Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    で@Z977

    @deatz977

    グスマヴェちゃんだけをまとめておく倉庫。
    🦆🐺至上主義強火。独自解釈多。閲覧注意。
    (全面的に自分用なので配慮に欠けています)

    ☆quiet follow Send AirSkeb request
    POIPOI 55

    で@Z977

    ☆quiet follow

    とろける甘味料
    グスがマの代わりになんかいかがわしい薬を飲んで理性が危うい話。前後も書きたい。
    派生元ついまとめ➠https://min.togetter.com/hDTXcw1

    とろける甘味料「こんな状態でも……、おれは、手を出してもらえない?」

     逃がしてやらないと。
     頭の中に響く警鐘とは裏腹に、マーヴェリックを抱きしめる腕に力がこもった。逃がしたくなかった。バランスのよい筋肉にしっかりと覆われた小柄な体躯が軋む。血液を巡る怪しい薬がままごとのように、鼻腔に広がるマーヴェリックの匂いが脳内を犯した。熱に浮かされたようにぼうっとする。強烈な媚薬だった。
    「ここから出ていけって、言っただろ」
     もがくことすら許さないと言わんばかりに腕の中に閉じ込めておいて酷い言い様だった。ハァーッ、ハァーッと呼吸が荒くなる。じっとりとした熱が体内から溢れる。熱を、放ちたい。
    「逃げろ、って、意味、だからな」
    「……だったら、…出ていく理由なんて、ない、だろ」
     腕の中の体が強張った。怯えているかもしれないのに、拘束を緩めてやれない。
    「おれがグースから逃げるなんて、ありえな……ッんァ、っ」

     匂い立つうなじに誘われてむしゃぶりつく。アッ、アッ、っとマーヴェリックの唇から漏れる声に気を良くして舐るように何度も吸い付いた。軽く犬歯を突き立てればその度にビクンッと震える体が、生殺与奪の権をグースに明け渡していた。嗜虐趣味なんてないはずなのに、捕らえた獲物を貪り尽くしたい衝動に駆られて喉元に舌を這わす。
     グースの耳を熱のこもる淫らな吐息が掠めた。酸素を得ようとはふはふとせわしなく呼吸を繰り返すマーヴェリックを見遣る。だらしなく開いた唇から誘うように赤い舌が覗いている。潤んだ瞳が縋るようにグースを映していた。

     マーヴェリックが、俺を、誘惑している。

    「ぐー…、」す、と呼ばれたかどうかわからない。制止の言葉が紡がれるのかもしれなかった。けれどもグースの耳には何も届いていない。言葉ごと呼吸を奪って、マーヴェリックに拒絶の意思など示させるつもりはなかった。
     悪い、と謝ったような気もする。そうじゃないかもしれない。甘いマーヴェリックの咥内に誘われて、そんなことは記憶からすっかり抜け落ちていた。

    「…っ、逃げ、ない……のか?」
    「ん、……は、逃がす気、…あんのかよ」
    「……逃げ、ないで、くれ」

     ――逃げてくれ。紡ぎたかった言葉が、縺れた舌でうまく伝わらない。

    「とーぜん、だろ」
     くしゃくしゃにグースの髪をかき混ぜるマーヴェリックの手は優しかった。瞳が隠れるほどにんまりと笑った顔に許された気になる。駄目だとわかっているのに。この行為は、マーヴェリックを、傷つけるだけだって。

    「アッ、…ん、ぐーす」
     愛おしくてたまらなくて、何度も顔中にキスを降らせる。
     ビクビクと震える体が、小さな喘ぎが。俺の指先で、唇で、マーヴェリックの体を支配しているのだという事実が、肚の奥に歓喜をもたらす。無理やり暴くよりも、ひどく暴力的な支配をしている。

     マーヴェリックの心も、体も、全部、俺のものだ。なんて、当然なことを考える。 傲慢だった。
     だけど、マーヴは、俺のものだから。

    「マーヴ、」

     ――逃げてくれ。
     最後にもう一度だけ、警告するつもりだった。

     あとひとつ、俺が愛の言葉を囁けば、お前がどこにも逃げられなくなってしまうことなんてわかっていたのに。
    Tap to full screen .Repost is prohibited

    recommended works

    途綺*

    DONE🐑🔮//綺羅星の微睡み

    甘やかされてふわふわしてぼんやり眠くなる話。※実際にある睡眠導入法を軽くアレンジしています。
    「ふーふーちゃんのばか」

    足を抱えて小さく丸まった浮奇の声は、深く潜り込んだベッドの中でくぐもって響いた。ファルガーがドッゴの夜の散歩から帰ってきた直後という、浮奇にとっては有り得ないほど早い時間にベッドへ入っているのは低気圧に負けて痛みを訴える頭のせいだった。

    外の雨が強くなるにつれて突き刺すような痛みが徐々に強くなってきたこめかみをさすりながら眉根を寄せていた浮奇は、見兼ねたファルガーに鎮痛薬を飲むよう促された。当然の対応だとは分かっていたが昼前から痛んでいた頭は疲れ切って正常な思考を保てず、浮奇は鎮痛薬を差し出すファルガーの手を拒否した。ふーふーちゃんが抱きしめてくれれば治るだとか、脳みそを取り出して壁に投げたいだとか、キスして甘やかしてよだとか。とにかく悪態をついた覚えはあるが何を口走ったのか記憶にない。ただ、話を受け流しつつ浮奇の手を引いてキッチンへと向かったファルガーが唐突に顎を掴んできて、優しく重なる唇に安心したのと同時にぬるい水と薬が口内へ流れ込んできたことで浮奇はようやく正気を取り戻した。
    4137