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    usi_plus

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    夢メインでしたが
    垢分けがめんどくて
    腐も置き始めちゃいました
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    ●ゆあまい展示
    🦈『休日デートする話』
    フロイド編/15:00更新分

    ・WEBアンソロ参加作品
    ・プリオンリー『Kiss Petit』参加作品

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    フロイド先輩とデート≪ダラダラ≫●12:00ーおうちデートでダラダラ



    10時に待ち合わせを設定したのは、少しでも小エビちゃんと一緒にいる時間が長く欲しかったから。
    昨晩も日付が変わるくらいまで残業してたから本当は昼過ぎまで寝てたかったけど、眠気を跳ね除けてでも2人の時間を優先したかった。
    オレに気を遣って「もっとゆっくりでも良いですよ」って小エビちゃんは言ってくれたけど、それ以上にオンボロ寮に行くことの方がオレには重要なんだよね。

    付き合い始めの頃。…いや、付き合う前から足繫く通っていたから、お互いNRCの誰よりも会う回数が増えた。当然オレは小エビちゃんを口説き落とすつもりだったけど、あっちも会う度に段々瞳がキラキラしていくのが分かってた。
    通い婚はウツボの習性だけど“ザイオンス効果”とか言う、会えば会うほど信頼度が高まるっていう法則もちゃんとあるらしい。
    それのお陰か知らないけど、確実に決まるタイミングまで告白を待つつもりだったオレより先に、痺れを切らした小エビが「お友達じゃなくてちゃんと付き合いたいです…」としおしお云ってきたもんだから、たまんなくなってその場でキスした。
    最初から“お友達”になってやるつもりなんてなかったのに、ずっと勘違いしてソワソワしていたらしい。あーかわい。

    「…何考えてるんですか?」
    「ん?小エビちゃん可愛いなーって」
    「えっ」

    寛ぎ慣れたオンボロ寮、そのゲストルームで何をするでもなく小エビちゃんを腕に抱いてダラダラ過ごす。
    最近使えるようになったっていうこの部屋は来客用に整えたらしいけど、ある一角だけは見事に紫の家具で染まってる。オレに使って欲しい家具、一緒に使いたい家具、他にもオレのことを考えながら配置してたら自然とこうなったとか。
    今では二人掛けのソファでお互いの身体にぴったりくっついてあれこれ話す時間が最高の癒し。

    「う、あ、えっと…フロイド先輩やっぱり眠いんじゃ…」
    「なぁに?オレが寝言で小エビちゃんのこと可愛いって言ったって?」

    異世界から来たこの小エビは、人から褒められることに慣れていないらしい。オレが少しでも愛を囁くとこれでもかってくらい縮こまる。
    それもまた可愛くて、彼女の身体の後ろ側から回した手で頭をよしよしって撫でてやる。その手の平におでこを擦り付けて甘えてくるからまた愛しさが湧くけど、でも出来れば言葉も素直に受け入れられるようになってほしい。それで自信満々に「そうよね、私可愛いでしょ?」って言えるまで育てるのが今の目標。

    「小エビちゃんは今何考えてんの?」
    「わ、たし…は…。疲れてる中会いに来てくれて申し訳ないなぁって」
    「あ、また」
    「?」
    「それ。ニホンジンの癖って言ってたやつ、出てる」
    「あ…!」
    「なんて言うんだっけ?」
    「会えて嬉しいです、来てくれてありがとうございます」
    「ん」

    自己肯定感が元々低いのか、出身地のオクニガラなのか。気を抜くとすぐに自分を卑下するから、オレが全力で甘やかして自分がどんだけ魅力的な女なのかってことを分からせてやらないとダメだ。
    ソファに並んで、肩に腕を回し寄り掛かって座っていた姿勢を崩す。両腕で抱き締め直してそのまま肘置きを枕にするように身体を倒した。胸と腕と脚でギュッと絞めて、余ってはみ出した自分の脛から下はソファの外に投げ出す。

    「クルルーー…、キュィ」

    最近小エビに覚えさせている人魚の求愛の鳴き声を耳に直接流し込むように囁いてやる。
    意図が伝わったらしい、真っ赤に染まる湯でエビをもう一度強く抱いて、寝不足の頭に従順に眼を閉じた。







    心地良い重さ感じながらソファに沈んでいた身体がフッと軽くなった。
    浅い夢の中で彷徨う意識が、浮上しきれずふわふわしている。
    身体はもう少し眠っていたいけど脳味噌は起きていて、起きなきゃいけない気がして、無理矢理に重い瞼を持ち上げる。と、オレの腕の中にいたはずの小エビがいなかった。
    身体が軽くなったのも、起きなくてはと思ったのも、間違いなく小エビちゃんがいなくなったからで、今日は1日ずっとくっついて放さないつもりでいたのに早速手放してしまった。

    ——どこに行っちゃったんだろう。

    無駄に広いオンボロ寮の中を大股で歩いて愛しい彼女の気配を探す。
    今日はアザラシちゃんは「美食研究会の活動してくるんだゾ!」とか言ってジェイドと合同部活動中なの山に行っている。ゴーストたちも昼間は自室(?)でゆっくりしていることが多いから気配は限りなく薄い。
    この大きな建物の中で明らかに生者のそれを漂わせているのはオレともう1人、小エビちゃんだけだ。

    こういう時、人魚で良かったなと思うんだよな。匂いでも音でもそれこそ気配でも、海の中の生存競争に打ち克ってきたオレたちにとって、陸の上はとにかく情報が多い。
    恐らく小エビちゃんはあそこにいるんだろうとアタリを付けて目的地まで迷いなく向かう。廊下に面した1番大きな部屋—談話室に入り、そこから続くキッチンへと足を踏み入れると、目当て通り、そこに小エビはいた。感じ取っていた気配はもちろん、このオンボロ寮内で嗅ぐ機会なんてほとんど無かった香りと共に。

    「なぁにしてんのぉ?」
    「わっ!!」

    オレだったら、背後に人が立っていればほぼ100%振り返る前に気付くけど。人間であり、これでもかと言うくらい鈍ちんな小エビちゃんが察知できるわけもない。
    それを忘れて彼女の頭の上から声を降らせるように話しかけたら、それはもう小エビの何に恥じない驚きっぷりを披露してくれた。

    「あっはは、ビックリしすぎぃ~!」
    「あ、お、お、起きてたんですね」
    「うん、小エビちゃん居なくて寝心地悪くなったぁ」
    「あら…ごめんなさい」

    少しだけ眉毛を下げてしょんぼりした小エビは、しかしすぐに自分が今やっていたことを思い出したらしく、慌てて手元に向き直った。

    「で?何してるの?」
    「えと…お料理…です」
    「小エビちゃんが…?」

    肩口越しに覗き込むと、確かにいくつも食材が並べられていて“料理をしている”と言われれば全員が“でしょうね”と頷くだろう。でもオレが疑問だったのはそこじゃなくて。
    オレの記憶が間違っていなければ、小エビは料理が出来ないはず。だからこそアザラシちゃんと一緒にモストロラウンジの賄いを突きに来たり、オレがご飯を振舞うと心底喜んだりするのに。一口食べる毎に「すごい!どうしたらこんな料理が作れるようになるの!?」と目を輝かせるのに。
    そんな料理下手な彼女が今、俎板に肉を並べ、笊に人参と玉ねぎを転がし、左手にじゃがいも、右手にピーラーを握ってぷるぷると全身を震わせていた。
    俎板の上にはじゃがいもの欠片が引っ付いた包丁も置かれていて「あ、本当は包丁で皮を剥きたかったけど断念したんだな」というのが一目でわかった。
    でも代わりに持ったピーラーでさえ覚束なくて、見かねてそれらを奪うことにする。

    「あ、だ、だめ!」
    「ぐぇっ」

    拒否された。しかも両手が塞がっているからってヒップアタックでビックリして思わず目と口をあんぐり開けてしまって、頭の端っこの方で「これがスペキャ顔か」とぼんやり思った。

    「…なんで?手洗ってなかったから…?」
    「そうではなく…」
    「もぉ~意地張らなくても、お腹空いてたなら起こしてくれればよかったのに」
    「…そういうことでもなく」
    「じゃあ何?危なっかしいから代わるってぇ」
    「違います!いいからあっち行ってて!」
    「っ」

    今度は身体の右側面全部を使ってタックルされた。別にオレにとってはどうってことない力加減だけど、好きな子に言われた「あっち行って」が予想以上に食らって、それ以降は何も言い返せずに談話室を追い出されてしまった。
    おかしいな、今日は1日くっついてイチャイチャする予定だったのに。
    オレが疲れて昼寝しちゃったから?構えなくて拗ねちゃった?だから1人でご飯食べようとしたの?

    トボトボとゲストルームに戻る道すがら、キッチンでの会話が聞こえていたらしいゴーストの1人が廊下に顔を出して「まだまだ子供だねぇ」とかなんとか言ってきた。カチンと来てマジカルペンを構えたらそそくさと廊下の向こうの部屋に消えていったので、直ぐに興味を失くしたオレは、ゲストルームのソファに逆戻りして不貞寝を決め込むことにした。
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