手なの!ねっ!」
半ば強引に洗いっこすることが決まったしのぶちゃんとみつりちゃん。髪を洗ってもらってる最中に昔姉にこうされたっけなってなんて思い出したりする。
「ずっと思ってたのだけど、しのぶちゃんってとっても綺麗な体してるわよね……女の子らしくて、羨ましいわ」
「それを言ったら甘露寺さんだって!なんというか、出るところが出て、しまるところはしまってるというか……」
「あははっ!やだもうしのぶちゃんったら!」
同世代の女の子らしく、きゃいきゃい騒ぎながら(主に甘露寺が)えーい!とか言っておっぱいさわりっことかして欲しい
「そういえば、しのぶちゃんとお泊まりするのって初めてよね?」
「それなんですが、ちょっとやることが出来てしまって、今日中に蝶屋敷に戻らないといけないんです」
「え!?そうなの?……なぁんだ、一緒に布団にくるまっていろいろお話したかったのに」
「ふふ。それはまたの機会に」
「そうね、またみんなで来ましょうね」
女の子たちのお部屋は普通の部屋だけど、男たちは宴会場みたいなところで雑魚寝予定(いい機会だから親睦を深めておいでby親方様)
野郎達の扉をノックするけどだれも出てこない。中から騒いでる声は聞こえる。どいつもこいつも大概だなと思いながら扉開けて、お先に失礼します〜って、聞いてるんだから聞いてないんだかな人たちに挨拶して、部屋の端っこで外を眺めてた伊黒さんをこそっと呼ぶ。
「伊黒さん伊黒さん」
「……なんだ」
「これ、渡しておきますね」
伊黒さんに部屋の鍵を渡してにっこり微笑むしのぶちゃん
「なぜこれを俺に」
「いやぁ〜、荷造りしながら甘露寺さんと温泉にまつわる恐い話をひとつふたつしまして」
「ふぅん」
「作り話なんですが、ちょっと現実味がありすぎたようで。ちょっとやりすぎましたかね、いけないいけない」
しのぶちゃんね、わざとこわい話したよ
「多分甘露寺さん、お部屋で怯えていらっしゃるので様子を見に行ってあげてはどうかと」
「わたしはもう帰らないと行けないので、すみませんがお願い出来ますか」
畳み掛けるしのぶちゃん。ナイスパス。そう言われたものの、押しかけるものどうなの?と思いながらも甘露寺のことが気になる伊黒さんは部屋の前まで行って声をかける…が、返答がないので迷った末に中に入る。と、ふとんにぐるぐるまきにくるまった蜜璃ちゃんがいた。
「甘露寺…?」
「甘露寺、寝たのか」
ぐるぐるまきがもぞもぞ動いて、中からにょきっと顔をだす蜜璃ちゃん。
「なぁんだ、伊黒さんか……わたしてっきりお化けが来たのかと思って、死んだふりなんかしちゃったわ!はずかしい……」
「あっ、聞いてよ伊黒さん、さっきしのぶちゃんからすっごくこわい話を聞いてね……その時はしのぶちゃんがいたから大丈夫だったんだけど」
ふとんから手を出して伊黒さんの手を引く蜜璃ちゃん。一個の布団の上におさまるふたり。
「一人になったら急に怖くなっちゃって……ちょっとだけそばにいてくれる?」
「あぁ、甘露寺さえよければ、君が怖くなくなるまでここにいよう」
ノリで手なんか繋いじゃっでドキバクの伊黒さんだけど、怖いからそうしてるんだよな、別に変な意味はないぞ…と心を落ち着けようとしたら
「ありがとう、伊黒さん……だいすき」
「えっ」
「あっ!え?!今わたしなんて?あの、いいいいまのは、忘れて!伊黒さんには内緒の話なの!って、あぁ、内緒だってことも内緒なのよ?あの、だから」
「甘露寺……?」
「わあぁぁん!忘れてくださいいいい!!!」
「落ち着け。……すまんがしっかり聞いてしまったし、無かったことには出来んな」
「うぅ、ひどい。こんなのって……」
ふとんにくるまったままじたばたする蜜璃ちゃん。やっちゃった、さいあくだ、ずっと言わないつもりだったのに…ってぐるぐるしてたらふとんごと抱きしめられて俺も好きだよって言われて超絶大ハッピーエンド。。。温泉湧き出ちゃう……
そして次の日みんなに朝帰りしたことを死ぬほどいじられてブチ切れそうになるけど蜜璃ちゃんが朝からとっても嬉しそうだったので許してあげる小芭内くんなのでした。ちゃんちゃん。