🍧 七夕を終えて約[[rb:一月 > ひとつき]]が経ち、夏本番を迎えて暑さが増してきていた。特に今年は猛暑になると占いの結果が出たとかで、[[rb:来 > きた]]る干ばつや飢饉の対策をと官吏達は連日大わらわであった。
しかしそんな喧騒も外朝から離れた皇太子の邸宅までは届かない。
宵が屋敷の掃除を終え私室へと戻れば、冠星はいつもと変わらず涼しい顔をして書を読んでいた。
「戻りました……今日はほんっとうに暑いですね!」
外に出たら頭のてっぺんが焦げそうでした、とつむじをさすればまだじりじりとした熱が残っていて。
「黒髪でよかったではないか、多少焦げてもわかりづらいぞ」
「全然よくないですよ!……っていうか冠星さまは暑くないんですか?」
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